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「スコッチ」、「アイラ」と聞いて、思い浮かべるのは「ピート香」であろう。
しかしアイラ島にある蒸留所によって、一概にピートが強いとは言えない。
それぞれの蒸溜所に特徴がある。
●ボウモア
・基礎データ、場所
- 蒸溜所名:ボウモア蒸溜所
- 英字:Bowmore
- 意味:ゲール語で「偉大なる岩礁」の意
- 創業:1779年
- 仕込み水:ラガン川
- 蒸留器:ストレート型
- 現所有者:ビームサントリー
- 輸入元:サントリースピリッツ(株)
アイラ島の中央部にある蒸溜所。
インダール湾の挟んで向かい側にブルックラディ蒸留所が見える。
1779年に創業したアイラ島で最も古い蒸留所である。
1963年にスタンレー・P・モリソン氏の所有になった翌年に、
加熱方式が「直火」から「水蒸気による間接加熱」に変わった。
この年(1964年)に造られた「ブラックボウモア」が伝説のボトルと呼ばれている。
1994年にサントリーが買収し、日本国内での知名度が高い。
「アイラモルトの女王」や「最後に行き着く酒」、
「アイラモルトの全体像を知りたければ、ボウモアを飲めばいい」などと言われている。
アイラモルトの入門の酒であり、色々飲んだ結果、やはりボウモアに戻るということなのだろう。
・特徴
・味わい
アイラ島のウイスキーは、南部は個性が強く、北部は穏やかと言われるが、
ボウモアの中央部であり、味わいも中間くらいである。
ほどよいピート香とソルティ感が絶妙である。
・海抜0mの熟成庫
ボウモア蒸留所の第一熟成庫は、満潮時に海面が1mの高さに来るという。
つまり、海面よりも低いということになる。
このような状況では潮風が熟成庫に入り、図らずも庫内は潮気を漂わせることになる。
この環境が熟成中のウイスキーに潮の香りを与えると言われている。
・フロアモルティング
昔ながらの伝統製法のひとつである、フロアモルティングを行っている数少ない蒸留所のひとつ。
フロアモルティングとは、水を吸わせた大麦をフロア一面に敷きつめ、
シャベルのようなものでひっくり返して、空気をいきわたらせて発芽させる。
ボウモア蒸留所ではフロアモルティングした麦芽を30%程度使用し、
残りの70%はモルトスター(製麦専門業者)から購入したものを使う。
フロアモルティングは時間と労力がかかるため、ほとんどの蒸留所ではもう行っていない。
●あとがき
ボウモアを飲んでいると落ち着く。
どの商品も外すことはなく、平均点が高い。
ボトラーズでは驚くほどのものもあったりするから、探求を抑えられない。
身近ではあるが、それでいて奥深いウイスキーである。