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マデイラワインの生産国であるポルトガルの公的機関マデイラワイン協会(IVBAM)が
公開しているデータをもとに、ブドウ品種別、熟成年数別の販売量推移をまとめた。
●マデイラワインの品種別販売量
マデイラワインの分類の一つとして、ブドウ品種による分類がある。
85%以上使用しているブドウ品種はラベルに表記できる。
それ以下のものはブレンド品として品種表記できない。
主なものは以下である。
- 白ブドウ
セルシアル、ヴェルデーリョ、ボアル、マルヴァジア、テランテス - 黒ブドウ
ティンタ・ネグラ
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・ブレンド
マデイラワインで最も販売されているタイプは甘口である。
この10年で若干減少しているにもかかわらず、圧倒的である。
次いで中辛口が2017年に中甘口を抜いて販売量を維持している。
抜かれた中甘口は減少傾向にある。
辛口も減少傾向にある。
甘口から辛口までを見てきたが、これらは全てブドウ品種がブレンドされたものである。
・品種表記あり
ブドウ品種表記ありで、最も販売されているのはマルヴァジアである。
マルヴァジアは甘口のワインに仕上がる。
甘口のマルヴァジアに続くのは、中甘口のボアルである。
中辛口のヴェルデーリョ、辛口のセルシアルを、急上昇中のティンタ・ネグラが2021年に抜く。
ティンタ・ネグラは、これまではブレンド用に使われてることが多かったが、
近年では単独で85%以上使われている。
栽培地域によって、甘口から辛口まで幅広く仕上げられる。
テランテスは栽培量が少なく、希少性が高い。
中甘口、中辛口タイプに仕上がる。
・品種別の販売量割合(2021年)
最も多く販売されている甘口が3割以上を占める。
次いで中辛口26%、中甘口20%、辛口8%で、ブレンドだけで9割を占める。
品種表記ありでトップのマルヴァジアでも3%のシェアしかない。
こう見ると、品種表記ありの希少性がよくわかる。
●マデイラワインの熟成年数別販売量
マデイラワインの分類の一つとして、熟成年数による分類がある。
ブレンドと単一品種、単一収穫年で以下のようになる。
- ブレンド
・年数表記無し(3年以上熟成)
・年収表記有り(5年、10年、15年、20年、30年、40年、50年以上熟成) - 単一品種、単一収穫年
・コリェイタ(5年以上、20年未満)
・フラスケイラ(20年以上)
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マデイラワインと名乗るものの中には、
酒精強化されていない通常のワイン(スティルワイン)も含まれている。
元データにModifiedというものがあったが、これがよくわからなかった。
加工や修正されたマデイラワインというものが、どのようなものを指しているのか。
勉強不足で申し訳ない。
マデイラワインの熟成年数別では、最低熟成年数の3年タイプが圧倒的に販売されている。
3年熟成品は量が多いため、年ごとの変動も大きくなる。
他はどのタイプも大きな変化はなく、安定している。
次いで多いのがModifiedである。
長年安定して2位だが、コリェイタの下のレベル(単品種、単収穫年の3年品)のことなのだろうか。
5年熟成品はパンデミックの影響を大きく受けた。
少しずつではあるが、増加傾向にあっただけにダメージが大きい。
熟成が20年を超えるものはかなり少なく、量が限られてしまう。
50年以上になると幻の部類になってしまう。
・熟成年数別の販売量割合(2021年)
3年熟成品だけで6割を占める。
2割を占めるModifiedが何なのかわからず、歯がゆい。
スティルワインは5%を占め、意外と販売されていることがわかる。
フラスケイラが意外と多い。
ブレンドの20年以上をすべて足しても、フラスケイラのほうが3倍ほどある。
単一品種、単一収穫年でワインを造ると決めた時点で、長期熟成を見据えているからだろう。
40年熟成の量が少ないのは、40年前の生産量の影響なのか、
あと10年でキリのよい50年だからなのだろうか。
●あとがき
マデイラワインの50年以上熟成されたものは本当に貴重である。
2021年は26L分しか販売されていない。
半世紀以上も寝かせたワインは、多くの人を魅了する。