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シードルの原料【リンゴ】

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文字数:約1500文字

 シードルの原料はリンゴである。
リンゴは世界中で栽培されれており、その種類は15,000種類以上である。
シードルの多くは、多品種のリンゴをブレンドして造られる。
単一品種のリンゴから造られるシードルはごく少数である。

リンゴの分類

アップルパイ
Adriana MaciasによるPixabayからの画像

 リンゴは以下のように4分類される。

  • 生食用:そのまま食べる
  • 加工用:ジュースやマーマレードなどに加工する
  • 調理用:料理やお菓子用に使う
  • 醸造用:シードルやお酢、アップルブランデーに使う

 当然、生食用を加工や調理、醸造に使うこともあるし、その逆もある。
醸造用は、まず基本的にシードルを造り、その後お酢やブランデーにする。
このため、醸造用はシードル専用品種とも呼ばれる。

 さらにシードル専用品種は、4つのタイプに分けられる。

  • スイート:甘味の強い品種
  • シャープ:酸味の強い品種
  • ビター :苦味(渋味)の強い品種
  • ビタースイート:苦味(渋味)と甘味の強い品種

 この分類は1903年にイギリスのロング・アシュトン研究所が提案した。
ロング・アシュトン研究所は、ブリストル大学で農業関連の研究を行っている国立の研究所である。

リンゴの品種

リンゴ
Jill WellingtonによるPixabayからの画像

 シードルの歴史が長いヨーロッパでは、シードル専用品種が使われることが多い。
しかし日本では、生食用リンゴがメインである。
シードル専用品種は、味の調整やアクセントとしてブレンドされることが多い。

 日本のシードル造りでよく使われる品種を紹介する。

  • ふじ
     日本一、世界一生産されている品種
     主に生食用として中国で大量に栽培され、輸出されている。
     1939年に青森で、國光(こっこう)とデリシャスを交配して生まれ、
     1962年に農林登録された。
  • つがる
     1930年に青森で、紅玉とデリシャスを交配して生まれた。
     日本での栽培量はふじに次ぐ第二位
     生食用としても人気がある。
  • 紅玉(こうぎょく)
     海外ではジョナサンと呼ばれる。
     古い品種で1804年にはアメリカにあったとされる。
     酸味が強く、料理やお菓子などの調理用に最適。
  • 王林(おうりん)
     青リンゴの代名詞的品種。
     甘味が強く、香りも豊かな人気の生食用品種。
     福島でゴールデンデリシャスと印度を交配して、1943年に結実。
     「リンゴの中の王様」の意味で「王林」と名付けられた。
     日本での栽培量は、ふじ、つがるに次いで第三位
  • シナノスイート
     1978年に長野で、ふじとつがるを交配して生まれた。
     人気品種を掛け合わせて生まれた、長野を代表する品種
     生食用として、ジューシーで優しい甘さがある。
  • ゴールデンデリシャス
     皮が黄色の、イエローアップル
     1890年にアメリカで発見され、1923年に青森に導入される。
     多くの品種の交配親となっている優良品種。
  • ジョナゴールド
     1943年にアメリカで、ジョナサン(紅玉)とゴールデンデリシャスを交配。
     紅玉の酸味が抑えられ、甘味とのバランスが良い。
  • ブラムリー
     正式名称は、ブラムリーズシードリング。
     1809年にイギリスで、庭に蒔いた種から偶然芽を出した。
     イギリスで栽培されるリンゴの4割以上を占める。
     酸味が強く、加熱するとすぐに煮溶けるので、調理用として人気が高い。
  • グラニースミス
     1868年にオーストラリアで、偶然発見される。
     日本には1934年に青森に導入される。
     酸味の強い青リンゴで、欧米のシードルによく使われている。

●あとがき

 日本では生食用リンゴをメインにして、シードルが造られるが、
ヨーロッパでは主にシードル専用リンゴを使う。
リンゴ文化の長いヨーロッパでは、シードル用リンゴを交配させて作り出している。
日本はまだリンゴの歴史が短いが、これからシードルが定着すれば、リンゴ業界の追い風になる。
そしてシードル品質がさらに向上することが期待できる。



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