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一昔前までは麦焼酎が原料別生産量の割合で、もっともシェアをもっていた。
しかし現在は芋焼酎が麦焼酎を向いて第一位となっている。
公開されているデータをまとめてみた。
●原料別の生産量割合推移
日本酒造組合中央会調べのデータから、原料別の生産量割合をグラフにした。
グラフからは、芋焼酎が2000年以降シェアを伸ばしていることがわかる。
他の原料焼酎は芋焼酎にシェアを奪われて、割合を落としている。
では生産量はどのようになっているか見てみよう。
●原料別の生産量推移
1990年代の終わりに第三次焼酎ブームが到来し、本格焼酎が人気になった。
その影響で2000年代から芋焼酎の生産量が急増している。
麦焼酎はそれまでも増加してたが、やはり2000年代に入ってから急増しているのがわかる。
そして2009年に芋焼酎と麦焼酎の生産量が逆転している。
その後、麦焼酎は生産量を緩やかに減らし続け、芋焼酎は増えた生産量を維持している。
●原料別構成比の比較
原料別構成比が1999年と2019年の20年間でどのように変化したか比較してみる。
この20年で、そば焼酎は1/3に、米焼酎と泡盛は約2割減である。
麦焼酎は微減、芋焼酎は生産量を約3倍に増やしている。
芋焼酎は伸ばした生産量を維持できている。
芋焼酎の特徴は、なんといってもフルーティーな香りと、しっかりした味わいである。
現代の消費者はわかりやすさを好むということだろうか。
芋焼酎は他の原料に比べて、原料種のバリエーションが豊富だ。
サツマイモの種類が白系、紫系、オレンジ系などがあり、味、香りともに違いが出やすい。
米や麦では原料種で、芋ほどの明確な違いを出せていない。
このあたりにポイントがあるのかもしれない。
●あとがき
焼酎と言えば芋を思い浮かべる人に、
構成比では麦のほうが多いと教えていた時代は過ぎ去ったようだ。
焼酎と言えば芋でおおむね間違いということである。
米や麦などのほのかな香り、味わいの競合は日本酒であろう。
日本酒はかなりの強敵である。
では芋焼酎の競合は、ウイスキーハイボールやワインだろうか。
国内でのパイの取り合いは、苛烈さを増していく。