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普段見かける柑橘系のリキュールは、レモンやライム、オレンジ、ゆずなど、、、
柑橘系フルーツがたくさんあることは知っていても、
それらがお酒になっていることを知る人は少ない。
日本で販売されているものを集めてみた。
●柑橘系リキュール
以下28種類の柑橘系リキュールを紹介する。
◆はっさく(八朔)
はっさくの発祥は江戸時代末期の広島だとされている。
発祥は広島県だが、全国各地で作られており、
現在は和歌山県が約7割の生産量でトップ。
名前の由来は八月朔日(旧暦の8月1日)頃に食べられたことから。
しかし現在は2月~4月頃が食べ頃とされている。
はっさくは甘さと酸っぱさに加えて、少しほろ苦い味が特徴。
甘、酸、苦のバランスがとても良い。
・はっさくロックス/(株)サクラオB&D
広島県の会社である(株)サクラオB&Dが製造するはっさくリキュール。
独自製法であるダブルフレグランスメソッドによって、
はっさく本来の香りを感じることができる。
ストレート果汁を70%も使用しており、
はっさくの特徴的な甘酸っぱさとほろ苦さを見事に表現している。
容量 | 500ml |
ベース | はっさくスピリッツ(国内製造) |
度数 | 16% |
◆だいだい(橙)
原産地はインドのヒマラヤ地方とされている。
日本には中国経由で伝わったとされるが、いつの時代かは不明確。
成った果実が落ちずにそのまま、次の世代の果実と一緒になっていることから、
『代々(だいだい)栄える=子孫繁栄』が縁起が良いとされた。
皮は厚く、果肉は酸味が強いため、生食には向かず、主に果汁が利用される。
ポン酢やマーマレードによく使われる。
・糸島だいだいのお酒/山口食品工業(株)
福岡県糸島市で栽培されただいだいを使ってつくられるお酒。
山口食品工業(株)はポン酢などの柑橘系を使った商品を多く手掛けている。
だいだいのほどよい香りと、すっきりとした酸味に清涼感を感じる。
容量 | 1800ml |
ベース | ??? |
度数 | 8% |
◆ぶんたん(文旦)
ザボンの別名として、日本ではぶんたん(文旦)の名が知られる。
発祥地は東南アジアとされ、17~18世紀に日本に伝わった。
名前の由来は文旦と日本に伝えた中国船の船長の名が謝文旦だったことから。
または、中国語で旦は俳優を意味し、俳優の文さんの庭に成っていた柑橘からとの説もある。
味は上品でさっぱりとしている。
甘味と酸味と苦味がすっきりとまとまっている。
・文旦酒/西野金陵(株)
香川県の会社である西野金陵(株)が製造する文旦リキュール。
四国産の分担果汁を45%使用してつくられている。
すっきりとした味わいで飲みやすい。
容量 | 500ml |
ベース | 醸造アルコール |
度数 | 8% |
◆ゆず(柚子)
柚子の原産は中国であり、日本には奈良時代から飛鳥時代に伝わったとされる。
江戸時代頃から、冬至にゆず風呂に入ると一年中風邪を引かないという習わしがある。
高知県が全生産量の5割を占め、同じ四国の徳島県、愛媛県がそれぞれ1割を占める。
ゆずの香りはさわやかで食欲をそそるが、果肉は酸味が強く、生食には向かない。
果汁の香りを活かして料理されることが多い。
・ゆずとろ/奥の松酒造(株)
福島県にある酒蔵 奥の松酒造(株)が自社の特別純米酒にゆず果汁をブレンドしたお酒。
ゆずのさわやかな香りと、清酒の米の旨味が見事にマッチしている。
とろっとしたのど越しがたまらない。
容量 | 500ml |
ベース | 特別純米酒、原料用アルコール |
度数 | 7% |
◆すだち(酢橘)
3,4cm(ゴルフボール大)の小さな柑橘。
料理の薬味として果汁を利用されることが多い。
徳島県の特産品であり、ほぼ徳島産で全国シェアを占めている。
