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『レディ・キラーと呼ばれたカクテル』【スクリュードライバー】

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文字数:約1800文字

 ウォッカ・ベースのカクテルとして有名なスクリュードライバーは、
その昔レディー・キラーと呼ばれていたことはよく知られた話である。

 このスクリュードライバーのレシピや誕生背景、バリエーションを紹介しよう。
バリエーションはどれも飲みやすいので、飲み過ぎには注意である。

スクリュードライバー
Jan VašekによるPixabayからの画像

レシピ

材料/レシピ

  • ウォッカ・・・・・・・・45ml
  • オレンジ・ジュース・・・90ml
  1. グラスに氷と、材料を入れ、ステアする
  2. お好みで、オレンジ・スライスを飾ってもよい

 つくり方は非常にシンプル。
ウォッカとオレンジ・ジュースを混ぜるだけ

 味わいがクリアなウォッカは、オレンジ・ジュースに隠れてアルコールを感じづらくなる。
ほとんどオレンジ・ジュースの味わいである。
しかしアルコール度数は高めなので飲み過ぎに注意が必要。
レシピ通りなら、アルコール度数は13%になる(氷の解ける量は考慮せず)。

 ジュース感覚で飲んでしまうと、気付かないうちにアルコールがまわってしまう。
女性がついつい飲み過ぎたり、男性が女性を口説く目的で酔わせるために飲ませたりすることから
レディー・キラー』と呼ばれた。

 しかし現代ではスクリュードライバーが有名になったことで、飲み過ぎる人はあまりいない。
スクリュードライバーのバリエーション・カクテル(下記)のほうが気を付けなければならい。

誕生背景

ネジ回し
KlaraによるPixabayからの画像

 スクリュードライの意味は「ネジ回し」である。
この名前が付いた由来は、1940年代に油田(テキサスやイランなど諸説あり)で働くアメリカ人作業者が、
ウォッカとオレンジ・ジュースを混ぜて飲もうとした時に、
混ぜるもの(マドラーやスプーン)がなかったため、近くにあったネジ回しを使ったことによる。

 当時のオレンジ・ジュースはスチール缶に入っており、缶の蓋に穴を開け、中身を出すようになっていた。
プルタブが発明される前の時代である。
穴を開ける道具は缶切りや錐(キリ)が使われたが、一部でネジ回しも代用されていた

 つまり、オレンジ・ジュースの缶を開けるのに使ったネジ回しを、
そのままマドラーとしても使ったということである。

スチール缶
EllesansによるPixabayからの画像

 他の説としては、アメリカの禁酒法時代(1920~1933)に、
お酒を飲んでいることを誤魔化すために誕生したとされるものもある。

バリエーション

 スクリュードライバーのバリエーション・カクテルとして、
『ハーヴェイ・ウォール・バンガー』を紹介しよう。

・ハーヴェイ・ウォール・バンガー

材料/レシピ

  • ウォッカ・・・・・・・・45ml
  • オレンジ・ジュース・・・90ml
  • ガリアーノ・・・・・・・2tsp
  1. グラスに氷と、材料を入れ、ステアする
    (ガリアーノはステアせず、フロートさせてもよい)
  2. お好みで、オレンジ・スライスを飾ってもよい
マンハッタン・ビーチ
MustangJoeによるPixabayからの画像

 カリフォルニア州のマンハッタン・ビーチのパンチョズ・バーで誕生したカクテル。
スクリュードライバーにバニラの香りがするハーブ系リキュール『ガリアーノ』を加えたもの。
オレンジ・ジュースにバニラの香りとハーブ感が加わり、飲みやすい。

 ハーヴェイという名のサーファーはいつもスクリュードライバーにガリアーノを加えて飲んでいた。
ある日、ハーヴェイは波乗りの後、バーでこのカクテルを飲んで酔ってしまい、サーフボードを壁(ウォール)にぶつけてしまう(バング)。
このできごとから『ハーヴェイ・ウォール・バンガー』と呼ばれるようになったという。

 このカクテルがアメリカで流行したことによって、『ガリアーノ』が広く知られるようになる。
ガリアーノは、イタリア産のハーブ・リキュールである。
ブドウが原料のグレープ・スピリッツにバニラを含む数十種類のハーブやスパイスを漬け込んで造られる。


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・その他のバリエーション

 ウォッカとジュースののカクテルは他にもある。

  • ビッグ・アップル
     アップル・ジュースに替えたもの
  • グレイ・ハウンド(ブルドッグ)
     グレープフルーツ・ジュースに替えたもの
     このグレイ・ハウンドは塩なしの『ソルティ・ドッグである
  • (シンプルな)ブラッディ・メアリー
     トマト・ジュースに替えたもの
  • ブラッディ・シーザー
     クラマト・ジュース(はまぐりエキス入りトマト・ジュース)に替えたもの

 ウォッカが無味無臭に近いため、さまざまなジュースと相性が良いのである。
逆に特徴を出しづらいという点もあるが。

あとがき

 当時ネジ回しを使って混ぜたカクテルは、鉄錆の味がしたのだろうか。
油田の作業者もさすがに指で混ぜることはしなかったようだ、賢明な判断である。
カクテル名というのは何がきっかけとなるのかわからず、だからこそ面白い。

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