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ワインは世界中で造られている。
あらゆるものが行き交う現代において、ワインの輸出入はどうになっているのだろうか。
ということで、ワインの輸出入量をまとめた。
輸入量が多い国、輸出量が多い国、輸出入量の推移などをグラフ化している。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV:International Organisation of Vine and Wine)が
公表しているデータを基にした。
●世界のワイン輸出入量
・地域別ワインの輸出入量
2022年の世界全体の輸入量は約1,013万kL、輸出量は約1,075万kLである。
若干輸出量のほうが多いが、ほぼ同程度である。
地域別の割合でみると、輸出、輸入ともにヨーロッパが2/3を占めている。
次いでアメリカ地域が輸入量で22%、輸出量で16%を占める。
三番目に多い地域が輸入量と輸出量で違いが出ている。
輸入量ではアジア、輸出量ではオセアニアとなっている。
・世界のワイン輸出入量推移
これまでワインの輸出入量は右肩上がりだった。
しかし、ここ10年ほどは横ばいが続いている。
さまざまな要因が考えられるが、
全体の2/3を占めるヨーロッパの影響が大きいだろう。
次の地域別の推移グラフからそのことがわかる。
・地域別ワインの輸出入量推移
1995年から2022年までの推移を見てみよう。
全体の輸入量は増加傾向からやや横ばいに転じ、落ち着いている。
ヨーロッパも全体と同様の傾向にある。
アメリカ、オセアニアは増加傾向が続いている。
逆にアフリカ、アジアは減少傾向にある。
アジアの減少要因は中国によるところが大きい。
全体の輸出量も増加傾向から横ばいである。
こちらもやはりヨーロッパが全体と同様の傾向にある。
アメリカやオセアニアは増加傾向が止まっているように見える。
これはパンデミックの影響なのだろうか。
アフリカは増減が激しく、不安定である。
アジアは増加傾向にあるが、他地域に比べるとまだまだ少ない。
輸入も輸出もヨーロッパが全体に与える影響がはっきりとわかる。
ヨーロッパはワインの歴史が長く、成熟期を迎えてる。
これから大きく伸びることは考えにくい。
●国別のワイン輸出入量ランキング2022
輸入量、輸出量のTOP4を示した。
それぞれを詳しく見てみよう。
・国別ワイン輸入量2022
2022年のワイン輸入量1位はアメリカで全体の14%を占め、初めて首位に立つ。
2位はドイツで13%を占め、3位のイギリスと僅差である。
ワイン大国フランスは4位であり、以外と輸入もしているのである。
以下、5位オランダ、6位カナダ、7位ロシア、8位中国、
9位ベルギー、10位ポルトガルと続く。
これらの上位10カ国で全体の約7割を占める。
ちなみに日本は次点の11位である。
・国別ワイン輸出量2022
2022年のワイン輸出量1位はイタリアで全体の20%を占める。
わずかな差で2位はスペイン、3位はフランス、ヨーロッパのワイン大国がTOP3を占める。
4位に南米チリが存在感を放つ。
5位オーストラリア、6位南アフリカ、7位ドイツ、8位ポルトガル、
9位アメリカ、10位ニュージーランド。
これらの上位10カ国で全体の約8割を占める。
ちなみに日本は77位である。
・国別ワイン輸入量推移
2022年に1位となったアメリカは右肩上がりに輸入量を伸ばしている。
これまで1位だったドイツ、2位だったイギリスは横ばいが続いている間に、
アメリカに抜かれてしまった。
フランスは一度中国の急上昇に抜かれたが、その後の中国の急減少によって4位をキープしている。
下位の混戦状態を拡大して見てみよう。
オランダやカナダが徐々に輸入量を増やしてきている。
ロシアや中国はブームでの爆発力が大きい。
日本はここ10年くらいは横ばいが続いている。
・国別ワイン輸出量推移
ワイン輸出量はイタリアとスペインの2強状態である。
フランスは3位で安定している。
4位のチリは増加から横ばい状態。
5位のオーストラリアはやや減少気味である。
拡大してみると、南アフリカは増減が激しい。
アメリカとドイツは緩やかに減少傾向にある。
じわじわと輸出量を増やしているのがニュージーランドである。
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●あとがき
世界のワインの輸出入量に大きな影響を与えているのはヨーロッパである。
ワインの本場であり、長い歴史を持つので、当然といえばその通りだろう。
しかしヨーロッパでワインは生活の一部となっているため、大きな変化は起こらない。
今後、他国から大量に輸入することもなければ、
ブドウの栽培面積を大幅に増やして大量輸出することも考えにくい。
結局のところ需要と供給のバランスなのだが、
ヨーロッパ以外の地域が今後のカギを握ることになるのだろう。
さらに輸入関税なども考える始めると、とても複雑で興味深い。