似たものにかぼすがあるが、すだちのほうがかなり小さい。
すだちは柑橘系の香りが強く、味わいは甘味がなく、酸味が強い。
・阿波の香りスーパーすだち酎/日新酒類(株)
徳島県の会社である日新酒類(株)が地元のすだちを使ってつくるリキュール。
すだち酎は1985年から製造されている。
エキス分は11%使用。
「スーパー」は通常のすだち酎よりも香りが強く、度数も高いのが特徴。
容量 | 720ml |
ベース | ウォッカ(国内製造) |
度数 | 25% |
◆かぼす(香母酢)
すだちとよく混同されるのがかぼすである。
大きいほうがかぼすである(テニスボール大)。
主に大分県で生産されおり、全国生産量の98%を占めている。
すだちと同様におもに果汁が利用される。
かぼすは酸味が強いが、すだちよりは穏やか。
すだちよりも大きい分、果汁がたくさん取れる。
・かぼすリキュール/八鹿酒造(株)
大分県にある八鹿酒造(株)が地元特産のかぼすを使って1980年から製造。
かぼす特有の芳醇な香りが際立ち、爽やかな酸味と心地よい苦味が調和している。
度数が25%あるので、ロックやソーダ割などがおすすめ。
容量 | 640ml |
ベース | 醸造アルコール(国内製造) |
度数 | 25% |
◆へべす(平兵衛酢)
へべすは江戸時代末期に宮崎県で発見された。
見つけたのは長曽我部平兵衛という人で、山で香りのよい柑橘があったので、
持ち帰って庭で栽培を始めた。
その柑橘が評判となり、苗木を分け与えて広めたことから、
平兵衛酢と呼ばれるようなった。
かぼすとすだちの間くらいの大きさで、外皮が緑なところも似ている。
類似の二種と同様に酸味が強いため、主に果汁が使われ、生食はほぼない。
・へべすリキュール/井上酒造(株)
宮崎県にある酒蔵 井上酒造(株)がつくるへべすのリキュール。
地元宮崎県産のへべす果汁を40%使い、本格焼酎ベースで仕込んだ。
すっきりとした酸味がさわやかで心地よい。
容量 | 500ml |
ベース | 本格焼酎(国内製造) |
度数 | 14% |
◆じゃばら(邪払)
和歌山県にある日本唯一の飛び地 北山村で見つかった幻の柑橘。
飛び地というのは和歌山県でありながら、周囲を三重県と奈良県に囲まれているため。
ある家の庭に生えていた柑橘の味が他と違って独特だけど美味しい、
ということで調査したところ新品種だったという。
酸味とあとに残る苦味が独特の味は『にがうま』と表現され、
村興しの特産品として全国に知られることになる。
主に果汁を使い、果肉は酸っぱいのであまり食べない。
じゃばらはその独特の味わいから、邪気(鬼)を払うとされ、
実際には花粉症などのアレルギーに効果があるという。
・じゃばら酒 別仕立て/(株)吉村秀夫商店
じゃばらが発見された北山村と、和歌山県の酒蔵 (株)吉村秀夫商店による共同開発品。
純米酒をベースとすることで、じゃばらの酸味とほのかな苦味を引き立てている。
度数は高くないので、冷やしてキュッと飲むものよい。
容量 | 720ml |
ベース | 清酒(純米酒) |
度数 | 8% |
◆いよかん(伊予柑)
果肉がやわらかく、ジューシーで甘酸っぱい。
一般的なみかんとの違いは、少し酸味ある点と皮が厚いこと、
みかんよりも大きいことである。
いよかんはみかんとオレンジの自然交雑種であり、明治大に山口県で発見された。
その後、愛媛県に移植栽培され、名産品となる。
全国生産量の8割を愛媛県が占めている。
・IYOKAN宮内いよかん/梅美人酒造(株)
愛媛県の梅美人酒造(株)がつくる、地元産のいよかんを贅沢に使ったリキュール。
いよかん果汁100%使用しており、いよかんの魅力をそのまま詰め込んだ感じ。
甘味と酸味のバランスが良く、アルコール度数が7%なので、ごくごく飲めてしまう。
容量 | 500ml |
ベース | 醸造アルコール |
