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【陶陶酒(とうとうしゅ)】『マムシのエキスパートがつくる薬膳酒』

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文字数:約2300文字

 薬膳酒のなかでも陶陶酒(とうとうしゅ)はマイナーである。
ここではそんな陶陶酒の特徴や効能、材料などを紹介する。

陶陶酒
https://www.tohtohshu.co.jp/index.html

陶陶酒の特徴

 陶陶酒の特徴は、植物生薬と動物生薬を合わせて使用している点である。
他の薬膳酒でも植物生薬と動物生薬を合わせて使用しているものはあるが、
陶陶酒の製造元が動物生薬を古くから扱っているエキスパートということである。
薬膳酒に使われる主な動物生薬は反鼻(はんぴ)というマムシの皮である。

 製造元の陶陶酒本舗は1690年(元禄3年)から薬種店として、
漢方薬とマムシの黒焼きを江戸で販売していた。

 戦後、東京にマムシ酒の科学的研究のため「東洋医学研究所」を設立する。
さらに1965年(昭和40年)に蛇類の応用研究のため「陶陶酒蛇族研究所」を設立。
同研究所は1968年(昭和43年)に「一般財団法人 日本蛇族学術研究所」となる。
一般公開施設として「ジャパン・スネークセンター」が群馬県太田市にある。

 陶陶酒は蛇に精通する会社がつくる薬膳酒であることに大きな特徴がある。

陶陶酒の効能

 陶陶酒は、「滋養強壮、基礎体力の増進」を目的としてつくられている。
以下のような効能として謳っている。

  • 滋養強壮
  • 虚弱体質
  • 肉体疲労
  • 病中病後
  • 胃腸障害
  • 栄養障害
  • 発熱性消耗性疾患
  • 産前産後の栄養補給
    など

陶陶酒の生薬材料

 陶陶酒には辛口と甘口の2種類がある。
銭形印の辛口はアルコール度数29%
銀印の甘口はアルコール度数12%であり、生薬にも違いがある。

生薬効能銭形印(辛口)銀印(甘口)
反鼻(はんぴ)疲労回復、冷え性
マムシ蛋白分解物抗活性酸素他
桂皮(けいひ)発汗、鎮痛、健胃
人参(にんじん)疲労回復、強精、代謝
肉蓯蓉(にくじゅよう)強精、強壮、倦怠感
枸杞子(くこし)肝腎疾患の改善
胡ずい子(こずいし)抗風邪、健胃
イカリ草(いかりそう)強精、強壮
甘草(かんぞう)胃潰瘍、鎮咳
茴香(ういきょう)胃腸運動亢進
蛇床子(じゃしょうし)抗白せん菌、抗原虫作用
大そう(だいそう)鎮静、利尿、強壮
莪朮(がじゅつ)鎮静、生理不順の改善
陳皮(ちんぴ)健胃、鎮咳、去痰
五味子(ごみし)鎮咳、下痢止
紫蘇葉(しそよう)鎮痛、鎮咳、去痰
アミノ酸類分解・代謝・吸収・排泄・エネルギー
ビタミン類代謝・吸収

 アミノ酸類:L-グルタミン酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、
DL-アラニン、グリシン、L-スレオニン、L-バリン、L-アルギニン塩酸塩、
L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム

 ビタミン類:硝酸チアミン、パントテン酸カルシウム

・マムシの効能

蛇
OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像

 陶陶酒には反鼻(はんぴ)マムシ蛋白分解物が使われている。
反鼻は疲労回復と冷え性に効くため、他の薬膳酒でも使用を見かける。
しかしマムシ蛋白分解物というものは他では見ない。

 マムシ蛋白分解物の効能は抗活性酸素他とある。
活性酸素が悪い働きをすると老化や生活習慣病、ガンなどの引き金になるとされる。
この活性酸素を抑える働きがマムシ蛋白分解物にあるという。

 マムシにはシスタチオニンというアミノ酸を多く含んでいる。
シスタチオニンを体内に取り込むと細胞内でグルタチオンという物質に変化する。
このグルタチオンが活性酸素を抑制するという。

陶陶酒の由来

 陶陶酒(とうとうしゅ)とは変わった名前だと思う人も多い。

 「陶」とは「酒を入れる壺」「陶器」「陶芸」
「人を教え育てる」「うっとりする(陶酔)」を意味する。

 「陶陶」とは「やわらかく酒が胃の腑にしみてゆくさま、つまり陶然となる」とある。

 心身共に健やかでこそ酒を飲んで初めて快楽を感じる。
このような人生の喜びを味わってほしいとの願いを込めて『陶陶酒』と命名されたという。

陶陶酒の歴史と危機的現状

陶陶酒の歴史
https://www.tohtohshu.co.jp/index.html

 陶陶酒をつくる陶陶酒本舗の前身が創業したのは1690年(元禄3年)である。
約330年前の江戸時代に江戸の町で、漢方薬やマムシの黒焼きを薬種店として販売していた。

 昭和の時代になると、マムシを科学的に研究するようになる。
1942年(昭和17年)にマムシ成分と薬草成分とを配合した「ネオ・タウリン」という
滋養強壮薬を生み出す。

 戦後、東京にマムシ酒の科学的研究のため「東洋医学研究所」を設立。
1948年(昭和23年)に「株式会社陶陶酒本舗」を設立。
さらに1965年(昭和40年)に蛇類の応用研究のため「陶陶酒蛇族研究所」を設立する。
同研究所は1968年(昭和43年)に「一般財団法人 日本蛇族学術研究所」となる。
一般公開施設として「ジャパン・スネークセンター」が群馬県太田市にある。

ジャパン・スネークセンター
https://www.snake-center.com/

 陶陶酒本舗が設立された1948年には陶陶酒を製造されていたと考えられるため、
陶陶酒は少なくとも75年以上の歴史を持つことになる。
陶陶酒は山形県の老舗酒蔵である古澤酒造と協力して開発された。

 330年以上続く老舗薬用酒メーカーだが、2003年(平成15年)に民事再生法適用を申請した。
2023年には「民事再生から20年頑張ったけど、そろそろ限界かもしれない」というタイトルで、
クラウドファンディングを行った。
運用費用及び設備投資を目的として、目標金額100万円の支援を募ったが、
総支援額は56万1500円という結果となった。
クラウドファンディングの文章には、スポンサー募集や、事業売却の募集も書かれている。

 もしかしたら今後、陶陶酒はなくなってしまうのかもしれない。
薬用陶陶酒』は在庫がなくなりつつあるようだ。

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あとがき

 薬膳酒は生薬の独特の苦味を紛らわすため、甘口につくられていることが多い。
しかし陶陶酒は辛口も用意している。
甘さが苦手な人は意外と多く、辛口ですっきり飲めるものは重宝される。
今後、陶陶酒がどうなっていくのか、見守っていきたい。

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