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スパークリングワインの主なつくり方は3つある。
- 瓶内二次発酵方式
- 密閉タンク方式
- 炭酸ガス注入方式
それぞれの特徴は以下のとおりである。
瓶内二次発酵方式 | 密閉タンク方式 | 炭酸ガス注入方式 | |
---|---|---|---|
製法 | 密閉した瓶内で 酵母による二次発酵 | 密閉したタンク内で 酵母による二次発酵 | 瓶またはタンク内に 炭酸ガスを注入 |
泡 | 非常にきめ細かい 小粒の泡 | なめらかな中粒の泡 | 粗くすぐにつぶれる 大粒の泡 |
ガス圧 | 非常に高い(6~7気圧) | やや高い(2~4気圧) | 低い(~2気圧) |
コスト | 非常に時間と 手間がかかる | 時間はかかるが 一括生産は可能 | 安価に大量生産が可能 |
●瓶内二次発酵方式
瓶内二次発酵方式は、伝統的製法であり、トラディショナル方式とも呼ばれている。
一昔前はシャンパーニュ方式と呼ばれていたが、シャンパーニュ地方からクレームがついた。
「シャンパーニュ方式」とラベルに記載した発泡性ワインはすべてシャンパンと勘違いされるためだ。
これにより「伝統的製法(メトード・トラディション)」と表示されるようになった。
- ベースワインを造る
ベースとなる通常のスティルワインを造り、オリ引きまで行う。 - ブレンド(アッサンブラージュ)
通常は品質を一定にするために古酒をブレンドする。
良質のブドウができた年はヴィンテージとしてブレンドはしない。 - 瓶詰め
酵母と糖分を添加し、瓶詰めする。 - 瓶内二次発酵
酵母が糖分を分解し、アルコールと二酸化炭素を発生する。
二次発酵は6~8週間続く。 - 熟成
発酵完了後も寝かせ続ける。
45度の角度で瓶口を下にして置き、酵母の死骸であるオリを溜める。
毎日瓶を1/8ずつ回転させながら、オリとともに熟成させる。 - オリ引き(デコルンジュマン)
瓶口を-20~-25℃に冷やしてオリを凍らせる。
凍ったオリを飛び出させることでオリ引きする。 - 甘味付け(ドサージュ)
オリ引き時に飛び出した分の補充と、甘さ調整のため、砂糖入りの古酒を加える。 - 密封
特殊なコルクで密封し、飛び出さないように針金を巻き付けて固定する。
●密閉タンク方式
密閉タンク方式は、シャルマ方式とも呼ばれている。
瓶内二次発酵方式と違い、密閉した大きなタンク内で二次発酵させることで、
一括管理することによってコストを抑えることができる。
- ベースワインを造る
ベースとなる通常のスティルワインを造り、オリ引きまで行う。 - ブレンド(アッサンブラージュ)
通常は品質を一定にするために古酒をブレンドする。
良質のブドウができた年はヴィンテージとしてブレンドはしない。
ここまでは瓶内二次発酵方式と同じ。 - タンク詰め
ベースワイと酵母、糖分をタンクに入れ、密閉する。 - 密閉タンク内二次発酵
酵母が糖分を分解し、アルコールと二酸化炭素を発生する。
二次発酵は6~8週間続く。 - 熟成
発酵完了後もオリとともに熟成させる。
瓶内二次発酵方式に比べると、オリとの接触面積が少ない。 - オリ引き
オリをろ過する。 - 甘味付け(ドサージュ)
甘さ調整のため、砂糖入りの古酒を加える。 - 瓶詰め・密封
瓶に詰め、特殊なコルクで密封し、飛び出さないように針金を巻き付けて固定する。
●炭酸ガス注入方式
基本的に炭酸飲料と同様のつくり方である。
ベースとなるスティルワインの入ったタンクまたは瓶に、直接炭酸ガスを注入する。
一次発酵のみで、オリと熟成させないため、他の製法と比べて風味が劣る。
- ベースワインを造る
ベースとなる通常のスティルワインを造り、オリ引きまで行う。 - 瓶詰め(タンク詰め)
瓶詰めして冷やす。
気体は温度が低いほうが溶け込みやすい。 - 炭酸ガス注入
冷やしたワインに直接炭酸ガスを注入する。 - 密封
特殊なコルクで密封し、飛び出さないように針金を巻き付けて固定する。
●あとがき
最近は技術革新によって、炭酸ガス注入方式でも粗い泡が目立たないものが出てきている。
泡を気軽に楽しむことができて、とても良いことである。
シャンパンのようにブランドが独り歩きしてしまうような状況は、
メーカーにとっても、消費者にとってもよくない。