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ラムの種類

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文字数:約2600文字

 お酒の中でもラムは規則が緩いため、多くの種類がある。
原料、製法、色、風味などある。
わかりやすく、実用的なものが、原料と樽熟成期間を組み合わせたものである。
以下が表にまとめたものである。

ラムの種類表

原料による分類

 ラムの原料はサトウキビなのだが、
サトウキビをどのような状態にしたものを使うかがポイントである。

・トラディショナル

砂糖
❄️♡💛♡❄️ Julita ❄️♡💛♡❄️によるPixabayからの画像

 サトウキビから砂糖を精製する際の副産物として糖蜜が得られる
糖蜜はモラセスや廃糖蜜とも呼ばれる。

 この糖蜜を発酵させて造られるラムがトラディショナルラムである。
もっとも伝統的は製法である。

 糖蜜は冷蔵保存できるため、通年でラム生産ができる
ラム生産の9割以上がトラディショナルラムであるのは、
通年生産ができることと、砂糖の副産物が原料であることが理由である。
これらの理由により、生産コストを抑えることができる。

 サトウキビの風味は砂糖精製時にほとんどなくなるため、
トラディショナルラムからは原料由来の風味は弱い。

・アグリコール

サトウキビジュース
Joseph MuciraによるPixabayからの画像

 サトウキビから砂糖を精製せず、搾り汁をそのまま使ったものがアグリコールラムである。

 サトウキビジュースは時間が経つにつれて劣化するため、
サトウキビ収穫後すぐにラム造りに取り掛かる必要がある

 このためサトウキビの収穫時期にしか造ることができない
生産時期が限られることで大量生産できず、高価格になってしまう。

 サトウキビジュース100%を使うため、原料由来の風味や味わいがしっかりと表れる。
まさにサトウキビのお酒と呼ぶにふさわしい。

 メーカーによってはトラディショナルとアグリコールをブレンドした製品もある。

・ハイテストモラセス

シロップ
Tamanna RumeeによるPixabayからの画像

 サトウキビから砂糖を精製せず、搾り汁を加熱濃縮してシロップにしたものを
使うのがハイテストモラセスラムである。

 サトウキビジュースを加熱濃縮することで、
冷蔵保存が可能となり、通年生産ができる。

 しかし加熱することでサトウキビの風味が少なからず飛んでしまう
コストも風味もトラディショナルとアグリコールの間になる。

 サトウキビ生産地以外でラムを生産するメーカーにとっては、
糖蜜よりもサトウキビの風味を残しているので重宝されている。

樽熟成期間による分類

ラムの種類
AlexaによるPixabayからの画像

 樽熟成の期間によってラムの色が変わる。
ホワイト、ゴールド、ダークと分けられているが、
樽の種類や熟成環境で変わるため、色は目安であり単なる呼び方である。
カラメル添加が認められている国も多くある。

・ホワイト

ホワイトラム
TheresaMuthによるPixabayからの画像

 蒸留されたラム原酒を樽で熟成しない
樽では熟成しないが、ステンレスタンクで3ヵ月~1年未満寝かせる
ここがよく勘違いされるポイントである。
樽で熟成しないが、ステンレスタンクでは寝かせるのである。

 ステンレスタンク内で攪拌することで空気に触れて酸化する。
酸化によって少し黄色味がかるので、フィルターで透明にするメーカーもある。
ホワイト以外に、シルバーやブランと呼ばれることもある。

 アグリコールのホワイトは、サトウキビの風味を残しているため、
野性味あふれる滋味、青臭さ、フレッシュさが特徴である。
ハーブや野菜っぽさもあり、華やかさもあるが、スッキリしている。

 トラディショナルのホワイトは、主に連続式蒸留機で高アルコールに仕上げたものを
加水して造られる
ため、サトウキビの風味は弱く、軽めの飲み口になる。
定番カクテルのベースとしてよく使われる。

 ハイテストモラセスのホワイトは、アグリコールとトラディショナルの中間くらいである。
ハイテストモラセスを使ってホワイトの商品を出すのは、
かなりこだわりを持ってラム造りをしているメーカーといえる。

・ゴールド

ゴールドラム
anncaによるPixabayからの画像

 樽で2ヵ月から3年未満熟成したもの。
特に樽材の決まりはないが、一般的に大樽やバーボン樽が使われることが多い。
ゴールドはアンバー(琥珀)やアンブレとも呼ばれる。

 アグリコールのゴールドは、熟成によりアルコールの角がとれはじめる。
まだサトウキビの風味を残しているが、青臭さは消えつつある

 トラディショナルのゴールドは、樽の風味が加わりまろやかになる。
熟成によってラムらしさが出始める。

 ハイテストモラセスのゴールドは、樽や熟成法にこだわっているメーカーが多い。

・ダーク

ダークラム
PDPhotosによるPixabayからの画像

 樽で3年以上熟成したもの。
ラムの熟成環境は、その国の気候によって大きく変わる。
カリブ海地域では温暖な気候のため、3年熟成で3割も原酒が蒸発する場合がある。
蒸発が早い分、熟成も進むため、3年で十分な味わいとなる。
ゆっくり熟成させるために、寒冷な地域に樽を輸送するメーカーもある。
ダークはアニェホやエクストラ・アニェホ、V.S.O.PやX.O.とも呼ばれる。

 アグリコールのダークは、サトウキビの風味は薄まり、樽由来の香りが強くなる。
長期熟成によってブランデーのような味わいになる。
あまり長いとラムらしさが弱まるので、ほどほどが良い。

 トラディショナルのダークは、樽の風味が増すことでしっかりしたコクが生まれる。
コクがあるわりにはすっきり飲みやすいものが多い。

 ハイテストモラセスのダークは、樽由来の香りが強まるが穏やか。
味わいはしっかりしており、飲み応えがある。

その他の分類

 風味でライト、ミディアム、ヘビーに分けることができる。

 宗主国でラムの綴りをRum、Rhum、Ronと分かれる。
これは植民地時代の宗主国がどこだったかということである。
Rumはイギリス、Rhumはフランス、Ronはスペイン
昔からラムを生産している場合は、風味や味わいの傾向はつかめる。

 蒸留装置で単式蒸留器、連続式蒸留機、ハイブリッドに分けることができる。
単式では原料の風味が強く、連続式ではクリアな味わいになる。
ウイスキーのように単式と連続式それぞれで造り、それらをブレンドした製品もある

・スパイスドラム

スパイス
SonjaによるPixabayからの画像

 スパイスドラムは、スパイスやフルーツなどをラムに漬け込んだものである。
日本ではラム(蒸留酒)ではなくリキュール(混成酒)扱いになる。

 ラム生産地では一般的に作られている。
メーカーが作るスパイスドラムは日本でも購入でき、
バニラやカカオ、ハーブなどの風味がするものがある。

あとがき

 ラム造りは世界中に広まっており、これからも新しいラムが出てくるだろう。
様々な種類が生まれるのは活気があって良い。
自由な発想でこれまでにないラムを味わるのが楽しみである。

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