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シェリーには多くの種類がある。
種類別の販売量を知ることで、各種のメジャー度や希少性を把握できる。
スペインの公的機関のデータをもとに(なぜか2009年のデータはないが)、
全体と、スペンイン本国、輸出先の推移をまとめた。
まずは全体と各国を比較してみよう。
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●シェリーの種類割合
・全体
推移を見ると、マンサニージャは販売量を維持している。
他はほぼ減少傾向にあったが、2018年あたりから下げ止まったように見える。
クリームは反転攻勢が始まっているのかもしれない。
2021年の割合を見ると、最も多く販売されているのはクリームで、
次いでフィノ、マンサニージャ、ミディアムとなっている。
甘口(クリーム、ミディアム、ペール・クリーム、ドライ)が半数以上を占め、
辛口(マンサニージャ、フィノ、アモンティリャード、パロ・コルタド、オロロソ)45%、
極甘口(ドルチェ、モスカテル、ペドロ・ヒメネス)は5%程度である。
極甘口の販売量が少ないのは生産量が少ないということが一因でもある。
・スペイン
スペイン国内では若干減少しているが、なんとか消費をキープしている状態である。
スペインは辛口を好む傾向があるが、フィノの下げが目につく。
少ないながらもアモンティリャードが増えてきている。
甘口のクリームが消費を伸ばしていることが意外である。
辛口を好むスペインでは、マンサニージャが半数を占め、
加えてフィノ、アモンティリャード、パロ・コルタド、オロロソで3/4を占める。
辛口好きの国で、甘口のクリームや極甘口のペドロ・ヒメネスが健闘していることにも注目したい。
・イギリス
シェリー最大の輸入国であるイギリスは甘口が好まれる傾向が昔からある。
2012年からミディアムが徐々に増え始めている。
辛口のアモンティリャードは以前から飲まれていたが、2014年を境に激減している。
2021年の割合では、甘口(クリーム、ミディアム、ペール・クリーム)だけで8割以上である。
辛口は15%程度だが、主にフィノが好まれているようだ。
・オランダ
輸入量No.2のオランダは、フィノとミディアムとクリームが中心である。
昔から他の種類はほとんど飲まれていない。
マンサニージャが若干飲まれていたが、現在ではそれもわずかである。
2021年の割合を見ると、ミディアムが45%を占め、フィノが34%、クリームが18%。
この3種類だけで97%を占めている。
・ドイツ
輸入量第3位のドイツは、大多数がミディアムで、少しフィノがある。
この傾向は昔からであり、輸入量が減少しても変わらない。
2021年の割合では、ミディアムが約7割、フィノが約2割で足して9割。
ミディアムとフィノが多いのはオランダに似ているが、さらに特化した感じである。
一つのことを決めてやり抜くという国柄が出ているように思う。
・アメリカ
ヨーロッパ地域以外で最もシェリーを輸入している国はアメリカである。
アメリカは甘口を好む傾向がある。
クリームを中心にミディアムとフィノで大半を占める。
ミディアムは年によって変動が大きい。
2021年の割合を見ると、甘口が約7割(クリーム43%、ミディアム26%)、
辛口が約3割(フィノ16%、マンサニージャ6%、アモンティリャード3%、オロロソ3%)である。
・日本
アジアで最もシェリーを輸入している国が日本である。
輸入量が少ない年はその他に分類されるため、個別データが公開されていない。
日本は毎年同じような割合なのが特徴である。
ただし、2014年だけおかしいのは、元データに間違いがあると思われる。
2021年のデータはないので2020年の種類割合を見ると、他国よりもバランスが良い。
辛口のフィノとマンサニージャの割合が多いが、他の種類を偏りなく輸入している。
日本は3/4を辛口が占めているのが意外である。
決められないという国柄が出ているように思う。
●あとがき
全体では辛口と甘口が半々くらいであるが、
国別でみると甘口(ミディアムやクリーム)を好む国が多いように思う。
シェリーは種類が多いので、割合を見ると国ごとの傾向が見えて面白い。