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日本のビール生産量は減る一方だが、世界ではどうなのか。
キリンが公開しているデータをまとめたので見てみよう。
●世界のビール生産量
世界のビール生産量は右肩上がりだったが、近年は勢いに鈍化がみられる。
1986年に1億kLを突破し、その後20年強で2億kL目前まで伸びている。
しかし、その勢いは衰え、横ばいが続いている。
●地域別のビール生産量
世界のビール生産量を牽引してきたのは、アジアと中南米の地域である。
アジア地域は1994年に北米地域を抜き、さらに2009年には本場である欧州を抜き首位になる。
しかし2011年をピークに生産量が減少傾向に転じている。
中南米地域も2006年に北米地域を抜き、その勢いは続いている。
徐々にヨーロッパの生産量に近づきつつある。
ヨーロッパは1997年からの10年間で4割ほど急激に伸ばしたが、
現在は5000万kL強で落ち着いている。
アフリカ地域もじわじわと生産量を伸ばし、北米地域に近づいてきている。
オセアニア地域はやや減少傾向にある。
中近東地域では、少しずつではあるが生産量を増やしている。
●上位10カ国のビール生産量推移
アジア地域を牽引してきたのは中国だとわかる。
2002年にアメリカの生産量を抜き、独走状態が続いている。
しかし、2013年をピークに減少傾向にある。
中国の生産量減少が世界の生産量横ばいに大きく影響している。
アメリカは緩やかな減少傾向にあり、そこへブラジルやメキシコの中南米勢が迫る。
アジアではベトナムがじわじわと生産量を伸ばし、減少傾向の日本に近づきつつある。
日本の生産量は、ビール・発泡酒・第3のビールの合計である。
ヨーロッパ最大の生産国であるドイツも減少傾向である。
●2020年 国別ビール生産量ランキングTOP20
やはり中国が圧倒的である。
アジア勢は、中国、日本、ベトナム、タイ、韓国の5カ国がランクイン。
北米は、アメリカとカナダの2か国。
勢いのある中南米は、ブラジル、メキシコ、コロンビアの3カ国。
ビール発祥の地であるヨーロッパからは、ドイツ、ロシア、ポーランド、スペイン、イギリス、ベルギー、オランダ、フランス、チェコの9カ国で、さすがである。
アフリカからは、南アフリカが唯一のランクインだが、21位にはナイジェリアが続く。
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●あとがき
世界のビールの生産量は半世紀近くの間、増え続けていた。
それが現在は横ばいとなっている。
これまで増加を牽引してきた中国の減少が、大きく影響している。
中国の一人当たりのビール消費量は少なく、中国人はあまりビールを飲まないようだ。
これからの牽引役は中南米や東南アジアなどになりそうだ。