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●国柄 [世界屈指のビール大国]
1516年に制定された「ビール純粋令」を守り続けているドイツ。
伝統を重んじるドイツ人の気質がうかがえる。
ビール醸造所の数は世界でも群を抜いており、
約1300か所の醸造所があり、
5000種類を超える銘柄が造られているという。
一人当たりの年間消費量は世界3位の101リットル(2018年)。
日本の40.2リットルの約2.5倍。
秋にはオクトーバーフェストもあり、ビールは生活や文化の一部として社会に根付いている。
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●種類 [ラガービール発祥の地]
ラガービールとは10℃前後で発酵する、下面発酵酵母を使ったビールの総称。
世界の主流であるラガービールはドイツで15世紀ごろに誕生した。
ラガーに限らずエールも含めてビールの種類が豊富。
以下、ドイツの代表的な種類の一部を記述する。
◆エール(上面発酵)
・ヴァイツェン
小麦麦芽を50~70%使用して造られる(通常大麦麦芽がメイン)。
香りはバナナやクローブなどが漂い、華やか。通常、酵母をろ過しないため、白濁している。
ヴァイツェンはドイツ語で「小麦」の意味。
・ケルシュ
西部の街ケルンのみで造られる淡色ビール。
爽やかな甘みがあり飲みやすい。アルトと比べて苦味は少ない。
・アルト
西部の街デュッセルドルフで造られる中濃色ビール。
アルトはドイツ語で「古い」の意味で、伝統的な製法で造られている。
中濃の色合い通り、トースト香(軽く焦がした香り)がある。
◆ラガー(下面発酵)
・ジャーマン・ピルスナー
チェコのピルスナーのドイツ版。日本の大手メーカーが手本としたスタイル。
淡色で苦味があり、口当たりはライトで飲みやすい。
・ヘレス
淡色のライトな味わい。ピルスナーと比べて苦味を抑えられている。
ヘレスはドイツ語で「淡い、薄い」の意味。デュンケルに対抗して造られた。
・デュンケル
濃色の麦の焦げた香ばしい香りが特徴。濃色の見た目よりも口当たりが軽く、まろやか。
デュンケルはドイツ語で「暗い、濃い」の意味。
・シュバルツ
濃色、黒色のビール。シュバルツはドイツ語で「黒」の意味。
ローストした麦芽の香ばしさと、チョコレートのような香りを感じる。
◆その他
・ラオホ
麦芽を煙で燻し、燻製の風味を付けたビール。ラオホはドイツ語で「煙」の意味。
3年以上寝かせたブナの木で麦芽を燻すのが伝統的とされている。
・ボック
アルコール度数の高いビール。麦芽の使用量を多くしてアルコール度数を高めている。
デュンケルボックやヴァイツェンボックなどラガー(下面発酵)、
エール(上面発酵)どちらでも造られる。
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●ビール純粋令
[麦芽、ホップ、水、酵母のみで造ることを定めた法律]
1516年にバイエルン候ヴィルヘルム4世が「バイエルン純粋令」を制定。
ビールは水とホップと大麦麦芽だけで造らなければならないと定められた。
1551年に酵母が追記された。今日では法令を改正しながらも、
独自の厳格な純粋令を守り続けている。
当初、小麦を使わず、大麦に絞ったのは、パンに使う小麦が不足しがちだったため、
ビール醸造に使わせないという目的があったようだ。
●オクトーバーフェスト [世界最大規模 ビールの祭典]
バイエルンの古都ミュンヘンで催される世界最大のビール祭り。
9月の中旬から16日間行われる。毎年600~700万人が参加すると言われている。
お祭りにテントが出せるのはミュンヘン市内にある伝統的な6醸造所のみ。
(シュパーテン、アウグスティナー、パウラナー、ハッカー・プショール、ホフブロイ、レーベンブロイ)
敷地内は移動遊園地になっており、大観覧車や射的、お化け屋敷、
ジェットコースター等のアトラクションが並ぶ。
昼はファミリー向け感があるが、日が沈むと酒飲みのための時間になる。
日本でも一年を通して場所を変えて各地でオクトーバーフェストを模した催しが多く開催されている。
●あとがき
1年間ドイツに滞在していたことがあり、日本と比べてビールの豊富さに驚かされた。
隣の町へ行くとそこで造られているビールがあり、日本でいうところの日本酒の感覚に
近いのかもしれない。
本場のオクトーバーフェストはスゴイ活気で、1リットルのマスジョッキは重く、
片手で持ち上げて口に運ぶのに手がプルプル震えたのを覚えている。
日本でもドイツビールが買えるので(ちょっと高いが)、ぜひ色々試していただければと思う。