度数 | 7% |
◆タンカン(桶柑)
タンカンは奄美大島や屋久島、徳之島などの南西諸島で主に生産されている南国みかん。
原産は中国であり、1900年前後に南西諸島に伝わったとされている。
タンカンはポンカンとネーブルオレンジの自然交配種である。
みかんよりも大きく、皮も厚く、ゴツゴツしている。
ジューシーな果肉は粒がしっかりしており、少し酸味がある。
・奄美たんかん酒/町田酒造(株)
奄美大島に会社のある町田酒造(株)がつくるタンカンのお酒。
町田酒造は奄美黒糖焼酎「里の曙」を手掛けており、
たんかん酒は黒糖焼酎が仕込みに使われている。
まさに奄美の特産をふんだんに使った商品である。
容量 | 720ml |
ベース | 黒糖焼酎(里の曙) |
度数 | 12% |
◆ポンカン(椪柑)
ポンカンの原産地はインドとされている。
インド西部の地名「Poona(プーナ)」から、
「プーナの柑橘」を意味するポンカンと呼ばれるようになった。
日本には19世紀の終わりに、中国、台湾を経由して伝わった。
大きさはみかんと同じくらいで、皮は薄くむきやすい。
甘味が強く、酸味は少ないため、生食で食べられることが多い。
・美丈夫 ぽんかん酒 ぽんしゅわ/濱川商店
高知県の酒蔵 濱川酒造がつくるぽんかんの発泡性リキュール。
地元高知県産のぽんかんを使用している。
炭酸が入っており、度数が低く、ぽんかんのさわやかな甘味があるので、
ごくごく飲んでしまう。
容量 | 500ml |
ベース | 甲類焼酎(国内製造) |
度数 | 6% |
◆きんかん(金柑)
きんかんは他の柑橘系と違い、皮ごと食べることができる。
サイズが小さく、皮は厚いため、果肉は少ない。
皮に少し苦味も感じるが、果肉は甘酸っぱい。
原産地は中国で、日本には江戸時代末期に難破船の積荷としてたまたま伝わった。
食用以外にも観賞用がある。
生産量が多いのは宮崎県であり、6割を占める。
・TSUNUKI KUMQUAT(ツヌキ カムクワット)/本坊酒造(株)
本坊酒造(株)の発祥地である鹿児島県さつま市で、特産品とされるきんかんを使ったお酒。
きんかんの果実と、皮を乾燥させたドライピールから、
独自製法によってきんかんの魅力を引き出した。
ほろ苦さと、甘酸っぱさに、度数40%という力強さがある。
ロックやソーダ割りで味わうとよいだろう。
容量 | 700ml |
ベース | 醸造アルコール(国内製造) |
度数 | 40% |
◆みかん(蜜柑)
みかんの原産地はインドとされている。
日本に伝わったのは500年ほど前の室町時代。
日本に生息していた柑橘類よりも甘かったため、
蜜のように甘い柑橘類とし蜜柑とされた。
国内でミカンの収穫量が最も多いのは和歌山県であり20%を占める。
次いで愛媛県17%、静岡13%、熊本県12%、長崎県7%と続く。
・和歌のめぐみ プレミアム 蜜柑酒/(株)世界一統
世界的に有名な生物学者 南方熊楠の父 南方弥右衛門が創業した清酒 世界一統がつくる果実酒。
地元産の有田みかんを使い、凝縮した甘味と、ほどよい酸味と、とろみのある。
みかんジュース感覚で飲めてしまう。
甘味が強いので炭酸水で割っても良い。
容量 | 720ml |
ベース | 醸造アルコール、純米大吟醸 |
度数 | 6% |
◆夏みかん(夏蜜柑)
夏みかんの正式な和名称は『ナツダイダイ』であり、『ナツカン(夏柑)』とも呼ばれる。
皮は厚くゴツゴツしており、実も、内袋もしっかりしている。
果実は大きく、酸味が強いため、実が成ってもすぐに収穫せず、
1年ほどそのまま熟成させてようやく収穫される。
これでようやく食べられるくらいの酸味になるのである。
・鶴梅 夏みかん/平和酒造(株)
和歌山県の酒蔵 平和酒造が夏みかんをメインにしたリキュールをつくった。
夏みかん以外の柑橘系は、甘夏と檸檬が含まれており、全て和歌山県産である。
