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日本国内でのワイン消費量と輸入量、輸入国のランキングをまとめた。
●国内ワイン消費量
国税庁が公表している『酒のしおり』のデータを基にした。
国内のワイン消費量はここ数年横ばいだが、国産品は増加している。
1994年に輸入量が国産量を上回ってから現在まで、
国産ワインよりも輸入ワインのほうが消費されている。
全体消費に対して国産ワイン消費は一時30%を下回っていたが、
現在は36%程度まで持ち直している。
●ワイン輸入量
財務省が公表しているデータと基にした。
日本で消費される2/3は輸入ワインである。
輸入量の多い国と推移を見てみよう。
・チリ
2021年の輸入量一位はチリである。
安くて美味しいワインとして認知されているチリワイン。
安い理由は、人件費が低いために原価が抑えられていることや、関税の影響がある。
日本とチリは2007年に経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)が結ばれ、
12年かけて関税を段階的に減らすことが決められた。
そして12年後の2019年に関税が撤廃された。
日本とチリのEPA締結は、両国にメリットがあった。
- 日本は自動車や電子機器の関税を撤廃したい
- チリは鉱工業品(精製銅)や農林水産品(魚介や肉類、ワインなど)の関税を撤廃したい
2004年に共同の研究会を設置し、検討を重ねて2007年にEPAが締結された。
3年足らずで締結までできたのは、チリが既に40か国以上とFTA締結の実績があったからだ。
チリの戦略に日本の利害が一致したということである。
・その他の国
ヨーロッパ
チリと同様にEUともEPAが締結され、2019年に関税が撤廃された。
グラフを見ると、2019年にヨーロッパ勢の輸入量が上がっている。
しかしコロナの影響で、その後が伸びていない。
グラフにはないEU諸国で関税撤廃後に輸入量が増えている国がある。
これから更に多くの国のワインが味わえるようになるかもしれない。
オーストラリア
オーストラリアともEPAが2015年に締結され、関税が段階的に減らされている。
グラフを見ると、EPA締結の2015年から輸入量が増え始めている。
そして2021年に関税が撤廃されたのだが、コロナの影響で輸入量は伸びていない。
アメリカ
アメリカは2014年から輸入量が減少し続けいて、他国に差をつけられている。
2020年に自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)が締結されて、
2025年までに段階的に関税を引き下げていくことになっている。
輸入量が増加に転じるのか、注目したい。
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●あとがき
ワインの輸入量を見ると、チリの戦略が素晴らしいといえる。
ここまで輸入量を伸ばし、ヨーロッパ勢を越えることができたことを日本も参考にするべきだろう。
日本のお酒の輸出強化が国の方針とされている。
優れた戦略があれば外交貿易で成功できるという良い例である。