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テキーラと関連性の深いお酒としてメスカルが挙がる。
メスカルがどのようなお酒なのか、テキーラと比較してみよう。
●メスカルとは
メスカルとは、竜舌蘭の球茎(ピニャ)を原料にして造られた
蒸留酒であり、製造できる生産地が明確に決められている。
そもそもアガベの蒸留酒は全てがメスカルだった。
しかしテキーラ村周辺で造られるメスカルの評判が良かったので、
テキーラ村周辺で造られるものだけがテキーラと
呼ばれるようになった。
つまりテキーラはメスカルの中の一種だったのである。
その後、メスカルも生産地を明確に決めたことにより、
完全に区別されるようになった。
・原料
テキーラもメスカルも原料は、竜舌蘭(アガベ)の球茎(ピニャ)を使う。
テキーラは、竜舌蘭の中でもアガベ・アスルのみと限られるが、
メスカルは、アガベの種類は問われない(200種類以上あるといわれる)。
例えるならば、大麦を原料とするモルトウイスキーと、
ライ麦を原料とするライウイスキーと似ている。
両方とも麦を使うが、種類が違う。
テキーラとメスカルも両方とも竜舌蘭(アガベ)を使うが、種類が違う。
・生産地
テキーラの生産地はメキシコ5州である。
- ハリスコ州
- グアナファト州
- ミチョアカン州
- ナヤリ州
- タマウリパス州
メスカルの生産地はメキシコ9州である。
- オアハカ州
- グアナファト州
- ミチョアカン州
- ドゥランゴ州
- タマウリパス州
- サカテカス州
- サン・ルイス・ポトシ州
- ゲレーロ州
- プエブラ州
テキーラとメスカルの両方を製造できるのは、
グアナファト州、ミチョアカン州、タマウリパス州である。
ちなみに、テキーラ指定産地でアガベ・アスルを使って造られたものは
テキーラとは名乗れず、メスカルとなる。
・製造工程
テキーラもメスカルも製造工程は、基本的に同じである。
- 栽培・収穫
- 加熱・搾汁
- 発酵
- 蒸留
- 熟成
- 瓶詰め
メスカルのほうが伝統的製法で造られることが多いが、
近代的な設備を導入するメーカーもある。
メスカルの熟成には、アニェホ(1年以上)までの分類しかなく、
テキーラでいうエクストラ・アニェホ(3年以上)はまだない。
テキーラは51%以上のアガベ成分あればよいが、
メスカルは100%アガベでなければならいない。
しかしメスカルはアガベの種類をブレンドすることが認められている。
他には、テキーラは指定された添加物を1%まで許可されているが、
メスカルはイモムシやサソリ入りのものがある。
イモムシやサソリは、テキーラの指定添加物に入っていない。
●テキーラとメスカルの違い
まとめると以下のようになる。
テキーラ | メスカル | |
---|---|---|
原料 | アガベ・アスルのみ | アガベ全般 |
原料使用量 | 51%以上 | 100% |
生産地 | 5州 ・ハリスコ ・グアナファト ・ミチョアカン ・ナヤリ ・タマウリパス | 9州 ・オアハカ ・グアナファト ・ミチョアカン ・ドゥランゴ ・タマウリパス ・サン・ルイス・ポトシ ・ゲレーロ ・プエブラ |
アルコール度数 | 35~55% | 35~55% |
メタノール値 | 3mg/ml以下 | 3mg/ml以下 |
製法 | 近代化が進んでいる 大量生産化 | 伝統製法重視 手作業による少量生産 |
ブランコ | 0~2ヵ月未満 | 0~2ヵ月未満 |
レポサド | 2ヵ月~1年未満 | 2ヵ月~1年未満 |
アニェホ | 1年以上 | 1年以上 |
エクストラ・アニェホ | 3年以上 | - |
●あとがき
メスカルの人気が急上昇中である。
しかしまだ大量生産の体制が整っていない。
メスカルの規定には、製法の指定はないので、今後近代化が進むだろう。
そうなった時に、メスカルの人気はどうなるのだろうか。
伝統製法でのこだわりも含めての人気だとしたら、急減速しかねない。
メスカルが今後どのような戦略で展開するのか注目したい。