夏みかんらしい酸味と、甘味と苦味が調和している。
容量 | 720ml |
ベース | 日本酒 |
度数 | 7% |
◆甘夏(あまなつ)
甘夏は夏みかんと混同されがちだが、別物である。
甘夏は夏みかんが変異して、酸味が少なくなった分、甘味を感じられるようになった。
夏みかんよりも少し小さいが、皮や内袋の硬さは同等である。
・甘夏の風/ルネサンス・プロジェクト
ルネサンス・プロジェクトは九州の焼酎復興、革新を行っており、
焼酎をベースとして甘夏のリキュールをつくった。
素朴な味わいの麦焼酎と甘夏の甘酸っぱさが心地よい。
容量 | 500ml |
ベース | 本格麦焼酎 |
度数 | 7% |
◆日向夏(ひゅうがなつ)
他の柑橘類とは違った、独特の食べ方がある。
外皮を薄くむき、白皮(アルベド)と果肉を一緒に食べる。
白皮にはほんのりと甘味があり、果肉の酸味との相乗効果を生む。
江戸時代末期に宮崎県で自然に自生しているものが発見される。
品種改良が繰り返され、現在の食味となった。
生産量の8割以上を宮崎県が占めている。
・日向夏みかん酒/高千穂酒造(株)
本格焼酎『高千穂』を手掛ける高千穂酒造(株)がつくる日向夏のお酒。
本格焼酎をベースにして、地元宮崎県産の日向夏を使用。
ほのかな甘みと、さわやかな酸味が絶妙。
容量 | 500ml |
ベース | 本格焼酎 |
度数 | 14% |
◆不知火(しらぬい)とデコポン
不知火のなかで一定条件をクリアしたものが『デコポン』という商標登録名を名乗れる。
条件は糖度が13度以上、クエン酸が1%以下、JAから出荷しなければならない。
きよみとポンカンを掛け合わせてできた品種。
名前は熊本県宇土郡不知火町で栽培が始まったことに由来する。
デコポンはそのまま「デコのあるきよみポンカン」の略。
不知火は甘味が強く、ジューシーな果汁を持つ。
皮は手で剥くことができ、そのまま食べても、ジュースにしても美味しい。
・不知火デコポン酒/常楽酒造(株)
熊本県にある酒蔵 常楽酒造(株)がつくるデコポンのリキュール。
米焼酎にデコポンを浸け込むことによって、甘すぎない絶妙なバランスを実現している。
芳醇な香りが広がり、ストレートで飲むとしっかりとした味わいが感じられる。
容量 | 500ml |
ベース | 本格焼酎(国内製造) |
度数 | 14% |
◆きよみ(清見)
きよみは国産初の交配品種である。
日本の温州ミカンと、アメリカのオレンジをかけ合わせて作られた。
オレンジのような硬い皮と香り、みかんの味わいをあわせ持っている。
1979年の誕生以来、きよみは多くの新品種の親となっている。
はるみやせとかも、きよみを親としている。
主の産地は愛媛県、和歌山県である。
・清見みかん酒/キング醸造(株)
清見みかん酒は、キング醸造(株)が愛媛県産のきよみを使ってつくられるリキュールである。
甘酸っぱさとすっきりとした味わいが特徴。
度数が低いため、みかんジュースやオレンジジュース感覚で飲めてしまう。
容量 | 900ml |
ベース | 醸造アルコール(国内製造) |
度数 | 7% |
◆はるみ(春見)
はるみは、きよみとポンカンを交配して作られた。
きよみよりも皮が剥きやすく、ポンカンほど種が多くない。
きよみから受け継いだオレンジの香りと、ポンカンの甘さをあわせ持つ。
九州から東海地方にかけて広い地域で栽培されているが、
育成が難しく、市場に出回る量は少ない。
・はるみ酒/紀州柑々屋
紀州柑々屋はオレンジのような香りを持つ果皮を、ピューレにして加えている。
エキス分は57%使用。
甘味が強く、高級なみかんジュースを飲んでいるように感じる。
容量 | 720ml |
ベース | 醸造アルコール、清酒 |
度数 | 8% |
◆せとか(瀬戸香)
せとかは『柑橘の大トロ』と呼ばれるほどの完成度の高い品種である。
