文字数:約900文字
ラムの原料となるサトウキビと糖蜜の生産量を調べた。
原料生産からラムの今後を考えてみよう。
●サトウキビと糖蜜の生産量推移
国際連合食糧農業機関(FAO)が公開しているデータをもとにまとめた。
サトウキビも糖蜜も増加傾向にあることがわかる。
サトウキビの生産量は2000年代後半に急増している。
これはバイオ燃料の原料としてサトウキビが注目され始めたためと考えられる。
糖蜜は増加傾向にあるが、サトウキビのような急増はない。
●サトウキビの生産量内訳(2021年)
サトウキビの最大生産国はブラジルである。
ブラジルだけで世界の3割以上を占めている。
2位のインドとブラジルが突出して多く、
2国だけで6割を占めている。
ちなみに日本は53位で1.3Mトン生産している。
サトウキビの生産目的は砂糖精製が主であり、
サトウキビジュースから造るラムのための生産量はわずかである。
●糖蜜の生産量内訳(2020年)
サトウキビと同様に糖蜜もブラジル、インドが圧倒的である。
糖蜜はサトウキビから砂糖を精製する際に、副産物としてできる。
サトウキビの生産量が多い国が糖蜜の生産量も多くなるのは必然である。
日本は58位で0.07Mトン生産している。
サトウキビの生産がないフランスが13位に入っている。
糖蜜は甜菜(てんさい)からも造られるためである。
甜菜糖をつくる際の副産物として糖蜜ができるのである。
糖蜜はトラディショナルラムの原料となる他、
家畜用の飼料やうま味調味料の原料などに使われる。
関連記事 ↓
●あとがき
サトウキビも糖蜜も生産量は増加傾向にある。
世界の砂糖消費量は緩やかだが増加している。
砂糖が造られると糖蜜が副産物としてできる。
糖蜜の用途は限られており、トラディショナルラムを造るには良い環境が整っている。
しかし、お酒の世界的なトレンドとしては高付加価値商品にシフトしつつある。
ラムもアグリコールが人気であるが、ラム全体の5%程度しかないといわれている。
糖蜜よりもサトウキビ自体の需要が拡大しているようだ。