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お酒を使ったチョコレート菓子としてウイスキーボンボンは人気である。
かみ砕くと中からウイスキーが溢れ出す。
チョコレートの甘さとウイスキーの風味が混ざり合い、至福の時間を得られる。
ウイスキーを好んで飲む人は強いこだわりがある。
ウイスキーなら何でもよいわけではない。
そこでウイスキーの銘柄がはっきりしているウイスキーボンボンを集めた。
お取り寄せできるものに限ったので、気になるものを手に入れて頂ければと思う。
●ウイスキーボンボンとは?
まずボンボンとは、フランス語に由来し、「bon(良い)」を重ねた言葉で、
「良いもの」「おいしいもの」といった意味合いを持つ言葉である。
お菓子のボンボンは、砂糖を煮詰めて作ったシロップで、
ナッツやフルーツなどをコーティングしたものが17世紀頃に生れたとされている。
そして19世紀頃にお酒を使ったボンボンが広まり始める。
日本でウイスキーボンボンが作られるようになったのは、20世紀初頭。
ロシア革命を逃れて日本に亡命してきた菓子職人マカロフ・ゴンチャロフが、
日本で初めてウイスキーボンボンを作ったと言われている。
彼はロシアのロマノフ王朝の宮廷菓子職人だった経歴を持ち、
その技術を活かして1931年に神戸で創業する。
神戸でチョコレート工場を開業し、ウイスキーボンボンをはじめとする
様々なチョコレート菓子を製造・販売した。
ウイスキーボンボンという呼び名は日本以外では使われていない。
ヨーロッパでは以下のように呼ばれている。
- フランス:ボンボン・オ・ショコラ(bonbon au chocolat)
- ベルギー:プラリーヌ(praline)
- ドイツ・スイス:プラリーネン(Pralinen)
ボンボンショコラは、チョコレートでコーティングされた一口サイズのお菓子のことを指す。
上述の通り、中身はウイスキーなどのお酒以外でもボンボンショコラとされる。
●特定銘柄を使ったウイスキーボンボン
ウイスキーボンボンに使われるウイスキーの銘柄がわかっているものを紹介しよう。
以下が特定銘柄のウイスキーボンボンである。
- アメリカン
・ジャックダニエル
・ジムビーム - スコッチ
*シングルモルト
・シングルトン
・ダルウィニー
・オーバン
・タリスカー
・ラガヴーリン
・ザ・マッカラン
・トマーティン(?)
*ブレンデッド
・ザ・フェイマスグラウス
・ラベル5 - カナディアン
・カナディアンクラブ - ジャパニーズ
・厚岸 小暑
・ジャックダニエル/ゴールドケン
テネシーウイスキーのジャックダニエルを使った商品。
製造はスイスのチョコレートメーカー ゴールドケン。
スイスのミルクチョコレートの甘苦さと、
ジャックダニエルのスムースな風味が合わさる。
テネシーウイスキーはサトウカエデの木炭で濾過するため、
雑味が抑えられるウイスキー。
アルコール分が7%と強い(ビールの5%程度よりも強い)ため、
しっかりとしたウイスキーの味わいを感じられる。
ジャックダニエルのラベルに似せたパッケージは一目でわかる。
ジャックダニエルのラインナップであるテネシーハニーも商品化されている。
ハチミツのまろやかな甘さが、チョコレートの苦味を引き立てる。
こちらのほうがアルコール分は高く、9.5%もある。
さらにテネシーファイヤーも商品化されている。
テネシーファイヤーはシナモンスパイスを効かせたもので、
日本では並行輸入品が販売されている。
そのテネシーファイヤーのウイスキーボンボンは、スパイスの効果で温かく感じる。
アルコール分が10%であることも温かく感じる理由の一つである。
・YOIYO<厚岸蒸溜所>ウイスキー小暑/ロッテ
北海道の厚岸蒸溜所で造られるウイスキーを使った商品。
製造はロッテが手掛けている。
ロッテといえば、ラミーやバッカスなどの洋酒チョコが知られている。
厚岸蒸溜所は2016年に蒸溜を開始したまだ若い蒸溜所である。
造り出されるウイスキーは国際的な評価が高く、
新たなジャパニーズウイスキーとして期待されている。
商品は二十四節気シリーズを展開しており、その中の小暑がチョコに使われている。
小暑はシングルモルトで、バナナの香りと北海道産ピートの風味を持つ。
使用アルコール分は4.2%。
厚岸の小暑はYOIYOシリーズの第17弾となる。
厚岸以外にもこれまでに、嘉之助、安積、三郎丸、静岡、マルス津貫、マルス信州、
ジンでは桜尾、日本酒では青木酒造のお酒が使われている。
これからもどのような商品が出てくるのか、注目したい。
次の商品が出ると小暑はなくなるので、気になるなら今のうちにゲットしておくに限る。
・シングルモルトウイスキーアソート/アンソンバーグ
デンマークの老舗メーカーであるアンソンバーグが手掛けるスコッチのアソート商品。
アンソバーグは由緒正しき、デンマーク王室御用達のメーカーである。
単独ウイスキー銘柄の商品はなく、アソート(詰め合わせ)のみである。
