文字数:約1500文字
三大酒精強化ワインと呼ばれるシェリー、ポート、マデイラを比較する。
生産地や発祥時期、製造法、アルコール度数、熟成期間、販売量など。
それぞれがどのようはお酒なのか、比較して見てみよう。
●比較表
シェリー | ポート | マデイラ | |
---|---|---|---|
英語 | Sherry | Port | Madeira |
国 | スペイン | ポルトガル | ポルトガル |
地域 | アンダルシア地方 ヘレス地域 | ドウロ地方 | マデイラ島 |
発祥時期 | 13世紀頃 | 17世紀頃 | 16世紀頃 |
酒精強化 | 発酵後 | 発酵途中 | 発酵途中 |
添加 蒸留酒 | 96% | 77% | 96% |
熟成期間 | 最低2年 | 最低3年 | 最低3年 |
度数 | 15~23% | 19~22% ホワイト・ポートは 16.5%が認められている | 17~22% 輸出先によって 15.5%まで下げる ことが認められている |
キーワード | フロール、 ソレラ・システム | 世界最古の原産地呼称 | 加熱熟成 (カンテイロ、 エストゥファ) |
ブドウ 栽培地域 | ヘレス、 プエルト、 サンルーカルを 中心とする地域 | ドウロ川流域一帯 | マデイラ島 |
主用 ブドウ 品種 | 白3種のみ | 白3種 黒5種 | 白5種 黒1種 |
白 | パロミノ、 モスカテル、 ペドロ・ヒメネス | マルヴァジア・フィナ、 ゴウヴェイオ、 ヴィオジーニョ | セルシアル、 ヴェルデーリョ、 ボアル、 マルヴァジア、 テランテス、 ティンタ・ネグラ |
黒 | - | トウリガ・ナショナル、 トウリガ・フランカ、 ティンタ・ロリス、 ティンタ・バロッカ ティンタ・カォン | ティンタ・ネグラ |
熟成地 | ヘレス、 プエルト、 サンルーカル | ドウロ川流域一帯の ブドウ産地、 ガイア | マデイラ島 |
種類 | 辛口 (フィノ、 マンサニージャ、 アモンティリャード、 オロロソ、 パロ・コルタド) 甘口 (ドライ、 ミディアム、 ペール・クリーム、 クリーム) 極甘口 (モスカテル、 ペドロ・ヒメネス) | ホワイト、 トウニー、 ルビー、 ロゼ、 LBV、 コリェイタ、 レゼルヴァ、 クラステッド、 ガラフェイラ | 辛口、 中辛口、 中甘口、 甘口、 コリェイタ、 フラスケイラ、 レインウォーター、 各ブドウ品種名 |
販売量[kL] 2021年 | 31,798 | 74,718 | 3,142 |
2011年 | 42,431 | 81,438 | 3,012 |
販売割合 国内:海外 | 3:7 | 2:8 | 1:9 |
輸出先1位 | イギリス | フランス | フランス |
2位 | オランダ | イギリス | ドイツ |
3位 | ドイツ | オランダ | イギリス |
日本 輸出量[kL] | 130 | 80 | 202 |
関連記事 ↓
図解■ シェリーの販売量と輸出量
文字数:約1100文字 世界中で人気のシェリーだが、その販売量はどのくらいなのか。シェリーの生産国であるスペインの公的機関が公開しているデータ…
図解■ ポートワインの販売量と輸出量
文字数:約1000文字 世界中で飲まれているポートワインの販売量はどのくらいなのか。ポートワインのの生産国であるポルトガルの公的機関ドウロ・ポー…
図解■ マデイラワインの販売量と輸出量
文字数:約1100文字 ポルトガルのマデイラ島だけで造られているマデイラワインは世界中を魅了している。マデイラワインの生産国であるポルトガルの…
・生産国地図
大航海時代にスペイン、ポルトガルの港でワインが積み込みまれ、
インドやアジア、アメリカなど世界中に酒精強化ワインが広まった。
・販売量比較
10年前と比べるとシェリーは、25%も販売量が減少している。
ポートワインは8%減少、マデイラワインは4%増加している。
シェリーの減少幅が目立つ。
シェリーは国内消費がポート、マデイラと比べて多い。
国内消費が多いほど、減少幅が大きくなっている。
●そもそも酒精強化とは?
酒精強化ワインとは、ワインに高い度数の蒸留酒を加えてアルコール度数を強くしたもの。
英語ではフォーティファイド・ワイン(Fortified-Wine)という。
酒精(しゅせい)とは、アルコールのことである。
通常のワインのアルコール度数は、12%程度なのに対して、
酒精強化ワインは15~22%になる。
三大酒精強化ワインとして、スペインのシェリー、ポルトガルのポート、マデイラが有名。
ポートとマデイラは、アルコール発酵途中に蒸留酒を加えるが、
シェリーは、アルコール発酵後に蒸留酒を加える。
アルコール発酵途中では、糖分が残っており、甘さが保持され、
アルコール発酵後では、糖分がほとんどアルコールに分解されており、甘さが少ない。
関連記事:↓
【比較】酒精強化とアルコール添加の違い
文字数:約1900文字 酒精強化ワインや、アル添酒の名を聞いたことがある人は多いだろう。酒精強化もアルコール添加も醸造酒の製造途中に蒸留酒(スピ…
●あとがき
酒精強化ワインを単独で理解するよりも、比較してみたほうがわかりやすい。
日本ではシェリーが有名で輸入量も多いが、世界ではポートのほうが倍以上消費されている。
それぞれの特徴を知ることで、さらに興味が湧いてくるだろう。