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「スコッチ」、「アイラ」と聞いて、思い浮かべるのは「ピート香」であろう。
しかしアイラ島にある蒸留所によって、一概にピートが強いとは言えない。
それぞれの蒸溜所に特徴がある。
●キルホーマン
・基礎データ、場所
- 蒸溜所名:キルホーマン蒸溜所
- 英字:Kilchoman
- 意味:キルホーマンという教会の跡地に、蒸留所を建てたため、キルホーマンとした。
- 創業:2005年
- 仕込み水:オルト・グリーン・オスマイル川
- 蒸留器:ストレート型、バジル型
- 現所有者:キルホーマン・ディスティラリー社
- 輸入元:(株)ウィスク・イー
アイラ島の最西端にある蒸溜所。
また、もっとも海岸から離れた場所に建つ蒸留所でもある。
2005年に設立され、アイラ島では124年ぶりの新規蒸留所として誕生。
アイラ島では蒸留所の操業再開はあっても新規はなかった。
閉鎖や再開、停止を繰り返す中で、新しい蒸留所に期待が集まる。
・特徴
・味わい
伝統的な製法で造られるキルホーマンのウイスキーは、
味わいもアイラらしいスモーキーで、ピートの効いた仕上がりになっている。
2005年から生産が開始されてまだ長熟の製品はなく、これからのリリースが注目される。
熟成が進めば、まろやかで飲みやすいキルホーマンが楽しめるだろう。
・ファームディスティラリー(農場型蒸留所)
キルホーマン蒸留所は農場の一部を改装して建てられており、
敷地内の農場では大麦を栽培し、使用麦芽の約3割に用いている。
そして精麦も自社で行うことでき、瓶詰までの全ての工程をアイラ島内で完結することができる。
これにより100%アイラを実現した。
他の蒸留所はアイラ産の麦でなかったり、製麦が島外だったり、瓶詰が本土だったりと、
全てをアイラ島で行っているわけではない。
ちなみに日本酒や焼酎でも原料から瓶詰まで全て自社で行っているところがある。
キルホーマン蒸留所は規模が小さく、まだマイクロディスティラリーの域である。
他のアイラ島の蒸留所と比べると、キルホーマンの生産量は一桁小さい。
しかし、この生産規模だからこそ100%アイラが達成できたのであり、
今後生産量が増えていくとできたことができなくなる可能性もある。
まだ20年も経っていない蒸留所なので、これからも注目していこう。
●あとがき
キルホーマンを初めて味わった時は、ピート香はあるが味わいが軽く感じた。
それは熟成が短いから当然であり、今も道半ばという感じである。
だが、熟成が進むにつれて、複雑さが加わり、目が離せなくなってきている。
まだまだこれからの変化に楽しみな蒸留所である。