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世界的な物価高のなか、景気減速が懸念された2023年。
ウイスキー販売もその影響を免れることはできなかった。
世界のウイスキー販売量のランキングと、その推移をグラフで見てみよう。
データはイギリスのDrinks Internationalのものを基にした。
●ウイスキーの販売量ランキング2023
TOP10の内6ブランドがインディアンウイスキー、
アメリカンが2ブランド、スコッチ、アイリッシュは各1ブランである。
インディアンウイスキーの強さが堅持された結果である。
2023年の販売量1位はインディアンウイスキーのMcDowell’sである。
2019年から5年連続で1位を獲得している。
厳しい環境であった2023年も2%の増加を達成している。
2位にはインディアンウイスキーのRoyal Stagが位置する。
2年連続の2位ではあるが、徐々に1位との差を縮めてきている。
前年比での増加率は3%である。
3位のOfficer’s Choiceは、2022年はデータを非開示だったが今回復活した。
一時期は3,500万ケースという驚異の販売量を誇っていたが、
現在は23,00万ケース程度に留まっている。
それでも凄い量だが、今後の戦略に注目したい。
4位はインディアンウイスキーのImperial Blueである。
パンデミックからの回復がやや鈍いのが気になる。
ここまでの上位4ブランドは全てインディアンウイスキーが占めている。
5位はスコッチウイスキー販売量No.1のJohnnie Walkerである。
パンデミック後に力強い回復を見せていたが、物価高の影響でやや減少している。
しかし3位、4位を射程圏内に捉えているので、TOP3に入る日も近いのかもしれない。
6位はアメリカンウイスキーのJack Daniel’sである。
ゆっくりだが確実に販売量を増やしていたJack Daniel’sだが、2023年は減少した。
減少幅は2%程度なので、人気は健在である。
7位もアメリカンウイスキーのJim Beamである。
2022年はデータ開示がなかったが、今回復活した。
アメリカンウイスキーNo.2の販売量を持つJim Beamが帰ってきた。
8位はアイリッシュウイスキーNo.1の販売量を誇るJamesonである。
前年比8%の減少だが、ここがふんばりどころである。
2024年は立て直すことができるのだろうか。
9位はインディアンウイスキーのBlenders Prideである。
厳しい状況のなかでも、ギリギリ1%の増加を維持した。
10位はインディアンウイスキーの8PMである。
2021年をピークに2年連続で減少している。
1つ上の8PMと差がひらきつつあるが、今後に注目したい。
●ウイスキーの販売量 推移
10年間の販売量をグラフに表した。
2023年は多くのブランドで販売量が減少していることがわかる。
ツートップのMcDowell’sとRoyal Stagは増加を維持できている。
しかしRoyal Stagは少し勢いが弱まっている。
以前首位だったOfficer’s Choiceが減少したことで、3,4,5位が僅差となっている。
2024年は順位の入れ替わりがあるかもしれない。
●ウイスキーの販売量 数値データ
まとめたデータをお求めの方はこちら。
TOP20までの販売量データも見ておこう。
11位のRoyal Challengeは前年比21%増加しており、TOP10入り目前である。
18位のRoyal Greenは32%増であり、この10年間増加を続けている。
ちなみにRoyal Stag、Royal Challenge、Royal Greenは特に関係ない。
それぞれオーナーが、Pernod Ricard、Diageo/United Spirits、ADS Spiritsである。
12位のBallantine’sはスコッチNo.2であるが、前年比11%減、
13位のカナディアンウイスキーCrown Royalも前年比8%減、
15位のChivas Regalも12%減、
さらに17位のジャパニーズウイスキーの角瓶は31%減、
という厳しい年だったことがうかがえる。
なじみのブランドとして21位Black Nikka Clear、22位Dewar’s、24位Black & White、
25位Evan Williams、26位Maker’s Markなどが位置している。
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●あとがき
2023年はインディアンウイスキーの底堅さを垣間見た気がする。
それはインディアンウイスキーの大半を消費するインドの強さでもある。
国の成長が消費を支えるというシンプルな話である。
インドは今後も発展を続けると予測されており、
まだまだウイスキーの消費に伸びしろがある。
ということはインドにブランド進出できれば、大きな可能性が得られる。
どのメーカーもインド市場攻略を目指してしのぎを削っている。
今後もインドから目が離せない。