文字数:約1200文字
焼酎に使われる原料さまざまである。
使ってはいけない原料はあるが、それ以外はなんでも使ってよい。
使わなければならない原料の指定がないのが、他のお酒と大きく違う点である。
●麦焼酎
麦を原料とし、大分や長崎、宮崎、福岡、伊豆諸島など各地で造られている。
香ばしい麦の香りが素朴さを感じさせてくれる。
本格焼酎の原料別出荷量は2009年までは麦焼酎が一番多かった。
・二条大麦
使用される麦は大麦で、主に「二条大麦」が使われる。
麦飯や麦茶、麦味噌によく使用される麦は「六条大麦」である。
二条大麦は明治時代に、サッポロがヨーロッパからビール用に輸入した。
大麦の結実する穂の数により、小花が二条に並んでつくものが二条種で、
六条に並んでつくものが六条種である。
二条大麦は六条大麦に比べて、粒が大きいため、お酒の原料に向いている。
焼酎の原料麦として求められる条件は以下である。
- デンプンが多い
デンプンから糖が作られ、アルコール発酵されるため、生産効率が上がる。 - 粒を包む皮が薄い
精麦工程でムダに削る必要がなくなる。 - 粒がやわらかい
精麦中の割れが減少する。
麦焼酎に使われる二条大麦の多くはオーストラリア産などの外国産である。
●壱岐焼酎
麦焼酎発祥の地とされるのが、長崎県の壱岐島(いきのしま)である。
壱岐島では古くから麦を食べる習慣があり、余った麦で焼酎を造るようになったとされている。
1995年にはWTO(世界貿易機関)によって、壱岐島で造られる麦焼酎が地理的表示を認定された。
以下が満たすべき地理的表示の条件である。
・原料
・製法
●大分の麦焼酎
麦焼酎の最大生産地が大分県である。
麹に米麹を使って造られていた麦焼酎に、麦麹を開発し麦100%の麦焼酎を造り出したのが、
二階堂酒造(大分県速見郡日出町)である。
「いいちこ」で知られる三和酒類(大分県宇佐市)は伝統的な常圧蒸留に変わる、
減圧蒸留を取り入れて、軽快な味わいの麦焼酎を造り、焼酎ブームの一役を担った。
●麦焼酎とウイスキーの違い
同じ原料である麦から造られる蒸留酒として、ウイスキーが挙げられる。
一般的なもので麦焼酎とウイスキーはどこが違うのかをまとめた。
麦焼酎 | ウイスキー | |
---|---|---|
原料 | 麦 | 麦(麦芽(モルト)) |
糖化 | 麹 | 発芽 |
発酵 | 数週間 | 数日間 |
蒸留 | 単式蒸留一回 | 単式蒸留二回 |
蒸留器 | 木樽、ステンレス、銅 | 銅 |
熟成期間 | ~1年 | 3年以上 |
度数制限 | 45度以下 | 40度以上 |
瓶詰度数 | 25度 | 40度 |
関連記事:ウイスキーのつくり方
●あとがき
酒飲みにとって麦は馴染み深い。
焼酎、ビール、ウイスキーの原料となっている。
農耕が始まった初期から麦は人と共にあったのだろう。
そんな麦からお酒が造られたのは必然と考えても良さそうだ。