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シードルの原料はリンゴである。
リンゴは世界中でさまざまな品種が作られている。
農林水産省のデータをもとに、リンゴの収穫量を見てみよう。
●国内のリンゴ収穫量と価格
上図は、国内のリンゴ収穫量と、1kg当たりの卸売価格の推移である。
リンゴの収穫量は減少傾向で、1990年の105万トンをピークに、2021年は66万トンである。
1㎏当たりの卸売価格はここ10年は増加傾向にある。
国産リンゴの品質向上により、価値が再評価されているのだろう。
リンゴは約85%が水分だと言われる。
単純に1㎏のリンゴから850mL(実際はもっと少ない)のシードルが造れるとしたら、
卸売価格は確実にリンゴ単体(2020年329円/kg)よりも高くなる。
シードルの需要が大きくなると、農家の収入が上がる。
大量生産するには設備と時間が必要だが、今もっとも重要なのは市場である。
シードルを消費する市場を大きくすることが最重要課題であろう。
●都道府県別のリンゴ収穫量
リンゴの収穫量第一位は青森である。
リンゴ県と青森が63%のシェアを占め、ダントツの収穫量である。
二位は長野、三位は岩手で、TOP3だけで全体の85%以上になる。
青森には、アサヒの『ニッカシードル』を製造するニッカ弘前工場があり、
国産リンゴを100%使用して造られている。
ちなみにキリンの『ハードシードル』は横浜工場で造られている。
こちらは外国産のリンゴ果汁を使っている。
●品種別のリンゴ収穫量
品種別収穫量の一位はふじである。
全体の半分をふじが占めており、その人気がうかがえる。
日本に限らず、世界でももっとも栽培されているのはふじである。
つがる、王林、ジョナゴールドと続き、上位4品種で全体の3/4を占める。
その他として、紅玉、陸奥、千秋、北斗、デリシャスなどがある。
シードルは主に品種をブレンドして造られる。
必然的に収穫量の多い品種が使われることが多くなる。
これらの品種は生食用だが、シードルにも兼用される。
海外ではシードル専用品種を使うことが多いが、日本では生食用を使うことが多い。
日本ではシードル専用品種をアクセントとして使うことがあるが、栽培量が少ない。
●あとがき
日本のリンゴは、甘く、みずみずしく、美味しい。
海外でも人気があり、台湾をはじめ、アジア諸国に多く輸出されている。
シードルの国内市場拡大と並行して、アジアのシードル市場開拓もアリだろう。
デフレが続く日本よりも、発展が著しいアジアのほうが可能性があるかもしれない。