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日本酒を造る人たちが、どのような役割で、何と呼ばれているのかあまり知られていない。
それぞれの役職や役割と、地域ごとの杜氏集団について、見てみよう。
●蔵人(くらびと)
蔵人はくらびとと読む。くらんどではない。
蔵人とは、蔵で酒造りに従事する人々の総称である。
蔵人の中でも、蔵元から酒造りにおける全てを任されるのが杜氏(とうじ)である。
杜氏は蔵の設備や帳簿の管理、酒質の設計、蔵人への指示などすべてを取り仕切る。
酒蔵によっては蔵元が杜氏を兼務しているところもある。
役職 | よみ | 内容 (流派によって役割が微妙に違うところもある) |
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蔵元 | くらもと | その蔵の代表者。 営業、販売を含めた蔵経営の責任者。 |
杜氏 | とうじ | 酒造責任者。 酒蔵におけるすべての指揮をとる。 蔵の設備や帳簿の管理、酒質の設計、 もろみの仕込みと管理も行う。 |
頭 | かしら | 杜氏の補佐役。 杜氏からの指示を伝達し、蔵人を指揮する。 仕込み水汲み、麹仕込みも行う。 |
麹屋 | こうじや | 麹師、大師、衛門と呼ぶところもある。 麹造りの責任者。 |
酛屋 | もとや | 酛師、酛廻しと呼ぶところもある。 酛造りの責任者。 もろみ仕込みも行う。 |
釜屋 | かまや | 蒸米作業の責任者。 洗米、米量り、釜焚き、仕込み水汲みを行う。 |
船頭 | せんどう | 酒を搾る上槽を行う。 |
炭屋 | すみや | 濾過を担当する。 |
道具廻し | どうぐまわし | 酒造りに必要な道具の整備や管理をする。 |
追廻 | おいまわし | 上人(じょうびと)、中人(ちゅうびと)、下人(したびと)があり、 頭の指示で作業する。 |
飯炊き | ままたき | かしきと呼ぶところもある。 蔵人の食事作りや桶の見まわり、麹室の補助などをする。 |
●杜氏集団
地域によって流派があり、同じ流派の杜氏が集まり、集団を形成している。
独自技術の継承や情報交換などを行い、よりよい酒造りを目指している。
杜氏集団の中でも特に大きな集団があり、
南部杜氏、越後杜氏、但馬杜氏は三大杜氏と呼ばれている。
杜氏の数は減少傾向にあるが、新たに支流派も誕生したりしている。
地域 | 集団 | 説明 |
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岩手 | (なんぶ) 南部杜氏 | 全国最多の杜氏数を誇る。 最盛期の昭和40年(1965)には、3200名が加盟していたという。 南部杜氏の中心地、花巻市石鳥谷町では、優良な米ができる穀倉地帯として知られ、 酒造りも盛んな土地。 |
新潟 | (えちご) 越後杜氏 | かつては日本最大規模の杜氏集団だったが、南部杜氏に抜かれ、全国2位に。 昭和33年(1958)の結成時には900名を超えていた。 長岡市寺泊野積をはじめとする県内各地が出身地。いくつもの支流派がある。 新潟の酒造業を支えているほか、全国各地にて名酒造りに携わっている。 |
兵庫 | (たじま) 但馬杜氏 | 美方郡を中心とした兵庫北部がふるさと。 この地域の冬は積雪が多く農業ができないため、 古くから出稼ぎとして酒造りに携わる人が多数いた。 南部杜氏、越後杜氏に次ぐ規模。 品評会などの活動も積極的に行っている。 |
●あとがき
日本酒を選ぶときに、杜氏の名前が商品名になっているものは間違いなくウマイ。
それだけ自信がある商品ということができる。
全ての蔵が杜氏名のお酒を出しているわけではないが、見かけたらぜひ試していただきたい。