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図解■ 梅酒の原料 梅の収穫量

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文字数:約2100文字

 梅酒の原料である梅のデータをまとめた。
栽培面積、収穫量、出荷量、品種別、用途別などのデータを見てみよう。
農林水産省のデータを基にしている。

梅の栽培面積、収穫量、出荷量 推移

梅の栽培面積、収穫量、出荷量グラフ

 結果樹面積とは収穫ができる果樹が植樹されている面積のことであり、
栽培面積はまだ収穫できない果樹を含めた面積のことを指し、厳密には違う。

 全国の梅の結果樹面積は2002年をピークをつけ、減少傾向にある。
収穫量も減少傾向にあり、出荷量は微減

 梅の栽培量、収穫量、出荷量が減少している原因は何なのだろうか。
都道府県別のデータも見てみよう。

梅の収穫量 都道府県別データ

梅の収穫量マップ
梅の収穫量 都道府県別グラフ

 2023年の梅の収穫量は和歌山県が全体の64%を占めている。
他県とは一桁違い、まさにダントツ、圧倒的といえる。

 次点の群馬県は全体の6%であり、3位とは三倍ほどの差がある。
以降は福井県、山梨県、三重県、青森県、神奈川県、
宮城県、長野県、大分県と千トン台が続く。

 全国の収穫量が減少傾向にあるが、都道府県別ではどうなのか見てみよう。

・梅の収穫量 都道府県別 推移

梅の収穫量 都道府県別 推移グラフ

 和歌山県は増減はあるが、高い位置で横ばいをキープしている。
群馬県や長野県、山梨県の減少が全体の減少に大きく影響している。

 和歌山県が全体の2/3をキープしても、残りの1/3が減少していることが、
全体の減少につながっている。

 和歌山県以外の都道府県が減少傾向にあることがわかった。
次は用途別でデータを確認してみよう。

梅の用途別データ

・梅の用途別 割合

梅の用途グラフ

 栽培され、収穫された梅は大きく4つの用途に分かれる。

  • 青梅用
  • 梅干・梅漬け用
  • 梅酒等飲料用
  • その他

 全体の2/3である67%を占めるのが梅干・梅漬け用である。
1/4である26%は青梅として販売される。
梅酒等飲料用にはわずか6%程度しか使われていない。

・梅の用途別 推移

梅の用途別 推移グラフ

 梅の収穫量が減少傾向にあることに対して、
梅干・梅漬け用も減少していることがわかる。

 さらに減少が顕著に表れているのが青梅用である。
青梅用とは一般に販売されるものある。
つまり、家庭で梅仕事をすることが機会が減少しているといえる。

 梅酒等飲料用は横ばいように見える。
拡大して見てみよう。

梅酒等飲料用 推移グラフ

 年によって増減はあるが、だいたい横ばい、微減といった感じだろうか。

・都道府県別 用途割合

梅の用途割合 都道府県別グラフ

 梅の収穫量ダントツ1位の和歌山県では7割以上が梅干・梅漬け用に使われている。
長野県はさらに梅干・梅漬け用の割合が8割を超える。
逆に青森県と神奈川県は青梅用がほとんどを占めている。

 梅酒等飲料用の割合が多いのは、奈良県、福井県、山梨県である。
しかし、これら三県を合わせても、和歌山県の6%には敵わない。

梅の品種別データ

梅の品種別 栽培面積グラフ

 2021年の梅の品種別栽培量のデータである。
最も栽培されているのは南高であり、58%を占める。
次いで、白加賀が14%、小粒南高が4%、紅サシが3%、豊後3%、古城2%。

 では、品種別の都道府県ランキングも見てみよう。

・梅の品種別収穫量 都道府県ランキング

梅の品種別収穫量 都道府県ランキング

 データは2020年の収穫量である。
梅酒でよく聞く品種をピックアップした。

 南高はやはり和歌山県がほとんどといっても過言でなない量である。
南高の主な収穫地は和歌山県、三重県、奈良県紀州地域ということがわかる。

 白加賀は群馬県が大量に栽培・収穫している。
意外にも青森県が豊後の収穫量1位なのである。
古城と鶯宿は収穫量が少ない品種である。

 他の梅酒品種として、紅サシや剣先は福井県の特産であり、
他県ではほとんど栽培されていないのでランキングの意味がない。
竜峡小梅は梅酒用が少なすぎる

まとめ

 色々なデータを見てきたので、わかったことをまとめよう。

  • 梅の栽培量、収穫量、出荷量は減少傾向にある
  • 収穫量1位はダントツで和歌山県、2位は群馬県
  • 和歌山県の収穫量は横ばい、群馬県、長野県、山梨県の減少が大きい
  • 梅の用途は67%が梅干・梅漬け用、26%が青梅用、梅酒等飲料用は6%程度
  • 用途別では梅干・梅漬け用、青梅用が減少、梅酒等飲料用は横ばい
  • 栽培品種は南高58%、白加賀14%、小粒南高4%、紅サシ3%、豊後3%、、、

 梅の栽培量や収穫量が減少している主因は梅干しの需要が減ったことにある。
梅干しを食べなくなるということは、家庭でも梅干しを作らなくなる。
ご飯のおともは梅干し以外にも数多くあり、熾烈を極めている。

 さらに海外産の梅が輸入され、価格競争にもさらされている。
梅の需要が減ると、新たな担い手も減り、高齢化が進めば栽培を止めてしまう場合もある。

 梅を取り巻く環境を楽観視することができないが、
梅酒用の需要が横ばいなことは救いである。
用途割合は6%程度だが、まだ希望はあると信じたい。

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あとがき

 梅の需要を回復させるには新たな用途開発が必要である。
梅干しや梅酒の需要が今後大きく高まることは考えづらい。
現在注目を集めているのが梅エキスの健康効果である。
近年、梅エキスの様々な健康効果が実証されており、注目が集まっている。
梅エキスは梅をすり潰したものを煮詰めて作られる。
このため、少量のエキスを作るにも大量の梅が必要になる。
世界的な健康志向に乗ることができれば、梅の需要回復も可能かもしれない。


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