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他の蒸留酒と比べてテキーラは、世界に広まってまだそれほど時間が経っていない。
そもそもテキーラと呼ばれるようになったのがいつかも正確にはわかっていない。
当初はテキーラ村周辺で造られるメスカルが、他の地域のメスカルよりも評判が良かったことから、
区別して村名で呼ばれるようになったとされている。
テキーラ村の周辺は火山灰性の砂質土壌で、アガベの栽培に理想的な土地である。
テキーラという地名は、アステカ語でテル(丘)とキーラ(溶岩)が語源だといわれている。
蒸留技術も、どのような経路で入ってきたのかわかっていない。
有力な説としてはスペイン人が持ち込んだというものだが、
他にもカリブ海のラム酒製造経由で伝わったという説もある。
今後の発見でこれらのわからないこともわかるようになるかもしれない。
大いに期待したい。
●テキーラの歴史年表
- 1万1000年前
地面に掘った穴にアガベの球茎を入れて、(蒸し)焼いて食べていた痕跡が見つかる - 3200年前
オルメカ文明(~2000年前)
- 3000年前
マヤ文明(~16世紀)がメキシコからユカタン半島にかけて広まる - 1428年
アステカ文明(~1521年)が広まる - 1492年
コロンブスにより新大陸アメリカ発見 - 1521年
スペイン人によってメキシコ征服(アステカ文明滅亡)
- 1538年
メスカルに関する最古の記録(課税記録)が見つかる - 1758年
ホセ・アントニオ・クエルボが、スペイン王フェルナンド6世から、
ハリスコ州の土地を入手し、アガベの植樹を許可される
- 1795年
ホセ・マリア・グアダルーペ・クエルボが、スペイン王カルロ4世から、
テキーラの商業製造・販売を認める最初の認証を交付される - 1812年
現在稼働している最古のテキーラ蒸留所「ラ・ロヘーニャ蒸留所」操業開始 - 1821年
メキシコ独立
- 1852年
バジェス地方のテキーラ地区に、「ビウダ・デ・ロメロ蒸留所」建設
2000年にロスアルトス地方のアランダス地区に移転し、「ペルノ・リカール蒸留所」となる - 1867年
オレンダイン家の一人が、バジェス地方のテキーラ地区に、「テキレーニャ蒸留所」を建設 - 1870年
アウレリオ・フェリクス・ロペスが、バジェス地方のアマティタン地区に、
「カーサ・エラドゥーラ蒸留所」を建設
- 1873年
ドン・セノビオ・サウザが、バジェス地方のテキーラ地区に、「サウザ蒸留所」を建設
- 1900年
エドゥアルドとハイメのオレンダイン兄弟が、バジェス地方のテキーラ地区に、
「アレッテ蒸留所」を建設 - 1910年
メキシコ革命勃発(~1917年) - 1922年
セニョール・ホセ・マリアが、ロスアルトス地方のアランダス地区に、
「カサドレス蒸留所」を建設 - 1926年
エドゥアルド・オレンダイン・ゴンザレスが、バジェス地方のテキーラ地区に、
「オレンダイン蒸留所」を建設 - 1942年
フリオ・ゴンザレスが、ロスアルトス地方のアトトニルコ地区で、テキーラ造りを始める
- 1958年
ミュージックバンド「ザ・チャンプス」が、「テキーラ」を発表し、大ヒットする - 1968年
メキシコオリンピック開催により、世界中に人々がテキーラを味わう - 1974年
テキーラの原産地呼称が成立(原産地4州) - 1976年
テキーラの原産地にタマウリパス州が追加される(原産地が5州になる) - 1991年
オーストリア人のマーティン・グラッスルが、アガベスピリッツ「ポルフィディオ」を造り始める
- 1993年
「100%アガベ」の規定が制定される - 1994年
CRT(テキーラ規制委員会)設立 メスカルの原産地呼称が成立 - 2006年
ユネスコ世界遺産に「竜舌蘭景観とテキーラの伝統的産業施設群」が登録される
テキーラの基礎知識 ↓
テキーラの原料
文字数:約1400文字 テキーラの原料は、竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種である、アガベ・アスルである。テキーラには、アガベ・アスルの葉を切り落とし…
テキーラの種類
文字数:約1700文字 テキーラは、原料の使用比率によって2種類に分けられる。さらに熟成期間によっても分けられる。 もくじ ●原料比率による分類・1…
テキーラのつくり方
文字数:約2700文字 テキーラが他の蒸留酒と違うのは、原料であるアガベの栽培・収穫が製造に含まれていることである。 テキーラの製造工程は、以…
テキーラの定義
文字数:約2100文字 テキーラには明確な定義がある。テキーラは、メキシコの強いお酒というイメージだけで、原料を知らない人も多い。定義を知れば…
●あとがき
テキーラが世界に広まって、半世紀が過ぎた。
年々着実に生産量を増やしているが、ブランドもしっかりと守っている。
これからも消費が増える余地はまだまだある。
歴史が動く瞬間を見続けたいものだ。