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2023年は世界的な物価高により、消費意欲が低下した年だった。
スコッチウイスキーにもその影響は及んでおり、
多くのブランドで販売量が減少した厳しい年となった。
スコッチウイスキー販売量のランキングと、その推移をグラフで見てみよう。
データはイギリスのDrinks Internationalのものを基にした。
●スコッチウイスキーの販売量ランキング2023
スコッチウイスキーの販売量ランキングTOP10である。
スコッチ販売量ランキングに大きな変動はない。
不動の1位と2位、熾烈な3位争い、混戦の5位以下という感じである。
ダントツの1位はJohnnie Walkerである。
15年以上連続で首位を維持している。
2位と倍以上の差をつけており、数年でどうにかできる差ではない。
今後もJohnnie Walkerが首位に君臨し続けるだろう。
単独2位はBallantine’sである。
首位のJohnnie Walkerを追うが、先は長く険しい。
しかし後ろから追いつかれることもまだないだろう。
良くも悪くも安定の2位である。
3位と4位は僅差である。
3位はChivas Regal、4位はGrant’sである。
前年Chivas Regalが大きく増加したことで差が付いたが、
2023年に大きく減少してまた差が縮まる。
この2ブランドの3位争いは10年以上続いている。
5位はWilliam Lowson’sが2ランクアップ。
6位はDewar’sで変わらず。
7位はBlack&Whiteが2ランクダウンで5位から転落した。
William PeelはJ&Bを抜き8位に。
抜かれたJ&Bは9位にダウン。
10位はBuchanan’sが2ランクアップでTOP10入りした。
●スコッチウイスキーの販売量 推移
10年間の販売量をグラフに表した。
やはりJohnnie Walkerのダントツさが目立つ。
2位のBallantine’sはけっして少なくないのだが、
Johnnie Walkerが多すぎてかすんでしまう。
2023年は2ブランドとも減少している。
やはり厳しい年であったことがわかるだろう。
3位以下はわかりづらいので拡大して見てみよう。
グラフで見るとChivas RegalとGrant’sが3位を争っていることがよくわかる。
両ブランドは抜きつ抜かれつのライバル関係のように見えてくる。
上昇傾向にあるのがBlack&Whiteである。
この10年で約2.3倍に販売量を伸ばしている。
2023年は減少したが、一時的な減少なのだろうか。
逆に下降傾向なのがJ&Bである。
この10年で3割以上減少している。
2021、2022年は増加したので下げ止まったのかと思いきや、
2023年は減少したので、まだどうなるかわからない。
●スコッチウイスキーの販売量 数値データ
まとめたデータをお求めの方はこちら。
TOP20までの販売量データも見ておこう。
注目は前年比の部分である。
今回公開されたブランドは23ある。
前年比で増加したのは23ブランド中3ブランドだけである。
増加した3ブランドは、Grant’s、Sir Edward’s、Glenfiddich。
Grant’sとGlenfiddichのオーナーはWilliam Grant & Sons社である。
景気が悪化するなかでどのような戦略を取っていたのか気になるところだ。
Sir Edward’sのオーナーはLa Martiniquaise-Bardinet社であり、
Label 5もブランド所有している。
1位のJohnnie Walkerは3%減にとどめたが、2位のBallantine’sは11%減である。
前回10位のWhite Horseや前回13位のPassportは30%以上の大幅減少である。
ほとんどがブレンデッドウイスキーだが、2ブランドだけシングルモルトがある。
それがGlenfiddichとThe Glenlivetである。
Glenfiddichは増加しているが、The Glenlivetは18%減であり、
シングルモルトが人気だからといって簡単に販売量が伸びるわけではないことがわかる。
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●あとがき
2023年は多くのブランドが販売量を落とした厳しい年だった。
日本でもウイスキーの価格が上昇し、気軽に手を出しにくくなっている。
一度上がった物価は簡単には下がらない。
スコッチの販売量ランキングにも影響があらわれ始めている。
2024年は大きな変動があるかもしれない。