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パンデミック後のウイスキー販売量はどうなっているのか。
2022年は販売量ランキングに異変が起きている。
世界のウイスキー販売量のランキングと、その推移をグラフで見てみよう。
データはイギリスのDrinks Internationalのものを基にした。
2023年版はコチラ↓
●ウイスキー販売量ランキング2022
2022年の販売量ランキングTOP10が上記のとおりである。
実は2021年のTOP10ランカーである
Officer’s Choice、Jim Beam、Hayward’sのデータ開示がなかったのである。
このことにより、ランキングが繰り上がったブランドがある。
それらの事情も踏まえてランキングを見てみよう。
販売量1位はインディアンウイスキーのMcDowell’sである。
McDowell’sは4年連続で1位を獲得している。
しかし下位のブランドも販売量を伸ばしてきており、このまま首位をキープできるのか。
2位のRoyal Stagもインディアンウイスキーである。
前年は4位だったが、2ランクアップで2位に浮上。
1位を狙えるポジションにきている。
3位はImperial Blueで、こちらもインディアンウイスキーである。
前年2位だったが、Royal Stagに抜かれ3位にダウン。
ランキングTOP3をインディアンウイスキーが占める結果となった。
世界販売量ではインディアンウイスキーの強さが見られる。
しかしOfficer’s Choiceがデータを提供していれば、
インディアンウイスキーは4強となっていたかもしれない。
4位はスコッチウイスキーのJohnnie Walkerである。
スコッチ販売量No.1のJohnnie Walkerは世界では4位である。
前年は5位だったので1ランクアップで、インディアンウイスキーの牙城を崩しにかかる。
5位はアメリカンウイスキーのJack Daniel’sである。
Jim Beamがデータ提供をしなくなったため、
TOP10でのアメリカンウイスキーはJack Daniel’sのみとなってしまった。
前年は6位だったので1ランクアップ。
アメリカンウイスキー最強が5本の指に食い込んだ。
6位はアイリッシュウイスキーのJamesonである。
前年は11位だったので、一気に5ランクアップ。
上位が抜けた影響もあるが、老舗ブランドの実力でもある。
7位はインディアンウイスキーのBlenders Prideである。
前年13位から6ランクもアップしている。
一気にTOP10入りし、注目が集まる。
8位はスコッチウイスキーのBallantine’sである。
スコッチNo.2が世界では8位にランクイン。
スコッチの堅実な強さを見せつける。
9位はインディアンウイスキーの8PMである。
前年の9位をそのままキープ。
10位はカナディアンウイスキーのCrown Royalである。
カナディアンの雄がついにTOP10入り。
さすがウイスキー5大生産国の一国である。
●ウイスキーの販売量 推移
ウイスキーの販売量をグラフで表した。
販売量推移を見ることで、各ブランドの勢いがわかる。
パンデミックの影響とその後の回復が注目である。
McDowell’sはパンデミック前の水準まで販売量が回復している。
しかし2021年から2022年にかけてはやや勢いが感じられない。
これまでの成長が止まってしますのか、今後のデータが気になる。
Royal Stagはパンデミックからの回復後、力強く増加している。
1位のMcDowell’sとの差は約370万ケースまで縮めている。
このままの勢いが続くなら、1,2年で首位を獲得するかもしれない。
Imperial Blueは2021年から若干減少している。
パンデミック前の勢いがなく、Royal Stagに抜かれてしまった。
今後、以前の勢いを取り戻せるかが注目である。
Johnnie WalkerはV字回復を果たし、その後の勢いは強い。
ここ10年は1500~2000万ケースの間で推移していたが、ついに2000万ケースを突破した。
TOP3も射程圏内に入り、スコッチの逆襲が始まりそうだ。
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Jack Daniel’sは緩やかだが、確実に販売量を伸ばしている。
上位との差はまだ大きいが、安定した成長がある。
下位は少しごちゃごちゃしているので拡大して表示した。
下位の中でも増加、減少のブランドが分かれる。
JamesonとBlenders Prideはパンデミック後の回復から力強く増加している。
Ballantine’sも上記2ブランドほどではないが増加している。
8PMとCrown Royalは2022年に減少しているのが気になる。
2ブランドとも勢いよく成長してきたが、ここまでなのだろうか。
2022年にデータ開示がしなかった3ブランドもグラフに表した。
かつて1位を独走していたインディアンウイスキーのOfficer’s Choiceと、アメリカンウイスキーのJim BeamはそれぞれのオーナーであるAllied Blenders & DistillersとBeam Suntoryがデータを開示しないことを決めた。
Beam SuntoryとSuntry Spiritsでデータ開示の方針が違うようだ。
何か、狙いや理由があるのだろう。
インディアンウイスキーのHayward’sはDiageo/United Spiritsがブランド売却したことで、データがなくなったのである。
●ウイスキー販売量数値データ
グラフで推移を見てきたが、数値データはこのようになっている。
10以下ではジャパニーズウイスキーとして、
12位のサントリー角瓶、18位のブラックニッカが入っている。
13位から17位まではスコッチウイスキーが占めている。
TOP20ではインディアンとスコッチがそれぞれ7ブランド。
アメリカンが2ブランド、ジャパニーズが2ブランド。
アイリッシュとカナディアンが1ブランドずつ。
以前よりもインディアンブランドが再編されたように思える。
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●あとがき
世界のウイスキー需要はまだ健在のようだ。
メーカーの増産計画が進む中、これから供給量が増加し、
さまざまな販売戦略を展開していくことが予想される。
ウイスキー消費大国インドでのスコッチ関税緩和の話もあり、
スコッチはさらに販売を伸ばす可能性がある。
これからも販売量ランキングは激しい動向が見られそうである。