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テキーラとメスカル

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文字数:約1500文字

 テキーラと関連性の深いお酒としてメスカルが挙がる。
メスカルがどのようなお酒なのか、テキーラと比較してみよう。

メスカルとは

メスカル
Alejandro G.によるPixabayからの画像



 メスカルとは、竜舌蘭の球茎(ピニャ)を原料にして造られた
蒸留酒であり、製造できる生産地が明確に決められている

 そもそもアガベの蒸留酒は全てがメスカルだった。
しかしテキーラ村周辺で造られるメスカルの評判が良かったので、
テキーラ村周辺で造られるものだけがテキーラと
呼ばれるようになった。

 つまりテキーラはメスカルの中の一種だったのである。
その後、メスカルも生産地を明確に決めたことにより、
完全に区別されるようになった。

・原料

 テキーラもメスカルも原料は、竜舌蘭(アガベ)の球茎(ピニャ)を使う。
テキーラは、竜舌蘭の中でもアガベ・アスルのみと限られるが、
メスカルは、アガベの種類は問われない(200種類以上あるといわれる)。

アガベ
OscarによるPixabayからの画像

 例えるならば、大麦を原料とするモルトウイスキーと、
ライ麦を原料とするライウイスキーと似ている。
両方とも麦を使うが、種類が違う。

 テキーラとメスカルも両方とも竜舌蘭(アガベ)を使うが、種類が違う。

・生産地

メキシコ地図

 テキーラの生産地はメキシコ5州である。

  • ハリスコ州
  • グアナファト州
  • ミチョアカン州
  • ナヤリ州
  • タマウリパス州

 メスカルの生産地はメキシコ9州である。

  • オアハカ州
  • グアナファト州
  • ミチョアカン州
  • ドゥランゴ州
  • タマウリパス州
  • サカテカス州
  • サン・ルイス・ポトシ州
  • ゲレーロ州
  • プエブラ州

 テキーラとメスカルの両方を製造できるのは、
グアナファト州、ミチョアカン州、タマウリパス州である。

 ちなみに、テキーラ指定産地でアガベ・アスルを使って造られたものは
テキーラとは名乗れず、メスカルとなる。

・製造工程

 テキーラもメスカルも製造工程は、基本的に同じである。

  1. 栽培・収穫
  2. 加熱・搾汁
  3. 発酵
  4. 蒸留
  5. 熟成
  6. 瓶詰め

 メスカルのほうが伝統的製法で造られることが多いが、
近代的な設備を導入するメーカーもある。

 メスカルの熟成には、アニェホ(1年以上)までの分類しかなく、
テキーラでいうエクストラ・アニェホ(3年以上)はまだない

 テキーラは51%以上のアガベ成分あればよいが、
メスカルは100%アガベでなければならいない。
しかしメスカルはアガベの種類をブレンドすることが認められている

 他には、テキーラは指定された添加物を1%まで許可されているが、
メスカルはイモムシやサソリ入りのものがある
イモムシやサソリは、テキーラの指定添加物に入っていない。

サソリ
Alejandro G.によるPixabayからの画像

●テキーラとメスカルの違い

 まとめると以下のようになる。

テキーラメスカル
原料アガベ・アスルのみアガベ全般
原料使用量51%以上100%
生産地 5州
・ハリスコ
・グアナファト
・ミチョアカン
・ナヤリ
・タマウリパス



 9州
・オアハカ
・グアナファト
・ミチョアカン
・ドゥランゴ
・タマウリパス
・サン・ルイス・ポトシ
・ゲレーロ
・プエブラ
アルコール度数35~55%35~55%
メタノール値3mg/ml以下3mg/ml以下
製法近代化が進んでいる
大量生産化
伝統製法重視
手作業による少量生産
ブランコ0~2ヵ月未満0~2ヵ月未満
レポサド2ヵ月~1年未満2ヵ月~1年未満
アニェホ1年以上1年以上
エクストラ・アニェホ3年以上

●あとがき

 メスカルの人気が急上昇中である。
しかしまだ大量生産の体制が整っていない。
メスカルの規定には、製法の指定はないので、今後近代化が進むだろう。
そうなった時に、メスカルの人気はどうなるのだろうか。
伝統製法でのこだわりも含めての人気だとしたら、急減速しかねない。
メスカルが今後どのような戦略で展開するのか注目したい。



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