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シェリーの原料

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 シェリーの原料は3品種の白ブドウのみと決められている。
パロミノモスカテルペドロ・ヒメネスである。

 辛口用にはパロミノ極甘口用にはモスカテルとペドロ・ヒメネスが使われる。
シェリー用ブドウ栽培の約90%をパロミノが占め、
ペドロ・ヒメネスが約9%モスカテルは約1%程度である。
それぞれの特徴を見ていこう。

パロミノ Palomino

パロミノ
SergioによるPixabayからの画像

 辛口シェリーのすべてにこのパロミノ種が使われる
パロミノ種のなかにも、パロミノ・フィノやパロミノ・デ・ヘレスなどの種類がある。
アンダルシアの土壌に適しているパロミノ・フィノが、主に栽培されている。

 718~1492年まで、スペインで行われた国土回復運動(レコンキスタ)で活躍した兵士が、
褒美に畑をもらい、ブドウ栽培を始めた。
この兵士の名前が「フェルナン・ヤニャス・パロミノ」であり、名の由来となった。

 辛口シェリーである、フィノ、オロロソ、アモンティリャード、などは、
すべてこのパロミノのみで造られている。

ペドロ・ヒメネス Pedro Ximénez

ペドロ・ヒメネス
pearly- peachによるPixabayからの画像

 極甘口シェリーに使われる。
ペドロ・ヒメネスは収穫後に、「ソレオ」という天日干しの工程を経て、甘さが凝縮される。
干しブドウの状態から果汁を搾ると、ドロッとした粘度の高い、濃厚な果汁が得られる。

 似た製法として、イタリアの「パッシート」や「レチョート」があるが、これらは陰干しであり、
シェリーの場合は、天日干しであるという違いがある。

 ペドロ・ヒメネスもパロミノと同様に、兵士の名前に由来する。
神聖ローマ皇帝カール5世に仕えたドイツ人傭兵「ペーター・シーメンス(Peter Siemens)」の名のブドウが、
イベリア半島に伝わる頃には「ペドロ・ヒメネス」となったとされている。

モスカテル Moscatel

モスカテル
GutifeによるPixabayからの画像

 極甘口シェリーに使われる。
マスカット系の白ブドウで、各地で古くから栽培されている。

 同じ極甘口用に使われるペドロ・ヒメネスと比べると、モスカテルのほうが軽めで、爽やかさがある
こちらも収穫後に天日干しされた後、搾汁される。

 モスカテルは、その甘さに虫が引き寄せられることから、
「ムスカ」(ラテン語で小さな虫の意)と呼ばれたのが語源とされる。

あとがき

 白ブドウ3品種だけで、数十種のシェリーが造られているのは驚きである。
辛口、極甘口、それらをブレンドした甘口が、3品種のみから造られているのである。
土地に適したものを突き詰めていく姿勢が、素晴らしいシェリーを生み出している。



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