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『ラッフルズ・ホテルの名作カクテル』【シンガポール・スリング】

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文字数:約2000文字

 アジアを代表するカクテルの一つ、『シンガポール・スリング』。
20世紀に誕生して以来、日本でも定番カクテルとして知られている。

 シンガポール・スリングのレシピや誕生背景を説明する。

シンガポール・スリング
Olga OginskayaによるPixabayからの画像

レシピ

 シンガポール・スリングには、オリジナルレシピと現代版レシピがある。
オリジナルレシピでは多くの材料が使われている。
現代版は材料を減らして簡単にしたものだが、なぜこのようになったのかはわかっていない。

・オリジナルレシピ

材料/レシピ

  • ドライ・ジン・・・・・・・・・・・・・・45ml
  • チェリー・リキュール(ヒーリング)・・・15ml
  • コアントロー・・・・・・・・・・・・・・7.5ml
  • ベネディクティン・・・・・・・・・・・・7.5ml
  • パイナップル・ジュース・・・・・・・・・60ml
  • ライム・ジュース・・・・・・・・・・・・15ml
  • グレナデン・シロップ・・・・・・・・・・2dash
  • アンゴスチュラ・ビターズ・・・・・・・・1dash
  1. シェーカーに氷と材料を注ぎ、シェークする
  2. ストレーナーで濾しながら、グラスに注ぐ
  3. お好みでスライス・オレンジやマラスキーノ・チェリーを飾ってもよい

 オリジナルレシピは材料が多い
ベネディクティンのハーブ系の香りが漂う。
アンゴスチュラ・ビターズの苦味が、甘さを引き締めて、絶妙な味わいとなる。

・現代版レシピ

材料/レシピ

  • ドライ・ジン・・・・・・・45ml
  • チェリー・リキュール・・・15ml
  • レモン・ジュース・・・・・20ml
  • ソーダ・・・・・・・・・・適量
  1. シェーカーに氷とソーダ以外の材料を注ぎ、シェークする
  2. ストレーナーで濾しながら、グラスに注ぎ、ソーダを加える
  3. お好みでスライス・オレンジやマラスキーノ・チェリーを飾ってもよい

 オリジナルレシピと比べるととてもシンプルになっている。
その分、チェリー・リキュールの味わいが引き立つ

 ここまで違うと、カクテルとしては別物といわれても仕方がない。
いつ、だれが、なぜ、このようにしたのかは不明である。

チェリー・リキュール?、チェリー・ブランデー?

チェリー・リキュール
Marsal1によるPixabayからの画像

 シンガポール・スリングの特徴は、チェリー・リキュールを使うことにある。
チェリー・リキュールを使ったカクテルの代表がシンガポール・スリングなのである。

 カクテルブックによっては、材料にチェリー・ブランデーと書かれているものがあるが、
これはチェリー・リキュールのことである。
『フルーツ・ブランデー』のことではない

 オリジナルレシピで使われたチェリーのお酒は、デンマーク産のチェリー・リキュール『ヒーリング』であるとされている。
19世紀からあるブランドで、シンガポール・スリングに使われたことで広く知られるようになった。
ヒーリングはブランデーをベースにして作られたリキュールであり、フルーツ・ブランデーではない。

 チェリー・ブランデー以外にもアプリコット・ブランデーがある。
チェリーと同様に、アプリコットもブランデーと書かれているがリキュールのことである。
なぜこのような紛らわしいことになったのだろうか、、、

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誕生背景

夕焼け
Dimitris VetsikasによるPixabayからの画像

 シンガポール・スリングが誕生したのは1910~1915年の間とされている。
シンガポールの名門ホテル、ラッフルズ・ホテル内にあるロング・バーのバーテンダー 厳崇文(ニャン・トン・ブーン)によって考案された。

 シンガポールの夕焼けをイメージされており、美しい色合いと、フルーティーな味わいが旅行客に人気となった。
当初はストレーツ(海峡)・スリングと呼ばれていたが、1930年代にはシンガポール・スリングに呼ばれている。

●スリングとは?

カクテルグラス
StockSnapによるPixabayからの画像

 18世紀末のアメリカで誕生したカクテルスタイルの一種。
『スリング(SLING)』とは、ドイツ語で「飲み込む」を意味する「Schlingen(シュリンゲン)」に由来する。
蒸留酒にレモン果汁と砂糖やシロップで作る。
ビルドやシェークで作られる。
シンガポール・スリング以外にも、『ジン・スリング』が有名。

・ジン・スリング

材料/レシピ

  • ドライ・ジン・・・・・・・・・・・・・45ml
  • レモン・ジュース・・・・・・・・・・・15ml
  • シュガー・シロップ・・・・・・・・・・15ml
  • ソーダ、またはミネラルウォーター・・・適量
  1. 氷を入れたグラスにソーダ以外の材料を注ぎ、ステアする
  2. 冷やしたソーダで満たし、軽くステアする

 シンプルなレシピで、スッキリとした味わい。
似たものとして、トム・コリンズがあるがそちらはオールド・トム・ジンを使う。

あとがき

 オリジナルレシピのシンガポール・スリングをぜひ味わっていただきたい。
現代版とはまったく違って、フルーティーで複雑な味わいがする。
もしシンガポールへ海外旅行する際は、ラッフルズ・ホテルを訪ねてみるのも楽しいだろう。
今はシンガポール・スリングに改良を加えたラッフル・スリングというカクテルがあらしい。
こちらも味わってみたいものだ。

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