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「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価の高い甘酒は、
市販品よりも自作したもののほうが効果高い。
意外と簡単に作れるので試してみよう。
●酒粕について
酒粕とは、日本酒を造る際にできる副産物である。
米と麹と水を酵母で発酵させたもろみを搾って、日本酒と酒粕に分ける。
日本酒と同様に酒粕にも酒蔵ごとの個性が出る。
発酵する際に、酵母によって糖はアルコールと二酸化炭素に分解される。
このため、酒粕には糖がほとんど残っておらず、甘味は少ない。
酒粕自体に8~11%程度のアルコールが含まれている。
未成年やお酒に弱い人には注意が必要。
市販品の酒粕甘酒の多くは、アルコール分1%未満である。
●酒粕の種類
酒粕は、熟成の有無や形、日本酒の種類で分けられる。
また、ツブ(酒米)が残っているものと、完全に溶けているものがある。
スーパーやネット、酒蔵や酒販店などで購入することができる。
スーパーでは、漬け物のコーナーに置かれていることが多い。
・板粕
もろみをアコーディオンのような圧搾機(通称ヤブタ)で搾ると板状の酒粕ができる。
それを四角形に切り揃えたもの。
この圧搾法は高級酒ではあまり使われない。
つまりお米があまり削られていない日本酒によく使われる。
お米が削られていないほうが、酒粕に栄養分が多く残っている。
・バラ粕
もろみを袋で搾った時にできる。
または、板粕をバラバラにしたものもバラ粕と呼ぶ。
袋搾りは、高級酒によく使われる。
つまり吟醸や大吟醸などの、お米が多く削られたものである。
お米の栄養分は外側にあるため、多くの栄養分が削れてしまっている。
・ねり粕
できた酒粕(新粕)を熟成させたもの。
熟成させることで旨味が増し、茶色っぽくなる。
タンクに詰めて踏み固めることから「踏み粕」、「踏み込み粕」、
練り固められて作られることから「練り粕」、
新酒の時期から夏まで熟成させられることから「夏粕」、
新粕が古くなったので「古粕」などとも呼ばれる。
風味が強くなるため、甘酒にはあまり使われず、
粕漬けなどに使われることが多い。
●酒粕の保存方法
アルコールを含むため、冷蔵保存すれば半年以上持つ。
冷蔵していても緩やかに発酵は進む。
常温に置いておくと発酵が進み、色が茶色っぽくなるが、問題ない。
熟成が進むと風味が変わるので、甘酒に使うなら冷蔵しよう。
●甘酒のつくり方【酒粕】
酒粕を使った甘酒は、ただ混ぜるだけでできる。
簡単なので、ぜひ自作してみてほしい。
・酒粕甘酒のつくり方
材料は、酒粕と砂糖とお湯のみである。
砂糖はお好みで甘さを調節すると良い。
- 酒粕…25g
- お湯…200㏄(70℃以下)
- 砂糖…大さじ1
つくり方は以下の通りである。
- 酒粕を少量のお湯で溶かす
お湯が多いと酒粕を溶かしにくい。
お湯は70℃以下にする。
70℃を超えると酒粕の中の酵素が死滅してしまう。
酵素には身体に健康を持たす効果がある。
ダマがなくなるようによく溶かす。 - 残りのお湯と砂糖を加える
砂糖の量は味を見ながら調整する。
全体がなじむようによく混ぜる。 - 完成
砂糖のカロリーが気になる人は、カロリーゼロの甘味料を使うのもよい。
すっきりとした甘みで、罪悪感なく甘酒が飲める。
砂糖をいろいろと変えるものよい。
高級砂糖の和三盆を使ったり、黒糖やハチミツを使っても美味しい。
塩をひとつまみ加えると、より甘く感じる。
お湯を水に変えて、冷やして飲むのも良い。
●あとがき
酒粕甘酒は作ってすぐ飲めるのが良い。
栄養面では麹甘酒に劣るが、手軽に作れるのはポイントは高い。
また、日本酒の風味も楽しめる。
酒蔵によって味わいが変わるので、飲み比べてみるのも良いだろう。