以下が使用されている5つのシングルモルトスコッチウイスキー銘柄である。
- シングルトン12年(スペイサイド)
- ダルウィニー15年(ハイランド)
- オーバン14年(ハイランド)
- タリスカー10年(スカイ島)
- ラガヴーリン16年(アイラ島)
シングルトンはスペイサイド地方で伝統的な製法で造られる、
なめらかでスムースなスペイサイドスコッチウイスキー。
ダルウィニーはハイランド地方の標高の高い場所に建つ蒸留所で造られる、
ヘザーやハチミツの香りにスモーキーさも感じられるハイランドスコッチ。
オーバンはハイランド地方で造られる、
フルーティーさとピーティーさのバランスが良いハイランドスコッチウイスキー。
タリスカーはスコットランド北西に位置するスカイ島で造られる、
ソルティーさとペッパー感のあるスコッチウイスキー。
ラガヴーリンはスコッチランドの西にあるアイラ島で造られる、
ピートのスモーキーさとやさしい甘さのアイラスコッチ。
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・リカーアソート/アンソンバーグ
アンソンバーグのリカーアソートの中にもウイスキーが入っている。
こちらも単独銘柄の商品はなくアソートのみである。
雷鳥ラベルが目印のザ・フェイマスグラウス。
世界中で愛されるブレンデッドスコッチウイスキーである。
日本でも有名なバーボンウイスキーのジムビーム。
バーボンらしい力強さと樽香由来の甘さが特徴。
カナディアンウイスキーの代名詞的銘柄カナディアンクラブ。
世界で最も売れているカナディアンウイスキーである。
穏やかで華やかな香りの飲みやすいウイスキー。
アソート商品は複数あり、ウイスキーが入っていないものもあるので確認しよう。
以下がアンソンバーグのリカー&カクテルである(これ以外にもあるかもしれない)。
- スピリッツ 13種
◆ウイスキー
・ザ・フェイマスグラウス
・ジムビーム
・カナディアンクラブ
◆ラム
・マツサレムラム
・マントゲイ
◆ブランデー
・レミーマルタン
・カミュ
・クルボアジェ
・ゴーティエ
◆ウォッカ
・ソビエスキー
・ダンツカ クランベリー
・ダンツカ シトラス
◆テキーラ
・サウザ - リキュール 6種
・サザン・カンフォート
・リコール43
・コアントロー
・ドランブイ
・ガリアーノ
・ボルゲッティ
- カクテル 6種
・エスプレッソ43
・ピニャ・コラーダ
・コスモポリタン
・モスコー・ミュール
・モヒート
・レモンドロップ
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・ボトルチョコ リキュールアソート/カルディ
カルディの商品であるボトルチョコ木箱風 リキュールアソートにラベル5が入っている。
ラベル5は長年世界中で愛飲されているブレンデッドスコッチウイスキーである。
ブレンドのキーとなるのはモルトがグレン・マレイ蒸留所、
グレーンがスターロー・グレーン蒸留所である。
なめらかでバランスのとれた味わいが世界に受け入れられている理由だろう。
ラベル5は日本での認知度は低いが、スコッチの世界販売量TOP10に入るほどである。
ラベル5をチョイスするあたりがさすがカルディらしい。
アルコール分は7%である。
ウイスキー以外のアソートは以下である。
これらのアルコール分は8%。
生産はフランスのアブデー社である。
以前はカミューが入っていたが現在はベイエに代わっている。
- コアントロー(リキュール)
- ベイエ(ブランデー)
- セントジェームス(ラム)
・リカーズコレクション/ショコラティエ パレ ド オール
パレ ド オールはチョコレートをカカオ豆の選別から全ての工程を自社で行っている
チョコレート専門店である。
リカーズコレクションで使われているウイスキーはザ・マッカラン18年。
マッカランはシングルモルトのロールスロイスと呼ばれるほど、
味わいに上品さと華やかさを持つスペイサイドスコッチウイスキーである。
以下がウイスキー以外のリカーズである。
- ケンゾーエステートrindo(カリフォルニア 赤ワイン)
- ドンペリニヨン(シャンパーニュ)
- 獺祭スパークリング(日本酒)
- ヘネシーX.O(ブランデー)
・ウイスキーボンボン/ハマダコンフェクト
ハマダコンフェクトはドラッグストアよく見かける
バランスパワーや鉃や骨のウエハースの製造メーカーである。
チョコレートも製造している。
日本酒やブランデーなどのボンボンを販売しており、
ウイスキーもラインナップに入っている。
銘柄はおそらくトマーティンだと思われる。
以前ははっきりとトマーティンと書かれていたのだが、
現在はパッケージにトマーティンらしきボトルが写っているだけで、記載はない。
ボトルにはHIGHLAND SIMGLE MALT SCOTCH WHISKY 12の文字があり、
ラベルデザインからもトマーティンだとわかる。
何か事情があるのだろう。
使用アルコール分は3.4%である。
