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スコットランドの蒸留地域は、大きく6つに分けられる。
アイラ、アイランズ、キャンベルタウン、ローランド、ハイランド、スペイサイドである。
地域の環境や歴史から特徴が見えてくる。
●グレンキンチー
・基礎データ、場所
- 蒸溜所名:グレンキンチー蒸溜所
- 英字:Glenkinchie
- 意味:キンチー川の谷間
- 創業:1837年
- 仕込み水:ラマルミュアーの泉
- 蒸留器:ランタン型
- 現所有者:ディアジオ社
- 輸入元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ(株)
スコットランドのローランド地域東部、エジンバラの南東に24キロにある蒸溜所。
スコットランドの首都であるエジンバラから車で30分弱の距離にあり、アクセスが良い。
蒸留所としては珍しい赤いレンガ造りであり、一部がモルトウイスキー博物館になっている。
蒸留所のミニチュア模型が展示されており、蒸留所見学時に現物と見比べて楽しめる。
・特徴
・味わい
ローランドモルトらしい、ライトでドライな味わいで飲みやすい。
同じローランドでもオーヘントッシャンの3回蒸留とは違い、
2回蒸留のため、華やかさやスパイシーさが残っている。
グレンキンチーの巨大なポットスチルならではの味わいとなっている。
・巨大ポットスチル
グレンキンチー蒸留所はスコットランドで最大級のポットスチルを擁している。
初留釜は容量が約3万1000リットルである。
通常は大きくても1万5000リットルくらいだが、グレンキンチーはその倍以上もある。
一般的に、生産量が増える場合は、ポットスチルを増設して対応する。
しかしグレンキンチーでは初留釜1基、再留釜1基で対応している。
巨大であるメリットとしては、設備投資費の抑制、管理作業の軽減(複数管理の手間削減)、
1回の仕込み量の増加(回数が増えると出来栄えがばらつく)などであろう。
グレンキンチー蒸留所で造られるウイスキーのほとんど(約9割)がブレンデッド用である。
ブレンデッドウイスキーの需要が爆発的に増えた時代に、巨大化で対応した名残りだと考える。
これも蒸留所の個性である。
ちなみに、歴代最大のポットスチルはアイルランドの14万リットルを超えるもの。
旧ミドルトン蒸留所のもので、現在は使われていない。
●あとがき
グレンキンチーのシングルモルトはあまり見かけない。
ローランドモルトらしい飲みやすさはスコッチの入門酒として最適だろう。
しかしせっかくの入門酒がなかなか見当たらないのは残念であるが、
実はブレンデッドで片鱗を味わっている人は多い。
シングルモルトを見かけたらぜひ味わってみてほしい。