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お酒全体の消費量が減っているといわれている。
ビールも消費量が減っているといわれているが、ビール類で見るとどうなのか。
国税庁のデータとメーカーの公表値をもとに消費量の推移をまとめた。
また、ビールと発泡酒の一人当たりの消費量もまとめた。
●ビール類の消費量推移
ビール類とは、ビール、発泡酒、第3のビールのことである。
国税庁のデータでは、ビールと発泡酒は公表されているが、
第3のビールはリキュール類に含まれるため、単独でのデータがない。
よって、ビール大手4社の公表値の合計を使った。
・ビール
グラフを見ると確かにビールの消費量は減ってきている。
最盛期は700万kLを消費していたが、現在では180万kLを下回っている。
これは最盛期の1/4(25%)程度である。
・発泡酒
一方で、発泡酒が発売されて数年は、ビールの消費量を奪う形になっている。
ビールと発泡酒を足した全体の消費量も2002年までは維持できていた。
その後、ビールと発泡酒ともに消費が減少していく。
・第3のビール
そして第3のビールが発売されて、2009年移行は発泡酒の消費量を上回る。
第3のビールは200万kL弱をピークに横ばいを続け、2020年にはビールと肉薄している。
・全体
ビール類全体では500万kLを下回ってしまった。
2020年は新型コロナの影響で、400万kL強まで、減少する。
これは最盛期の4/7(57%)程度である。
ビール類の落ち込みは、他のお酒(焼酎、ワイン、サワー、ハイボールなど)の台頭により、
飲み手の選択肢が広がったため、仕方がない。
さらに、お酒離れが進む日本では、ノンアルコール飲料にも消費量を奪われている。
日本社会が縮小する状態では、大きな回復は難しい。
●都道府県別一人当たりのビール・発泡酒の消費量
国税庁のデータより、ビールと発泡酒の一人当たりの消費量をまとめた。
残念ながら都道府県別の第3のビールのデータは無い。
・ビール
一人当たりのビール消費量は東京が一番多いといわれている通り、
ダントツの結果であり、年間27.4Lを消費している。
全国平均の16.0Lを大幅に超えている。
・発泡酒
一人当たりの発泡酒消費量は高知と沖縄が群を抜いている。
高知は14.8L、沖縄は12.5Lで、全国平均の6.2Lの倍以上である。
東京は平均以下の5.9Lである。
・全体
ビールと発泡酒を足した消費量では、東京を抜いて高知が1位である。
2位東京、3位沖縄、4位大阪、5位富山と続く。
ビール、発泡酒ともに最も消費しないのは滋賀である。
第3のビールのデータがあれば、また違った結果になっただろう。
●あとがき
ビール類の税率が2026年には統一されると、メーカーはどのジャンルに注力するのだろうか。
税率が同じならば、製造原価が低く利幅が大きいものか、顧客層の多い低価格商品か。
これからビール類には激動の時代が待っている。