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あまり知られていないが、『清酒』と『日本酒』は厳密には違う。
それぞれに定義があるので見ていこう。
●清酒の定義
清酒の定義は酒税法第3条7号で定められている。
『米、米こうじ、水を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール度数22度未満)』
『米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、
こしたもの(アルコール度数22度未満)』
『清酒に清酒かすを加えて、こしたもの(アルコール度数22度未満)』
要約すると、以下のようになる。
- 米、米こうじ、水を原料として発酵すること ⇒純米酒
- または、上記材料に加えて政令で定められたものを原料として発酵すること ⇒アル添OK
- アルコール度数1度≦日本酒<22度であること ⇒蒸留はない
- 濾すこと ⇒どぶろくはNG
- 清酒に酒粕を混ぜたもの ⇒にごり酒はOK
政令で定められたものとは、醸造アルコール、糖類、酸味料、アミノ酸などであり、
これらには制限が決められている。
●日本酒の定義
日本酒の定義は国税庁が2015年12月に地理的表示として『日本酒』を指定している。
地理的表示とは、特定の地域内で一定の基準や品質を満たして生産されたものに
表示できるものである。
よくGI(Geographical Indication)など言われる。
イメージとして、シャンパンやコニャック、テキーラなどがわかりやすい。
日本酒は日本国内の米のみを使い、国内製造された清酒のみが『日本酒』と表示できる。
国内の米のみということは、米こうじも国内米使用となり、
国内製造なので水も国内のものになる。
海外産米を使って国内製造しても『日本酒』と表示できない。
日本の米、米こうじ、水を使っても国外製造では『日本酒』と表示できない。
これらは『清酒』や『SAKE』などと表示しなければならない。
『日本酒』は『清酒』の中の一ブランドのようなものと考えられる。
●あとがき
『日本酒』という地理的表示を指定することで、海外に高品質は商品としてアピールできる。
海外では日本酒のようなものが売られていることがあるので、地理的表示によって差別化できる。
日本酒の輸出を進めている国の方針が伝わってくる。