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ジンは他のお酒に比べて、日本での定番商品がはっきりしている。
これまで、あまり種類がなかったことが要因だろう。
現在はクラフトジンも増えたが、ジントニックやマティーニなどの
クラシックカクテルには定番のジンが使われる。
味、品質、流通が安定していることが重要である。
バーなどに常備されているジンを見てみよう。
●基本情報
- 商品名:タンカレー ロンドン ドライジン
- 英 字:TANQUERAY LONDON DRY GIN
- 生産地:イングランド
- 創業年:1830年
- 創業者:チャールズ・タンカレー
- 現所有社:ディアジオ社
- 日本取扱:ディアジオ・ジャパン(株)
●ボタニカル
タンカレーのボタニカルは、以下の4つである。
- ジュニパーベリー
- コリアンダーシード
- アンジェリカルート
- リコリス
4つのボタニカルを使い、4回蒸留して造られているタンカレーだが、
その詳細なレシピは創業当時から秘伝とされており、知る人はほとんどいない。
ボタニカルにはレモンなどの柑橘系のものを使用していないが、
タンカレーからは柑橘系の爽やかな香りがする。
この香りはコリアンダーシードから引き出された香りだと言われている。
●歴史
チャールズ・タンカレーが創業したのは1830年で、
20歳の時である。
ロンドンのブルームズバリーに蒸留所を設立したのは、
ゴードンの創業者であるアレクサンダー・ゴードンからの
アドバイスを受けてのことである。
ゴードン社の創業は1769年である。
1868年に、息子のチャールズ・ウォー・タンカレー(20歳)に
事業を継承する。
1898年には、ゴードン社と協業し、
当時世界最大のジンメーカー タンカレー・ゴードン社が
誕生する。
ちなみに、タンカレー創業時の蒸留器は
ゴードン社で使っていた中古品を買い取ったものである。
タンカレーとゴードンには何かと繋がりがあるようだ。
2000年にプレミアム銘柄として「タンカレー ナンバーテン」が発売される。
この製品は、「TINY TEN(タイニーテン)」という小型蒸留器が使われている。
一度に400Lしか蒸留できず、少量生産となってしまう。
タンカレーナンバーテンは高評価を得て、市場で支持された。
少量でも高品質のものには需要があると証明されたことで、
ジン製造への参入者が増え、現在のクラフトジンブームに繋がっている。
●あとがき
タンカレー創業時の1830年に、アレクサンダー・ゴードンはかなりの高齢だった。
20歳の青年チャールズ・タンカレーは、ゴードンにとっては孫のようなものだったのだろう。
蒸留所の建設場所を教えたり、中古蒸留器を譲ったり、かなりタンカレーを助けている。
さすがにレシピまでは教えてもらっていないだろう。
若くてもジン造りに挑戦しようと思い立ったタンカレーには信念があったはずなのだから。
タンカレーは良い縁に恵まれたと思う。