文字数:約1100文字
●ホップの概要
ホップはアサ科のつる性多年草で、最成長期には1日約30㎝も育つ。
雄株と雌株があり、ビールの原料に用いられるのは、雌株の未授精の
毬花(まりばな、またはきゅうか)と呼ばれる部分である。
この毬花の中にあるルプリンという黄色い粒に、ビール特有の苦味や香りの
もとになる樹脂や精油が含まれているのである。
ルプリンは種子が地面に落ちた時に、カビなどの微生物に狙われないように
抗菌作用を持っているといわれている。
ホップには泡持ちをよくしたり、抗菌作用もあるので、重要な原料とされている。
現在は品種改良が進み、100種類以上のホップが栽培されている。
大きく分けて、ビターホップ(苦味を加える)とアロマホップ(香り付け)がある。
●ホップの大別
●ビターホップ
ホップに含まれる苦味の素はアルファ酸である。
しかし、アルファ酸は水に溶けにくいうえ、それほど苦く感じない。
これが加熱されることによって科学的な性質が変化して、
イソ・アルファ酸になることで水溶性の苦味成分となる。
苦味を出すためのホップは、麦汁の煮沸の初期段階で投入される。
●アロマホップ
ホップの香りに寄与する成分は油分である。
この油分は、200種類以上の化学物質からできていて、様々な香りを演出する。
煮沸の火を止める前後に、アロマホップを投入する。
油分は揮発性のため、煮込むと香りが蒸発してしまうので、煮沸終了時に投入される。
●ホップの効能
●泡持ち
一般的なビールの泡持ちの良さは、ホップの苦味の成分と、
モルトから抽出されるタンパクとが結合することで起こる。
副原料を添加して泡持ちをよくしているものもある。
●抗菌作用
ホップに含まれるアルファ酸には抗菌作用があり、
細菌や微生物の繁殖を抑制する。
現代のビール醸造では、ホップの抗菌力以上の洗浄・殺菌処理を行って
ビール製造を行っている。
昔ながらの製造方法でビール造りしている醸造所では、
ホップの抗菌作用は重要視されている。
●あとがき
ホップの使用状態は生や乾燥、ペレット、粉末など各社が創意工夫している。
設計通りのビールを造るために、ホップの投入タイミングも調整されている。
これらの違いがビールの香りや苦味に影響するのか、飲み比べてみたいものだ。
ホップを気軽に買える国が海外にはあるらしい。
市販のビールを自分好みにアレンジできたら、最高だろう。