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●ボンボン以外(生チョコ、ケーキなど)の特定銘柄
ここからは特定銘柄を使ったボンボン以外のチョコレート系を少しだけ紹介しよう。
以下が紹介する銘柄である。
- ポートシャーロット(スコッチ)
- 竹鶴ピュアモルト(ジャパニーズ)
- ブラックニッカスペシャル(ジャパニーズ)
- カバラン(台湾)
・生チョコレート[アイラウイスキー(ポートシャーロット)]/ロイズ
北海道土産の定番メーカーROYCE’(ロイズ)の生チョコシリーズにポートシャーロットがある。
ポートシャーロットはスコットランド アイラ島のブルックラディ蒸溜所で造られるアイラスコッチウイスキー。
生チョコにはポートシャーロット スコティッシュ・バーレイが使用されている。
スコットランド産の大麦を100%使用して造られてウイスキーで、
アイラらしいスモーキーさと甘さが特徴。
やさしい甘さのミルクチョコレートとポートシャーロットが混じり合い、
口の中に広がる豊かな風味と余韻を楽しみたい。
アルコール分は1.0%以上。
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・竹鶴ピュアモルト生チョコレート/シルスマリア
SILSMARIA(シルスマリア)は神奈川県にあるお菓子メーカー。
生チョコレートに使用されているのはニッカウヰスキーの竹鶴ピュアモルト。
ピュアモルトとは複数の蒸溜所のモルトウイスキーをブレンドしたもの。
対してシングルモルトは単一の蒸溜所のモルトウイスキーをブレンドしたもの。
竹鶴ピュアモルトは余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所のモルトウイスキーをブレンドしている。
それぞれの蒸溜所の特徴が活かされており、口当たりがよく、繊細さが際立つ。
ベルギー製のチョコレートの苦味が竹鶴とマッチして、至福の味わいである。
アルコール分は3%である。
・ウイスキーチョコレート/余市観光協会
ニッカの余市蒸溜所がある余市観光協会の商品。
国内で製造されるチョコレートにブラックNikkaスペシャルを混ぜ合わせた。
ブラックニッカ スペシャルはニッカを代表するウイスキーで、
カフェ式蒸留器で蒸留したカフェグレーンとモルトをブレンドした
ブレンデッドウイスキーである。
ひげのおじさんがラベルの誰もが知るウイスキーだろう。
ウイスキーチョコレートを含めた3種のアソート商品もある。
NIKKAアップルワインをホワイトチョコレートに混ぜたアップルワインチョコレート、
NIKKAブランデーV.S.O.P白をミルクチョコレートに混ぜたブランデーチョコレートがある。
アルコール分は全て1%未満。
アソート商品は期間限定なので確認が必要。
・カバラン・ショコラ・フリュイ/白金スイーツ
shirokane sweets(白金スイーツ)が手掛けるカバランを使ったショコラケーキ。
白金スイーツは原材料へここだわりがコンセプトのスイーツ専門店である。
台湾のプレミアムウイスキーであるKAVALAN(カバラン)は、
世界中の品評会で高く評価されている。
使用されているカバランDistillery Select No.1はカバランらしいトロピカルな香りを放つ。
フランス ヴァローナ社のカカオ70%のビターチョコレートと
オレンジピールを練り込んだ生地にカバランがたっぷりと加えられている。
間違いなく美味しいスイーツである。
●お取り寄せできないウイスキーボンボン
お取り寄せできないボンボンもあるので少し紹介しよう。
正規では店舗でしか売っていないので、ネットで見かけたら転売だろう。
お店に近くに行くことがあれば、ぜひゲットすることをおすすめする。
・ウイスキーボンボン/ムラマツ製菓
100年以上の歴史を持つ老舗製菓店ムラマツ製菓。
東京都荒川区の下町で昔ながらの伝統菓子を作り続けている。
近くに行ったらお店を訪ねるとよいだろう。
ウイスキーボンボンはチョコレートではなくキャンディを使ったもの。
サントリーの山崎や白州をキャンディでコーティングしている。
ウイスキー以外にもブランデーや梅酒、リキュールなどがある。
・ウイスキーボンボン/サントリー
以前は山崎蒸溜所や白州蒸溜所でローヤルを使用したウイスキーボンボンが売られていた。
冬季限定で、蒸溜所でしか買うことができず、人気もあったのだが、現在は販売していないようだ。
ウイスキー原料の高騰が影響しているのかもしれない。
再販売しないのだろうか。
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●あとがき
今回紹介したもの以外にも、季節限定品やふるさと納税返礼品に
特定銘柄ウイスキーを使った商品がある。
2024年の11月には長濱蒸溜所とフジパンがコラボして、
中部地域限定で『スナックサンド ウイスキーボンボン味』を発売した。
いろいろなウイスキーボンボンを探してみるのも楽しいものである。