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焼酎の原料【麦】

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 焼酎に使われる原料さまざまである。
使ってはいけない原料はあるが、それ以外はなんでも使ってよい。
使わなければならない原料の指定がないのが、他のお酒と大きく違う点である。

麦畑
NickyPeによるPixabayからの画像

●麦焼酎

 麦を原料とし、大分や長崎、宮崎、福岡、伊豆諸島など各地で造られている。
香ばしい麦の香りが素朴さを感じさせてくれる。
本格焼酎の原料別出荷量は2009年までは麦焼酎が一番多かった

・二条大麦

 使用される麦は大麦で、主に「二条大麦」が使われる
麦飯や麦茶、麦味噌によく使用される麦は「六条大麦」である。
二条大麦は明治時代に、サッポロがヨーロッパからビール用に輸入した。

 大麦の結実する穂の数により、小花が二条に並んでつくものが二条種で、
六条に並んでつくものが六条種である。
二条大麦は六条大麦に比べて、粒が大きいため、お酒の原料に向いている。

 焼酎の原料麦として求められる条件は以下である。

  1. デンプンが多い
    デンプンから糖が作られ、アルコール発酵されるため、生産効率が上がる。
  2. 粒を包む皮が薄い
    精麦工程でムダに削る必要がなくなる。
  3. 粒がやわらかい
    精麦中の割れが減少する。

麦焼酎に使われる二条大麦の多くはオーストラリア産などの外国産である。

●壱岐焼酎

 麦焼酎発祥の地とされるのが、長崎県の壱岐島(いきのしま)である。
壱岐島では古くから麦を食べる習慣があり、余った麦で焼酎を造るようになったとされている。

 1995年にはWTO(世界貿易機関)によって、壱岐島で造られる麦焼酎が地理的表示を認定された。
以下が満たすべき地理的表示の条件である。

・原料

  • 穀類に大麦のみを用いる
  • 麹に米麹のみを用いる
  • もろみの原料比重は米麹1:麦2
  • 壱岐市内で採取した水を用いる

・製法

  • 壱岐市内で発酵、蒸留を行う
  • 単式蒸留器で蒸留する
  • 貯蔵する場合は壱岐市内で行う
  • 瓶詰めは壱岐市内で行う

●大分の麦焼酎

 麦焼酎の最大生産地が大分県である。

 麹に米麹を使って造られていた麦焼酎に、麦麹を開発し麦100%の麦焼酎を造り出したのが、
二階堂酒造(大分県速見郡日出町)である。

 「いいちこ」で知られる三和酒類(大分県宇佐市)は伝統的な常圧蒸留に変わる、
減圧蒸留を取り入れて、軽快な味わいの麦焼酎を造り、焼酎ブームの一役を担った。

●麦焼酎とウイスキーの違い

 同じ原料である麦から造られる蒸留酒として、ウイスキーが挙げられる。
一般的なもので麦焼酎とウイスキーはどこが違うのかをまとめた。

麦焼酎ウイスキー
原料麦(麦芽(モルト))
糖化発芽
発酵数週間数日間
蒸留単式蒸留一回単式蒸留二回
蒸留器木樽、ステンレス、銅
熟成期間~1年3年以上
度数制限45度以下40度以上
瓶詰度数25度40度

関連記事:ウイスキーのつくり方

●あとがき

 酒飲みにとって麦は馴染み深い。
焼酎、ビール、ウイスキーの原料となっている。
農耕が始まった初期から麦は人と共にあったのだろう。
そんな麦からお酒が造られたのは必然と考えても良さそうだ。

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