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世界中で造られているラムだが、日本でも造られている。
国内の生産量と輸出入量、地域別の内訳、国別の輸入量ランキングを見てみよう。
●ラムの国内生産量
日本洋酒酒造組合の公開しているデータをもとにまとめた。
すべてのラム製造者が組合員というわけではないが、傾向を見るには十分である。
国税庁の分類では、ラムはスピリッツ等に含まれるため、正確な数値はわからない。
2021年は約1,198kL生産されている。
1990年代後半から生産量は減り続け、2000年代前半に落ち着き、
その後、増減はあるものの、横ばいが続く。
●ラムの輸出入量
財務省が公開しているデータをもとにまとめた。
これまで海外への輸出は微々たるものだったが、ここ数年は増加傾向にある。
輸出に対して輸入は桁が違う。
2012年、2013年は急増しているが、それ以降は横ばいが続く。
ここ数年は2000年代に比べると、1~2割ほどは増加している。
●ラムの輸出入金額
輸出量が増えたことで輸出金額も増加傾向にある。
輸入量に比べて、輸入金額は倍増している。
高価格帯のラムの輸入量が増えていると考えられる。
●ラムの地域別輸入量(2021)
地域別でみるとやはりカリブ諸島からの輸入量が6割を超えている。
次いでヨーロッパ地域、アメリカ大陸。
そしてアジア・オセアニア、インド・アフリカとなる。
ヨーロッパの国々では自国で生産しているというよりも、
カリブ諸島の海外県で生産されたものを、本国で熟成やブレンドを行って
出荷していることが多い。
反対にアメリカ大陸、特に中南米では自国でラムを生産・熟成・出荷している。
日本でよく見かけるブランドを有するモーリシャスやレ・ユニオン島の
属するインド・アフリカ地域は、輸入量としては少ない。
しかし存在感のあるブランドが多いと感じる。
・ラムの輸入量ランキングTOP20(2021年)
輸入量、金額ともにジャマイカ、プエルトリコが群を抜いている。
ド定番のブランドを有する強みが出ている。
ジャマイカはマイヤーズとキャプテンモルガン、プエルトリコはバカルディである。
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3位がフランスなのは意外である。
フランスの海外県は別にカウントとされているにもかかわらずである。
フランス海外県のマルティニーク島やグアドループ島などを合わせたものが
18位の仏領西インド諸島である。
輸入量こそ少ないが、1L当たりの金額が他よりも圧倒的に大きい(4,646円)。
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1L当たりの金額で見ると、中米のグアテマラ(2,827円)にはロン・サカパがあり、
ガイアナ(2,743円)にはデメララ地域があり、レモンハートやエル・ドラドがある。
逆にジャマイカ(665円)やプエルトリコ(625円)の定番商品は1L当たりの金額が小さい。
イギリス(1,842円)はボトラーズメーカーが多いのであろう。
ニカラグアの金額がこんなに小さいこと(528円)がよくわからない。
輸入量でTOP20に入らなかった国の多くが、1L当たり2,000円以上である。
モーリシャス4,112円、ラオス3,097円、フィリピン4,298円、
コロンビア44,246円(※)、レ・ユニオン8,262円などである。
2021年は45の国・地域からラムが輸入された。
※コロンビアで造られるディクタドールが仏ラリックとコラボ商品を販売したことが要因。
世界300本限定、1本2,750,000円(税込)。
●あとがき
国内生産量は横ばいが続いているが、最近ではラムを造り始める蒸留所が増えている。
日本の気候では熟成に時間がかかるため、これからに期待したい。
熟成品が出始めれば、輸出もさらに増えるだろう。
日本産ラムの伸びしろは広い。