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日本のウイスキー輸出入量は増加傾向にあるが、海外ではどうなのか。
5大ウイスキー大国の1つであるスコットランド(イギリスに含まれる)を見てみよう。
イギリス政府の貿易データをもとにまとめた。
つまりスコッチウイスキーもイングランドウイスキーも合わせたデータである。
しかし、スコッチウイスキーのほうが圧倒的に多いため、
スコッチの輸出量として見ても問題ないと考える。
参照データでは、量の単位が[kg]を使用している。
Scotch Whisky Associationでは70clボトルに換算しているが、
今回はそのまま[kg]を適用した。
●ウイスキーの輸出入量【イギリス】
圧倒的に輸出量が輸入量を上回っている。
世界中でスコッチが飲まれていることがわかる。
そして、イギリスではあまり海外ウイスキーを飲まないようだ。
地元に美味しいスコッチがあるのだから、それで十分ということだろう。
輸出も輸入も増加傾向にあるようだが、
それぞれをもう少し詳しく見てみよう。
・輸出量内訳
地域別の輸出量を示した。
ウイスキー輸出量は確実に増えている。
特にアジア・オセアニアや中南米への輸出量が増えている。
北米へも若干増えているが、EUへは横ばいのように見える。
・輸入量内訳
ウイスキーの輸入の多くは、北米とEUからである。
それ以外の地域には微々たるものだ。
北米には一定量を輸入し続けている。
やはりバーボンはスコッチとは別物なのである。
EUは今でこそ北米と肩を並べる程度になっているが、
20年前にはかなり少なかった。
EU内で新たにウイスキー生産を行う国が増え始めているのだろう。
・輸出先推移
輸出量の多い10カ国の推移を見てみよう。
最大の輸出先はフランスである。
2位にインドが急浮上、アメリカは横ばい続き3位。
4位のブラジルも急増している。
5位のスペインは減少傾向にある。
6位日本、7位ドイツ、8位ポーランド、9位メキシコ、10位南アフリカ。
●ウイスキーの輸出入額【イギリス】
ウイスキーの輸出額は増加傾向にある。
2010年代前半は少し伸び悩んでいたが、しっかりとした回復がみられる。
2022年は60億ポンドを超えて勢いづいている。
輸入額は2015年までは増加傾向だったが、それ以降は横ばいが続く。
輸出額と比べると20分の1以下であり、大きな貿易黒字である。
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●あとがき
スコッチウイスキーの堅調な力強さが見られる。
世界的な需要に対して、供給側は設備を増やして増産体制を整えている。
製品を出荷できるまでに時間がかかることが、増産判断を難しくしている。
設備投資費の回収ができるまでは、この需要が続くことを経営側は願っているだろう。
需要は、これまでのスコッチ消費国よりも新興国のほうが伸び率が高い。
インドの動向は、ウイスキーに限らず何事においても今後の重要なファクターとなる。
インドがスコッチの今後を左右するのかもしれない。