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酒飲みにとっては子供が成人したら一緒に飲みたいと思うだろう。
今回は子供が生まれた時に買うお酒を紹介しよう。
または、子供が生まれた酒飲みへの贈物(ギフト)としても良いだろう。
子供の生まれた年にお酒を買い、20年後に子供が成人したら一緒に飲むのである。
20年という歳月は、長く感じるかもしれないが、
経ってしまうとあっという間に感じてしまうかもしれない。
●成人した子供とお酒を飲む2つのパターン
成人した子供とお酒を飲むパターンは2つある。
1つは子供が成人する時に、生まれた年のお酒を買うことである。
ワインやブランデーなどのヴィンテージが当てはまる。
これは20年物のお酒を購入することになるので、それなりの値段である。
もう1つは子供が生まれた時に、お酒を買い、20年間保管しておくことである。
子供の成長と一緒に、お酒も一緒に手元で時間が経過する。
ヴィンテージに比べると、かなり安価に購入することができる。
しかし保管に関して注意も必要である。
ここからは20年保管するお酒について詳しく説明していこう。
●20年保管するお酒選び
お酒の種類は大きく3つに分けられる。
- 醸造酒(ビール、日本酒、ワイン、、、)
- 蒸留酒(ウイスキー、焼酎、ブランデー、ラム、、、)
- 混成酒(リキュール、梅酒、、、)
結論から言うと、20年保管するなら蒸留酒がオススメである。
①醸造酒(ビール、日本酒、ワイン、、、)
基本的に醸造酒の長期保存はオススメしない。
ビールや日本酒、ワインなどの醸造酒は経年変化が激しい。
メーカーが熟成させるものは、長期熟成に耐えると判断されたものであり、
一般消費用に購入できるお酒は長期保存向けではないのである。
長期保存できないわけではないが、あまりうまくいかないだろう。
もしやるなら、下記で紹介する長期保存専用のお酒を使うと良い。
一応、醸造酒の長期保存について書いておく。
醸造酒の場合、お酒に含まれる成分(アミノ酸や糖分など)が
時間とともに変化することで、液体の色が濃くなる。
注意したいのは容器と保管場所である。
容器はガラス瓶が望ましい。
缶では腐食や、金属臭が出たりする可能性がある。
醸造酒は温度変化に弱く、温度管理が必要になる。
ワインセラーで管理する場合でも、
20年だとワインセラー自体を途中で買い替えることが多い。
加熱処理していない醸造酒は瓶内で二次発酵してしまうので、
通常の栓では破裂の恐れがある。
シャンパンのような栓でないと安心できない。
②蒸留酒(ウイスキー、焼酎、ブランデー、ラム、、、)
個人で長期保存するなら蒸留酒がオススメである。
アルコール度数が高いことや、温度変化に強いことが、長期保存に向く。
一般的にガラス瓶内での熟成は進まないといわれるが、円熟はする。
円熟とは、味わいがまるくなる、まろやかになるということである。
時間とともにアルコールと水の分子が結合して、アルコールの刺激が弱まる。
アルコール刺激が減ることで、他の風味が相対的に強くなる。
ガラス瓶以外では陶器で保管すると、
陶器表面の微細な孔に含まれる少量の空気と反応して変化が楽しめる。
蒸留酒は醸造酒ほどの大きな変化はないが、保管の手間が段違いにラクである。
アルコール度数の高いウイスキーやブランデーに比べると、
焼酎はアルコール度数が低いため、変化は感じにくい。
・混成酒(リキュール、梅酒、、、)
長期熟成のリキュールはあまり聞かないが、梅酒では〇年モノという製品がある。
混成酒はベースのお酒によってアルコール度数に幅がある。
ベースが蒸留酒のお酒なら、長期保存に向いている。
混成酒の多くは、砂糖などの糖分を添加しているため、時間経過によって色は濃くなる。
梅酒は実が崩れてくる可能性があるが、飲めなくわけではない。
もし自家製の梅酒を長期保管する場合は、しっかりと密閉することが重要である。
通常の梅酒用容器では、数年は大丈夫だが、
20年ではプラスチック部分が劣化する可能性があるので、注意が必要。
●長期保存できるお酒紹介
20年以上の長期保存できるお酒を紹介しよう。
長期保存用に商品化されたもの、通常商品での長期保存に向くもの。
なるべく手間がかからないものを選びたい。
・日本酒 『未来へ』/達磨正宗
岐阜県にある酒蔵 達磨正宗が造る、長期保存向けの日本酒『未来へ』。
達磨正宗は、ヴィンテージとして1971年物から揃っており、長年の実績がある。
ワインなどと同様に、日本酒でもヴィンテージが購入できる。
自分で20年間、手元で熟成させたいなら、長期保存用を使うことが重要。
通常三段仕込みで造られる日本酒だが、五段仕込みにすることで長期熟成用に調整されている。
一般的に三段+αの段数が増えるにつれ、甘味が増すため、五段は結構甘味が強い。
甘味とはつまり糖分であり、糖分は経時変化する。
長期保存用に設計されており、常温保存ができ、
コルク使用の特許技術で密封されているのいることが安心できる。
子供が成長してからヴィンテージを購入するよりも、
手元で子供と一緒に時間が経過するのを見守ることができるのも一つの楽しみである。
成長の節目(5年、10年、15年、七五三、小中高の入学卒業)で飲む為に、複数本購入する人もいる。
味がどのように変化しているのか、途中で飲みたくなるのはよくわかる。
・中国酒 紹興花彫酒(しょうこうかちょうしゅ/しょうこうはなほりしゅ)
紹興酒が造られる中国浙江省の紹興地域では、
女の子が生まれると紹興酒の甕を地中に埋めていた。
そして娘が嫁ぐ日にお祝いとして紹興酒を掘り出して振る舞ったり、
嫁ぎ先に持って行かせたという。
掘り出された甕に花を彫って装飾したことから、
花彫酒(かちょうしゅ/はなほりしゅ)と呼ばれるようになった。
現在では伝統的風習を守っている家庭は少なくなっている。
花彫酒はメーカーから商品として、5年物や10年物、20年物などが販売されている。
紹興酒は醸造酒であり、経年変化で色が濃くなっていく。
地中は温度変化が少なく、光も当たらないため、良い保管方法である。
しっかり密封していれば数十年は保管できたのであろう。
花彫酒であれば、長期熟成用に設計されているため、
3年や5年物を購入して追加熟成しても大きく崩れることはないだろう。
・ウイスキー ブレンデッド
ウイスキーにもいろいろな種類があるが、ブレンデッドがオススメである。
理由は、20年後にオールドボトルとなったものと、
20年後の新品と飲み比べができるからである。
ブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンドである。
ブレンダーが同じ味になるように調整しているので、新品は20年後もほぼ同じ味わいになる。
もしかしたらユーザーの嗜好の変化に合わせて多少変わっているかもしれないが。
また、シングルモルトでは材料が環境の影響を受けやすく、
さらに熟成年数表示も変わっているかもしれない。
飲み比べするならブレンデッドのほうが適していると考える。
オススメは日本の大手メーカーのブレンデッドである。
ロングセラー商品は手に入りやすく、20年経っても店頭にある可能性が高い。
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●あとがき
子供が成人したら一緒にお酒を飲みたいと思っている酒飲みの親は多い。
しかしアルコール離れが進むなか、20年後にはどうなっているのだろうか。
また、飲酒年齢はそのままなのだろうか。
今後どのような時代になるかはわからないが、
20年分の時間が詰まったお酒なら一緒に飲んでくれるだろう。