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ビールの原料は麦とホップと水である。
これらを使いどのようにビールが造られているのか見てみよう。
ビールは、製麦→仕込み→発酵→熟成→ろ過/熱処理→パッケージング、
という工程で造られる。
●製麦
麦芽をつくる工程。
麦を水に浸し、空気を与えながら発芽を促す。
発芽することでビールづくりに必要な酵素が生成される。
ある程度発芽したら、成長を止めるために乾燥させる。
乾燥後の麦芽から芽を取り除く。
●仕込み
・麦芽粉砕
麦芽をローラーで粉砕する。
あまり細かくし過ぎると、あとのろ過で目詰まりするので注意が必要。
・糖化
粉砕された麦芽とお湯を混ぜて、お粥状にする。
麦芽中の酵素により、デンプンは糖に、タンパク質はアミノ酸に分解される。
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・ろ過
糖化されたものをろ過することで穀皮など取り除き、麦汁を得る。
・煮沸
麦汁にホップを加えて煮沸することで、苦みや香りを与える。
ホップは苦味を加えるものと、香りを与えるものでタイミングを分けて投入する。
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・冷却
ろ過後の麦汁を次の発酵工程で酵母が働けるように、冷却する。
●発酵
冷やした麦汁に酵母を加える。
酵母の働きで糖分がアルコールと炭酸ガスに分解される。
得られた液体は「若ビール」と呼ばれ、粗い味わいで、香りも好ましくない。
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●熟成
発酵で得られた若ビールを熟成させる。
低温で熟成させることで、味や香りが落ち着き、整う。
●ろ過/熱処理
熟成されたビールに含まれる酵母を取り除く。
または、熱処理により酵母の活動を止める。
日本ではここで熱処理をしないものを「生ビール」と呼んでいる。
●パッケージング
ろ過されたビールは缶、びん、樽などの容器に詰められる。
極力酸素に触れないように、容器内の空気を炭酸ガスに置換して加圧状態にしてから充填される。
●あとがき
一般に熱処理は低温殺菌法で行われるが、熱処理の有無でどれほどの違いがあるのだろうか。
かつて国の醸造試験所で官能検査によって比較された結果がある。
「違いは認められるが、熱処理の有無で味や香りに差はない」という結果だった。
鮮度は大切ではあるが、保管方法やグラス、飲むときの温度などに気をつけたほうが
美味しく飲めるのだろうと思う。