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アサヒビールはいろんなイベントのスポンサーなっている。
スタジアムなどでは大きく広告を出しているのを見かけることも多いだろう。
そんなアサヒの売上やその内訳、株価などの数値をグラフに可視化することで、
一目で深く理解することができる。
お酒を中心にデータを見てみよう。
データはアサヒが公開しているものを使用した。
●アサヒグループホールディングス売上と利益
アサヒグループHDの2017年から2023年の連結売上と営業利益のグラフである。
2020年ははパンデミックによってやや減少はしたが、その後回復を見せる。
そして順調に売上を伸ばしている。
営業利益も2020年は大きく減少したものの、その後しっかりと回復している。
次に連結売上の内訳を見てみよう。
・連結売上内訳
2023年の連結売上の内訳グラフである。
国内と海外でだいたい半々である。
国内酒類が全体の29%、飲料が14%、食品が5%を占める。
海外では欧州が全体の25%、オセアニアが24%、東南アジアが2%である。
欧州とオセアニアでの売上が多いことがわかる。
飲料は三ツ矢サイダー、カルピス、ワンダ、十六茶、バヤリースなど、
よく知られている商品が多い。
食品はミンティア、クリーム玄米ブラン、アマノフーズなどをよく見かける。
欧州では、東欧での売上が半分以上を占める。
チェコ、ポーランド、ルーマニアで約6割に達する。
日本でも見かけるピルスナー ウルケルはチェコのビールである。
他にもイタリア、イギリス、オランダでも収益を上げている。
これらの国ではイタリアのペローニやオランダのグロールシュがよく売れている。
欧州での強みはピルスナー ウルケルやペローニ、グロールシュなど、
長い歴史を持つブランドを扱っていることである。
オセアニアでは、2020年に豪州ビール市場で販売数量No.1の
Carlton & United BreweriesをAB InBev社から買収したことが大きい。
これにより『VB』のラベルが印象的なVictoria Bitterブランドを手に入れた。
国内酒類はビール類、洋酒、ワイン、焼酎などを扱っている。
・地域別売上収益
2023年の地域別売上マップである。
国内の売上比率が50%を切り、海外展開の道すじがたってきてことがわかる。
今後は欧州、オセアニア以外での地域でどのような展開をみせるのか気になるところである。
●酒類データ
酒類の詳細データを見てみよう。
・国内酒類売上内訳
2023年の国内酒類売上の内訳を表したグラフである。
ビール類が74%を占める。
さらに74%の詳細はビール54%、発泡酒7%、新ジャンル13%である。
洋酒が8%、RTDが4%、ワインが6%、焼酎が3%、
アルコールテイスト飲料が5%である。
ビール類が全体の3/4を占めており、売上の柱といえる。
・国内酒類売上 推移
酒類別の2017年からの推移を表したグラフである。
ビール類が圧倒的に多いのは前述したが、減少傾向にあるのが現実である。
逆に伸びているのは洋酒とアルコールテイスト飲料である。
洋酒は主にウイスキー人気によるものが大きい。
アサヒグループにあるニッカのウイスキーである。
アルコールテイスト飲料が伸びているの時代の流れもあるのだろう。
意外なのがRTD不振である。
話題になった『未来のレモンサワー』は2024年のデータなので注目したい。
・アサヒビールのブランド別販売数量 推移
2017年から2023年までのブランド別販売数量(単位は万ケース)推移のグラフである。
ブランドはスーパードライ、スタイルフリー、クリアアサヒの3種類。
スーパードライは2020年にパンデミックの影響で大きく減少し、
回復を見せるが、いまだ戻り切っていない。
酒税法改正の効果があっても以前ほどの販売数量までは回復できないでいる。
スタイルフリーはなんとか横ばいをキープしている。
クリアアサヒの減少は止まらず、2026年の酒税法改正により
発泡酒はさらにビールにシェアを奪われることが予想される。
●財務関連デ-タ
難しい言葉がたくさん出てくるので、データを眺める程度にしておこう。
・資産と負債及び資本
この2つはアサヒグループHDの連結財政状態計算書をグラフにしたものである。
財政状態計算書とは、資金の調達源泉と運用形態を示すもの。
国際財務報告基準IFRS(International Financial Reporting Standards)に準ずる計算書であり、
厳密には違いがあるが日本基準の貸借対照表(バランスシート)にあたる。
・キャッシュフロー
2020年に大きな変動があることが一目でわかる。
これは上述した豪州ビール市場で販売数量No.1を誇る
Carlton & United BreweriesをAB InBev社から買収したことによるものである。
これからの海外戦略にも注目したい。
●アサヒグループHDの株価 推移
アサヒグループHDの株価推移の月足グラフである。
パンデミックでの下落を少しずつ取り戻した感じである。
動く時には大きく動くので、油断すると痛い目をみることになる。
ちなみにアサヒグループHDの株主優待は、2023年12月末をもって廃止された。
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●あとがき
スーパードライの生ジョッキ缶や未来のレモンサワーなど、
インパクトのある商品を展開しているアサヒビール。
最近はむやみやたらに新商品を出さずに、新しい発想とアイデアで勝負している印象がある。
しかし現代のトレンドは速く、味でも発想でも一時的な話題となり、過ぎ去ることが多い。
次はどのような新しい商品を世に出すのか、楽しみに待ちたい。