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シェリーとは、スペインで造られる酒精強化ワインである。
さらに詳しくシェリーというものを知ることで、より一層おいしく飲めるようになる。
●酒精強化ワイン
酒精強化ワインとは、ワインに高い度数の蒸留酒を加えて、アルコール度数を強くしたもの。
英語ではフォーティファイド・ワイン(Fortified-Wine)という。
酒精(しゅせい)とは、アルコールのことである。
通常のワインのアルコール度数は、12%程度なのに対して、シェリーは15~23%である。
3大酒精強化ワインとして、スペインのシェリー、ポルトガルのポート、マデイラが有名。
シェリーは、アルコール発酵後に蒸留酒を加えるが、
ポートとマデイラは、アルコール発酵途中に蒸留酒を加える。
アルコール発酵の途中では、糖分が残っており、甘さが保持され、
アルコール発酵後では、糖分がほとんどアルコールに分解されており、甘さが少ない。
●原産地呼称
シェリーは原産地呼称法によって定められている。
原産地呼称は、DO(Denominación de origen)と呼ばれ、統制委員会によって厳しく管理されている。
条件を満たしたものには、以下の原産地呼称を名乗ることができる。
- ヘレス=ケレス=シェリー
(Jerez/Xérès/Sherry) - マンサニージャ=サンルーカル・デ・バラメダ
(Manzanilla/Sanlucar de barrameda)
ヘレスはスペイン語、ケレスはフランス語、シェリーは英語である。
・原産地呼称の主な条件
主な条件は4つある。
- ブドウの栽培地域
スペイン南部アンダルシア地方の、ヘレス、プエルト、サンルーカルを
中心とする地域のみ - ブドウ品種
白ブドウのみで、パロミノ種、ペドロ・ヒメネス種、モスカテル種に限る。 - 熟成地域
ヘレス、プエルト、サンルーカルの3地域のみ。 - 熟成年数
熟成は最低2年間の行われなければならない。
これらの条件の他にも、在庫量の管理やブドウ収穫時の糖度、生産量など細かく規定されている。
①ブドウの栽培地域
正確には以下の9つの地域である。
- ヘレス・デ・ラ・フロンテラ
- プエルト・デ・サンタ・マリア
- サンルーカル・デ・バラメダ
- トレブヘナ
- チピオナ
- ロタ
- プエルト・レアル
- チクラナ・デ・ラ・フロンテラ
- レブリハ
これらの地域にある、統制委員会が認めた畑のみとなる。
②ブドウ品種
以下の3種の白ブドウのみが認められている。
- パロミノ
- ペドロ・ヒメネス
- モスカテル
③熟成地域
ヘレスの三角地帯と呼ばれる3つの町でのみ熟成が認められている。
- ヘレス・デ・ラ・フロンテラ
- エル・プエルト・デ・サンタ・マリア
- サンルーカル・デ・バラメダ
④熟成年数
シェリーには様々なタイプのものがあるが、
どのタイプでも最低2年間の熟成を行わなければならない。
上限は特にない。
平均熟成年数20年以上のものを、V.O.S.(Vinum Optimum Signatum)(英語のVery Old Sherryとも一致)、
平均熟成年数30年以上のものを、V.O.R.S.(Vinum Optimum Rare Signatum)(英語のVery Old Rare Sherryとも一致)
と表記される。
20年に達していないものでも、非常に品質の高いと認められたものには、
平均熟成年数12年以上のものを12年、
平均熟成年数15年以上のものを15年と表記することができる。
●あとがき
シェリーは原産地呼称法によって厳しく管理されている。
しかし、原産地呼称法があるにかかわらず、20世紀末までは他の国で造られたものもシェリーと名乗っていた。
国際的なルールを守って、厳格に対処されることが、原産地の保護にもつながり、
消費者も品質の良いものが得られる。
しっかりとした定義が重要であるということだ。