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スコットランドの蒸留地域は、大きく6つに分けられる。
アイラ、アイランズ、キャンベルタウン、ローランド、ハイランド、スペイサイドである。
地域の環境や歴史から特徴が見えてくる。
●ロックランザ(アラン)
・基礎データ、場所
- 蒸溜所名:ロックランザ蒸溜所
- 英字:Lochranza(ロッホでなく、ロックと発音するらしい)
- 意味:ゲール語で「ナナカマド(バラ科の落葉高木)の入り江」という意
- 創業:1993年
- 仕込み水:ロッホ・ナ・ダビーから流れるイーサンビオラック川
- 蒸留器:ストレート型
- 現所有者:アイル・オブ・アラン・ディスティラーズ社
- 輸入元:(株)ウィスク・イー
アラン島北部にあるの蒸溜所。
1993年創業の比較的新しいが、最近アランを改名し、ロックランザとした。
島の名前アランから、地域の名前ロックランザに変更したのである。
ボトルラベルのデザインも変わった。
島には同社所有の第二蒸留所である『ラグ Lagg』が2018年に創立された。
・特徴
・味わい
ノンピートで甘みのあるまろやかさは、ハイランド系に近い。
後熟でラムやワインなど、さまざま樽を使ったウッドフィニッシュの商品を出している。
ピートの効いた商品である『マクリムーア』は、今後ラグ蒸留所に製造を移すことになるだろう。
同社は蒸留所で方向性を分けた商品を展開していくようなので、これからが楽しみである。
・経緯
かつてアラン島では50以上の蒸留所があり、密造酒が盛んに造られていた。
しかし1837年に最後の蒸留所が閉鎖して、ウイスキー製造は150年以上も空白が続いた。
1993年にアラン蒸留所の建設を決めたのは、
シーバスブラザーズ社で社長を務めたハロルド・カリー氏である。
ハロルド・カリー氏は、現在のクラウドファンディング的な手法で、資金を集めることに成功した。
その後のウイスキーブームを追い風に生産量を増やし、さらにビジターセンターも充実させた。
アラン島はグラスゴーからのアクセスが良く、多くの観光客が蒸留所見学に来るようになった。
また、アラン島自体もとても魅力的な島であり、
英国王室の避暑地として「ロイヤルアイランド」と呼ばれている。
経営は順調で、アラン島南部に第二蒸留所となるラグ蒸留所を創立させた。
●あとがき
ロックランザ蒸留所(アラン蒸留所)は、これまで老舗蒸留所の中で新進気鋭なポジションだった。
しかし創業から四半世紀が経ち、現在では新しい蒸留所が世界中で次々と造られている。
同社が建てた第二蒸留所(ラグ蒸留所)には革新を、ロックランザ蒸留所には伝統を、とするのか。
老舗に比べる、創業30年はまだまだ歴史が始まったばかりなので、
これからも攻めの姿勢を期待したい。