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シードルの原料はリンゴである。
リンゴは世界中でさまざまな品種が作られている。
FAOSTAT(国連食糧農業機関データベース)のデータをもとに、
リンゴの生産量を見てみよう。
●世界のリンゴ生産量
上図は2020年のリンゴ生産量TOP20と、シードル主要生産国とその他の国のデータである。
世界のリンゴ総生産量は8644万トン。
その内の半分近くを中国が占めている。
次点のアメリカとは、一ケタ違う量である。
ヨーロッパでのリンゴ大国はポーランドのようだ。
シードル主要国のアメリカ、フランス、ドイツはTOP20に入るが、
スペインとイギリスはリンゴをそれほど生産していない。
このことからシードルの生産量とリンゴの生産量は比例しない。
ブドウはワイン用ものものが多く作られているが、
リンゴは生食用や加工用のほうが断然の多いのである。
●リンゴ生産量推移
上図は、全世界のリンゴ生産量とTOP4と日本の推移である。
中国のリンゴ生産量は1991年を境に伸び続けている。
ここ数年は横ばいだが、ダントツの生産量なのは変わらない。
生産したリンゴの多くは国内で消費しており、輸出は100万トン(40分の1)ほどである。
アメリカは横ばいが続いており、ポーランドとトルコは徐々に増加している。
日本は緩やかに減少傾向が続いている。
世界のリンゴの生産量は増え続けているのに、日本は減り続けている要因は、
農業従事者の減少、不安定な収入、都市部への人口偏重、少子高齢化、
などが絡み合っているのだろう。
●あとがき
シードル造りが軌道に乗れば収入の安定化につながり、
収入が安定するなら農業従事者が減らず、土地を離れなくてもよくなる。
ただし、そんなに簡単な話ではなく、世界的なアルコール離れが進む中、
シードルを定着させるのも難しい。
リンゴを嫌いな人は滅多にいないはずなのに、うまくいかないものだ。