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ドイツでは、シードルをアプフェルヴァイン(Apfelwein)と呼ぶ。
アプフェルヴァインはドイツ語であり、英語のアップルワインのことである。
国際都市フランクフルトのある、ヘッセン州で主に生産、消費されている。
ドイツのお酒のイメージはビール、次いで白ワインということが多いが、
フランクフルトでは、毎年アプフェルヴァイン・フェスティバルが開かれるほど、
人気がある。
●味わい
原料であるリンゴの風味を生かしたものが、伝統的な味わいである。
自然のままに、という造り方をしているものが多い。
居酒屋でアプフェルヴァインを注文すると、
ベンベル(Bembel)というピッチャー(陶器の容器)で提供される。
陶器の壺から注ぐのが伝統的なスタイルであり、趣がある。
●生産地
・ヘッセン州
アプフェルヴァインの主な生産地はフランクフルトを中心としたヘッセン州である。
実はドイツには、「フランクフルト」とつく地名はふたつある。
日本でフランクフルトといえば、欧州中央銀行のある国際金融都市の
フランクフルトのことである。
日本からの直行便があり、ドイツの玄関口であり、アプフェルヴァインの産地である。
正確にはフランクフルト・アム・マイン(Frankfurt am Main)という。
マイン川沿いのフランクフルトという意味である。
マイン川の南側に位置するザクセンハウゼン地区では、
アプフェルヴァインを提供するお店が多数ある。
地元の人たちは、ビールよりもアプフェルヴァインを飲むことが多いと言われる。
風情ある街並みに、店外でのんびりとアプフェルヴァイン飲む光景が見られる。
ちなみに、もうひとつのフランクフルトは、
フランクフルト・アン・デア・オーダー(Frankfurt an der Oder)という。
オーダー側に面したフランクフルトという意味である。
ベルリンの東に位置し、ポーランドとの国境にある。
●あとがき
ドイツのアプフェルヴァインは、多くが国内で消費されるため、
日本で飲めるものは数少ない。
ドイツ国内でもほとんど自国のものしかなく、
他国でアプフェルヴァイン(シードル、リンゴ酒)が造られていることを知らない人もいる。
これから世界的なシードルの盛り上がりが大きくなってくると、
ドイツでもグローバル展開が進み、輸出入が活発化するのだろうか。
ドイツの国民性に注目したい。