きよみにアメリカ産のアンコールをかけ合わせ、
さらにアメリカ産のマーコットをかけ合わせて生まれてた。
濃厚な甘味、芳醇な香り、ジューシーな果肉、
かけ合わせた品種の長所を全て持ち合わることに成功した。
収穫量は愛媛県が約7割を占めている。
・SETOKA PEEL LIQUEUR/松露酒造(株)
宮崎県にある松露酒造(株)がつくるせとかを使ったリキュール。
10年以上熟成させた本格焼酎に、
せとかのドライピートと数種のボタニカルを浸け込んでつくられる。
せとかのさわやかな香りに、甘味と少しの苦味が混じった味わい。
度数が高いので、リキュールグラスでゆっくりと味わいたい。
容量 | 500ml |
ベース | 本格焼酎(松露長期貯蔵黒麦) |
度数 | 41% |
◆レモン(檸檬)
レモンの原産地はインドからヒマラヤ西部にかけてだとされている。
日本には、明治のはじめ頃に熱海に伝わったといわれている。
レモンが酸っぱいことは誰もが知っているが、さまざまな方法で食されている。
果汁の利用、果皮を使ったアクセントなど。
カクテルにもレモンピールやスライス、くし切りなどでよく使われる。
果肉は酸っぱいのでそのまま食べることは稀である。
・リモンチェッロ アマルフィ/イタリア産(プロフーミ・デッラ・コスティエーラ)
地中海に面するイタリアのアマルフィ産レモンを使用したリキュール。
リモンチェッロはイタリアで家庭の味としてつくられるレモンリキュールのこと。
さわやかなレモンの香りが広がり、口に含むと強めの甘味とやや酸味を感じる。
度数が高いのでソーダで割ると甘さもちょうど良くなる。
容量 | 700ml |
ベース | スピリッツ |
度数 | 32% |
◆ライム
ライムもレモンと同様に原産地はヒマラヤ地方とされている。
日本でライムが栽培され始めたのは20世紀の半ばを過ぎた頃からである。
レモンよりも酸味は弱く、特有の苦味があり、キリッとした味わい。
そのまま食することは少なく、果汁や香りづけなどに使用される。
ライムを使用したカクテルは多く、味を引き締めるのにライムは最適である。
・キングストン ライムリキュール/スイス産(ディヴィサ社)
100年以上の歴史と持つスイスのディヴィサ社が手掛けるライムリキュール。
ライム果汁の酸味と、果皮の苦味をバランスよく仕上げられている。
スッキリ飲みたい時はソーダで割っても良い。
また、カクテル材料としても申し分ない。
容量 | 700ml |
ベース | スピリッツ |
度数 | 24% |
◆シークヮサー
シークヮサーは沖縄県北部で昔から親しまれてきた柑橘である。
見た目や大きさはかぼすに似ているが、
味わいはかぼすよりも酸味、苦味が少なく、渋味を強く感じる。
酸味が少ないので、熟せばそのまま食べることもできる。
名前の由来は、沖縄の言葉で「シー」は「酢、酸っぱいもの」、
「クヮスン」は「食わせる、食べ物」の意味で、「酢食わし」となる。
・シークヮサーリキュール/菊之露酒造(株)
沖縄県宮古島にある酒蔵 菊之露酒造(株)がつくるリキュール。
自社の泡盛である菊之露にシークヮサーの果汁を加えてつくられる。
シークヮサーと泡盛が絶妙にマッチしている。
容量 | 720ml |
ベース | 泡盛(菊之露) |
度数 | 10% |
◆バレンシアオレンジ
日本で出回っている三大定番品種のひとつ。
バレンシアとはスペインの地方名だが、原産地はアメリカである。
スペインのバレンシア地方の柑橘に似ていることからバレンシアと呼ばれた。
つまり、バレンシアオレンジとスペインのバレンシア産オレンジは別ものである。
バレンシアオレンジは収穫までに400日かかり、
温州みかんが150~200日で収穫できるのに対して、とても時間がかかる。
日本で売られているものはほとんどがアメリカやオーストラリアなどの海外産。
日本での栽培はほぼ100%和歌山県が行っているが、とても希少。
