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世界中で人気のシェリーだが、その販売量はどのくらいなのか。
シェリーの生産国であるスペインの公的機関が公開しているデータをもとに、
販売量と輸出量の推移、2021年の輸出先をまとめた。
●シェリーの販売量
シェリーの販売量は年々減少している。
スペイン国内での消費はほぼ横ばいなのに対して、輸出量の減少が原因といえる。
シェリーの最盛期は20世紀後半で、5~6倍の販売量があったとされている。
2020年は世界的なパンデミックの影響で過去最低を記録したが、
2021年は回復の予兆が見られる。
輸出減少に下げ止まりの気配を感じるが、まだ安心はできない。
●シェリーの国別輸出量
シェリー最大の輸出先はイギリスである。
これは昔から変わっていない。
イギリスに次いでオランダ、ドイツが得意先である。
国別でみると、イギリスとオランダの減少幅が大きい。
イギリス、オランダほどではないが、ドイツも減少傾向にある。
これらの国では、昔から甘口シェリーをたくさん消費してきた。
それを支えた人たちは年配となり、現代の世代には辛口が好まれている。
イギリスはパンデミック前の2019年に底をつけて、
その後2020年2021年は増加に転じている。
外食が禁止され、消費が落ち込む中での増加の理由はわからない。
イギリスでシェリーの価値が見直されたと言われているが、、、
スペイン国内での消費は緩やかに減少傾向にある。
2010年代に入ると、イギリスが減少したことによって国内が最大市場となった。
注目したいのはスペインの隣国フランスである。
ワイン大国であるフランスで、シェリーの消費が少しづつ増えてきている。
まだまだ少ないがこれからの動向が気になる。
●シェリーの輸出先(2021年)
最大の輸出先はイギリスで47%を占める。
次いでオランダが17%、ドイツが10%、ベルギーが6%、
アメリカ6%、フランス5%である。
この6カ国で9割を占めている。
日本は意外とシェリーを輸入している国で、
2018年はカナダに次いで第8位であり、アジアで最も多く輸入していた。
自粛生活によって外食産業が大打撃を受けた影響が尾を引いている。
●あとがき
シェリーの最盛期は20世紀後半だが、イギリスやオランダ、ドイツなどの
ヨーロッパ勢が主な輸出先だった。
現代は輸出量は大幅に減ったが、グローバル化が進み多くの国で飲まれるようになっている。
輸出先を数カ国に頼るのではなく、新しい市場を開拓し、
現代にあったタイプのシェリーを開発していくことが、今後のカギになると考える。