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テキーラには、名門と呼ばれるメーカーがいくつかある。
当然、日本でもよく知られているブランドなので、その成り立ちなどを見てみよう。
●現存する最古のテキーラ蒸留所
クエルボの歴史はテキーラの歴史といってもよい。
250年以上の歴史を持つクエルボ家はテキーラ業界の中枢にある。
最初に正式な認可を受けてアガベの栽培を始めたのはクエルボ家であり、
最初にテキーラの製造・販売の許可を受けたのもクエルボ家である。
ちなみに、クエルボとはスペイン語でカラスの意味。
先祖の時代にカラスのおかげで助かった出来事があり、
クエルボ(カラス)と名乗るようになったとか。
・クエルボ家の歴史
- 17世紀
フランシスコ・クエルボが、当時のヌエバ・エスパーニャ
(中央アメリカ一帯を支配していたスペイン副王領)の陸軍士官に赴任する。 - 1758年
ホセ・アントニオ・デ・クエルボ・イ・バルデスが、スペイン王フェルナンド6世から、
ハリスコ州の土地を入手し、テキーラの原料となるアガベの植樹を許可される。 - 18世紀中頃
クエルボ家の一人が、王立メスカル専売所の所長に就く。 - 1795年
ホセ・マリア・グアダルーペ・クエルボ・イ・モンタナが、スペイン王カルロ4世から、
テキーラの製造・販売の許可を得る。 - 1812年
現在稼働している最古のテキーラ蒸留所、「ラ・ロヘーニャ蒸留所」を操業する。
以降、クエルボ家はテキーラを造り続けて、その地位を確立させている。
●クエルボブランド
クエルボの定番ブランドを紹介しよう。
・ホセ・クエルボ エスペシャル
テキーラのド定番ブランドである。
初めて飲むテキーラがこの「ホセ・クエルボ エスペシャル」という人も多いだろう。
テキーラベースのカクテルにもよく使われている。
ミクストテキーラであるため、飲みやすく、テキーラ入門に最適。
・ホセ・クエルボ トラディショナル
クエルボの看板商品である、100%アガベテキーラ。
テキーラらしさをしっかり味わうのにとても良い。
ミクストのエスペシャルと飲み比べてみると、味わいの違いがわかりやすい。
・1800(ミル・オチョ・シエントス)
こちらも100%アガベテキーラである。
アガベの産地がロスアルトス地方であり、
またフレンチオークを熟成に使ったものをブレンドしている。
1800年頃に、テキーラがオーク樽熟成を始めたことに由来し、「1800」と名付けられた。
1000はミル、8はオチョ、100はシエントスの意味で、略して「ミルオチョ」と呼ばれている。
台形のボトルは、マヤのピラミッドをモチーフにしたのかは不明。
●あとがき
アメリカやメキシコでは、名門クエルボ家の歴史を紹介する本が発売されている。
日本でいうところの徳川家の歴史のようなものなのだろうか。
ただし、クエルボは250年を超えて現在も歴史は続いている。
現在はクエルボの姓ではなく、ベックマンの姓を名乗っている。
クエルボの歴史はまだまだ続く。