甘味と酸味のバランスが良く、そのまま食べられる。
また、果汁も多く含んでいるため、ジュースにされることも多い。
・THE HERBALIST YASO GIN ORANGE/(株)越後薬草
新潟県にある(株)越後薬草が手掛けるクラフトジン。
ボタニカルにバレンシアオレンジとネーブルオレンジのピールを使用。
フェンネルやクローブなど合計12種類ボタニカルが、オレンジの香りを引き立てる。
ジュニパーとオレンジの香りが楽しめる。
容量 | 700ml |
ベース | スピリッツ |
度数 | 45% |
◆ネーブルオレンジ
日本で出回っている三大定番品種のひとつ。
ネーブルとは英語で「おへそ」の意味。
果頂部にくぼみがあることからネーブル(おへそ)と呼ばれるようになった。
原産地はブラジルであるが、アメリカに伝わった後、世界中に広まった。
日本には19世紀後半に伝わり、国内生産量No.1のオレンジ。
味わいはバレンシアオレンジよりも酸味と甘味が濃い。
種がほとんどなく食べやすいが、果汁は苦味が出やすく劣化が早い。
・Bar ヨー子 ネーブルオレンジサワーリキュール/盾の川酒造(株)
山形県の酒蔵 盾の川酒造(株)が手掛ける「Bar ヨー子」シリーズの一品。
ネーブルオレンジ果汁を48%使用。
オレンジの甘味と酸味に加えて、純米大吟醸ののほのかな香りも感じられる。
容量 | 720ml |
ベース | 醸造アルコール、日本酒(純米大吟醸) |
度数 | 14% |
◆ブラッドオレンジ
日本で出回っている三大定番品種のひとつだが、果肉が赤いオレンジの総称である。
原産地はイタリアであり、地中海品種の突然変異とされている。
日本での生産は99%が愛媛だが、量が少ない。
普段見かけるものはほぼ外国産である。
ブラッドとは「血」を意味し、果肉の色が赤いことに由来する。
この赤さは天然色素(フラボノイド)であるアントシアニンによるもの。
抗酸化作用が期待できる。
柑橘類ででアントシアニンを持つのはブラッドオレンジだけ。
甘味と酸味がはっきりしており、芳醇な香りを放つ。
種が少ないので、生食に適している。
赤い果肉は見た目にインパクトがある。
・ブラッドオレンジ・リケール/ドイツ産(マリエンホーフ社)
ドイツのマリエンホーフ社がつくるブラッドオレンジのリキュール。
素材を厳選し、砂糖やカラメル、着色料を一切使わず、丁寧に仕上げている。
エキス分は18%未満使用。
ブラッドオレンジの甘味と酸味のバランスが絶妙であり、上品さを感じる。
容量 | 350ml |
ベース | ??? |
度数 | 20% |
◆ベルガモット
ベルガモットと聞くとアロマオイルで有名だが、柑橘系の果物である。
紅茶のアールグレイの香り付けに使われている。
ベルガモットオイルの香りに似ていたため、同じ名前が付いたシソ科のハーブがある。
ベルガモットは苦味が強いため、食用には適さない。
香り付けの用途が主である。
原産地はイタリアであり、ブンタン、シトロン、マンダリンの交雑種とされている。
温暖な気候で栽培されるベルガモットだが、近年日本でも栽培されるようになってきた。
・イタリカス ベルガモットリキュール/イタリア産
イタリア産のベルガモットリキュール。
100年以上前から伝わるレシピでつくられている。
イタリア産のベルガモットビールの他に、ラベンダーやローズマリーなども使われている。
柑橘系のさわやかな香りと、少し苦味のある薬草の味わいが楽しめる。
ストレートやロックで飲んでも良いし、カクテルに使用しても良い。
容量 | 700ml |
ベース | グレーンスピリッツ |
度数 | 20% |
◆グレープフルーツ
グレープフルーツの原産地は西インド諸島のバルバドス島である。
主要な生産地はアメリカ、南アフリカ共和国、メキシコなど。
日本でも栽培できるが、環境条件的にかなり難しい。
