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テキーラは、原料の使用比率によって2種類に分けられる。
さらに熟成期間によっても分けられる。
●原料比率による分類
テキーラの原料は竜舌蘭の一種であるアガベ・アスルを使う。
このアガベ・アスルを最低51%使用しなければ「テキーラ」を名乗れない。
アガベ・アスルを100%使用したものを「100%アガベ・テキーラ」、
51%以上使用したものを「テキーラ」とされる。
・100%アガベテキーラ
アガベ・アスルのみで製造することで、混じり気のないピュアなアガベ・アスルの蒸留酒となる。
プレミアムテキーラといわれているもののほとんどは、100%アガベテキーラである。
100%アガベテキーラは、メキシコの指定産地5州で栽培されたアガベ・アスルを使い、
現地で製造し、瓶詰めまでを行わなければならない。
100%アガベテキーラには、ラベルに「100% de Agave」、「100% puro de Agave」などを
表記することが認められている。
・テキーラ
アガベ・アスルを51%以上使って造られたもの。
混ぜる原料としては、サトウキビの糖廃蜜やトウモロコシなどの糖分がある。
アガベ・アスル以外のアガベを混ぜるのは禁止されている。
混ぜものということから、「ミクスト・テキーラ」と呼ばれることもある。
テキーラは、国内外の認定業者が瓶詰めを行うことができる。
樽詰めされた状態で、瓶詰め業者のもとへ送り、瓶詰めする。
●熟成期間による分類
テキーラは、熟成期間によってブランコ、レポサド、アニェホ、
エクストラ・アニェホの4つに分類される。
分類 | ブランコ | レポサド | アニェホ | エクストラ・ アニェホ |
---|---|---|---|---|
熟成期間 | 0~2ヵ月未満 | 2ヵ月以上 | 1年以上 | 3年以上 |
樽容量 | – | – | 600L以下 | 600L以下 |
・ブランコ(シルバーやホワイトとも呼ばれる)
熟成期間が0~2ヵ月未満のもの。
原料由来の味わいがはっきり残っており、少し青臭い。
アルコールの角が取れていない感がある。
・レポサド
レポサドは、「休ませた」の意味。
オーク樽で2か月以上熟成させたもの。
少し黄金色がかり、アルコールの角が取れる。
フレッシュさが落ち着き、飲みやすくなる。
・アニェホ(またはアネホ)
アニェホは、「熟成させた」の意味。
容量600L以下のオーク樽で1年以上熟成させたもの。
琥珀色で、味わいに丸みを帯びる。
樽由来の、風味が加わり、複雑さが増す。
・エンジェルズシェア
エンジェルズシェアとは、樽熟成中に気温や湿度の環境変化に伴って、
樽が膨張・収縮することで中の液体が蒸発すること。
天使の分け前とも呼ばれ、スコットランドのウイスキー熟成では、
年に2~3%ずつ蒸発して樽の中身が減ってしまう。
メキシコの環境でのエンジェルズシェアは10%以上である。
スコットランドの2%と比べると5倍になる。
つまり、樽熟成が凄まじいスピードで進むのである。
・エクストラ・アニェホ
容量600L以下のオーク樽で3年以上熟成させたもの。
暗褐色で、原料由来の香りよりも樽由来の香りが強く感じる。
テキーラ感が薄れ、他の熟成蒸留酒に近い味わいになる。
・ホーベン(オーロやゴールドとも呼ばれる)
ブランコと熟成させたもの(レポサド、アニェホなど)をブレンドしたもの。
または、ブランコにカラメル色素を添加したもの。
添加物は1%以下まで認められている。
テキーラの基礎知識 ↓
●あとがき
テキーラの長期熟成は、難しい。
問題は熟成環境であり、メキシコの環境では10年間熟成すると樽が空になってしまう。
熟成年数が長いほど付加価値が付くという、現代の価値観のなかでは、
超長期熟成に挑戦するテキーラが増えてきているのもわからなくない。
しかし、超長期熟成したものにどの程度テキーラらしさが残っているのだろうか。
テキーラは超長期熟成を始めたばかりである。
これからの展開に注目したい。