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ジンは他のお酒に比べて、日本での定番商品がはっきりしている。
これまで、あまり種類がなかったことが要因だろう。
現在はクラフトジンも増えたが、ジントニックやマティーニなどの
クラシックカクテルには定番のジンが使われる。
味、品質、流通が安定していることが重要である。
バーなどに常備されているジンを見てみよう。
●基本情報
- 商品名:ボンベイ・サファイア ロンドン ドライジン
- 英 字:BOMBAY SAPPHIRE LONDON DRY GIN
- 生産地:イングランド
- 創業年:1761年
- 創業者:トーマス・デイキン
- 現所有社:バカルディ社
- 日本取扱:バカルディ・ジャパン(株)
●ボタニカル
ボンベイ・サファイアのボタニカルは、以下の10種である。
- ジュニパーベリー
- コリアンダーシード
- オリスルート
- アンジェリカルート
- リコリス
- アーモンド
- カシアバーグ
- ギニアショウガ(グレインズ・オブ・パラダイス)
- クベバベリー
- レモンピール
世界中の契約農家から、厳選されたものが使われる。
これら10種のボタニカルから、ヴェイパー・インフュージョンという製法で香り付けされる。
ボンベイ・サファイアが発売(1987年)されると、使用する10種のボタニカルが公開された。
ジンを特徴付けるボタニカルは秘密にするのが当然だった時代にはあり得ないことである。
●ヴェイパー・インフュージョン(蒸気抽出法)
蒸留器の上部にボタニカルを置き、下部からニュートラルスピリッツを加熱する。
発生したアルコール蒸気がボタニカルを通り抜ける際に、香味成分が抽出される。
繊細な香りの抽出に向いている。
蒸留器の上部にバスケットをセットできるものは、カーターヘッドスチルと呼ばれている。
ボタニカルを入れたバスケットを出し入れするだけなので、扱いが容易である。
この製法は、創業者トーマス・デイキンの孫娘メアリーによって、1831年に開発された。
その後、ボンベイジンに必須の製法として現在に続いている。
創業当時はまだヴェイパー・インフュージョン製法がなかったため、
現在とはかなり違った香り、味だったと考えらえる。
●あとがき
ボンベイ・サファイアの革新と挑戦は素晴らしい。
新しい製法やボタニカルの公開は、現在のクラフトジンブームに繋がっている。
ジンの自由度の高さと可能性が、新たな参入者を惹きつけることになる。
ボンベイ・サファイアの功績は、ジンの歴史に刻まれるべきものである。