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日本酒成分の約8割が水でできている。
残りはアルコールや糖分、アミノ酸などである。
厳しい基準を満たした水が酒造りに使われている。
●水質基準
日本酒造りに使用される水を醸造用水という。
醸造用水は洗米・浸漬・仕込みなどに幅広く使われ、
水道水よりも厳しい水質基準をクリアしなければならない。
日本醸造協会のデータを参考にまとめた。
鉄は、酒の色を褐変させ、香味の劣化につながるため、検出されないことが望ましい。
マンガンは、日光着色の原因となるため、検出されないことが望ましい。
有機物の数値が高いと、動植物の腐食物が溶解している可能性がある。
亜硝酸性窒素は、生酛系酵母では必要だが、他の醸造工程では適さない。
細菌酸度が高いと、有害な微生物が繁殖している可能性がある。
生酸性菌群、大腸菌群は、検出されてはいけない。
●硬度
硬度とは、水に含まれるミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウム、リンなど)の
含有量を表したものである。
硬度の基準は国や地域、機関によって違いがある。
日本では0~100を軟水、101~300を中硬水、301以上を硬水とし、
WHOでは、0~59を軟水、60~119を中硬水、120~179を硬水、180以上を超硬水としている。
日本酒にミネラル分が少ない軟水を使うと、発酵が緩やかになり、滑らかな口当たりになる。
ミネラル分が多い硬水を使うと、発酵が活発になり、辛口の力強い味わいになる。
軟水は京都の「伏見の水」(43mg/l)、硬水は兵庫の「灘の宮水」(157mg/l)が有名である。
水質も硬度は雨などの環境の変化で変動するため、定期的に確認が必要になる。
●あとがき
日本酒鑑定家の中には、日本酒を飲めばどこの水を使ったかがわかる人がいるらしい。
しかし技術の発展により水の影響を抑えることもできようになってきたため、
今後は使用水を言い当てるのは難しくなってきそうだ。
やはりその土地の水を活かした酒造りが重要だと思う。