普段見かけるものはほぼ海外産である。
名前の由来は1本の枝にたくさんの実をつけること様子が、
ブドウ(グレープ)の房に似ているためグレープフルーツと呼ばれるようになった。
果肉が黄色いものと赤いもの(ピンクグレープフルーツ)がある。
赤いものはトマトに多く含まれるリコピン色素によるもの。
酸味と苦味のバランスが良く、そのまま食したり、搾ってジュースにしたり、様々な用途がある。
・ヴェドレンヌ クレーム・ド・ピンクグレープフルーツ/フランス産
ヴェドレンヌ社はフランスのブルゴーニュ地方で100年以上続くメーカー。
様々なリキュールを製造しており、ピンクグレープフルーツもその一品。
グレープフルーツのさわやかな香りと、酸味と苦味のバランスの良い味わいが特徴。
エキス分は34%使用。
容量 | 700ml |
ベース | ??? |
度数 | 15% |
●柑橘系の分類
お酒とは別の話になるため、参考程度に記述する。
柑橘類の分け方はいくつかあるが、ここでは一般的な農業での分類を紹介する。
柑橘類と呼ばれることがあるのはミカン科ミカン亜科の3つの属である。
カンキツ属(ミカン属)、キンカン属、カラタチ属である。
- カンキツ属(ミカン属):柑橘類と呼ばれる果物はほぼここに属し、
さらに細かく種類分けされる。
-みかん類:一般的に「みかん」と呼ばれるもの。
[温州みかん、紀州みかん、橘(タチバナ)、
柑子(コウジ)、ポンカン]
-オレンジ類:一般的に「オレンジ」と呼ばれるもの。
[バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、
ブラッドオレンジ、ベルガモット、橙]
-グレープフルーツ類:一本の枝に多数の実をつけるもの。
[グレープフルーツ]
-タンゴール類:みかん類とオレンジ類の交雑種。
みかんの英名tangerineの「tang」と
オレンジorangeの「or」を
合わせてタンゴール「tangor」と呼ばれる。
[タンカン、不知火、きよみ、はるみ、せとか]
-タンゼロ類:みかん類とブンタン類(ザボン類)の交雑種。
みかんの英名tangerineの「tang」と
ブンタン(ザボン)の英名pomeloの「elo」を
合わせてタンゼロ「tangelo」と呼ばれる。
[タンジェロ、セミノール、ミネオラ、スイートスプリング]
-香酸カンキツ類:香りや酸味が強く、
料理の香りづけやアクセントに使われるものの総称。
系統分類ではなく、用途分類のため重複するものもある。
[レモン、ライム、ゆず、かぼす、すだち、
へべす、じゃばら、シークヮサー、橙]
-ブンタン類(ザボン類):皮が厚く、実が大きいもの。
[ブンタン(ザボン)、バンペイユ(晩白柚)、ユコウ(柚柑)]
-雑柑類:自然交雑種の総称。
[はっさく、いよかん、夏みかん、甘夏、日向夏] - キンカン属:皮が厚く、実が小さく、子房の室数が少ないもの。
[キンカン(金柑)] - カラタチ属:長く鋭いトゲを持ち、柑橘類の台木として利用される。
果実は酸味、苦味が強く、食用に向かず、薬用として利用される。
[カラタチ(枳、唐橘)]
●柑橘系のイメージマップ
2014年の日本貿易振興機構(JETRO)の味覚嗜好性調査データ(柑橘系果実)を基に、
味のイメージマップを作成した。
リキュールにした場合、ベースや度数や加糖により大きく影響を受けるため、
また、生産地や収穫時期、収穫年によっても違いがでるため、あくまでも参考である。
●あとがき
今回はリキュールを特集したが、他にもたくさんある。
クラフトビールや発泡酒、チューハイなどなど。
地域の特産品を加工品として活かす試みの一つがお酒にすることである。
柑橘系とお酒の相性は良いため、うまく加工すれば特産品の特徴を最大限発揮できる。
柑橘類は新たな品種改良が進められており、お酒との関わりから目が離せない。