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バーなどでオールドボトルを見かけることがある。
級別制度時代の特級と、現代品では明らかに味が違う。
級別制度についてまとめたので、参考にしていただきたい。
●級別制度
1940年(昭和15年)に酒税法が制定された。
その後、1943年(昭和18年)に級別制度が採用されることとなる。
ウイスキーは当時の分類上、雑酒に含まれた。
この雑酒というのは日本酒、焼酎、ビール以外のお酒全般のことである。
制定されてから廃止までの間に5回改訂されている。
各タイミングでの区分は以下の通りである。
・1943年(制定時)
1943年当初の級別制度。
一級は銘柄が指定されており、サントリーのオールドや、
ニッカウヰスキーなどが入っている。
三級はアルコール度数が40%以上あれば、原酒が入っていなくても問題無かったのだろうか。
雑酒 | 原酒混和率 | アルコール度数 |
---|---|---|
一級 | 30%以上 | 43%以上 |
二級 | 30%未満 | 43%以上 |
三級 | それ以外 | 40%以上 |
・1949年(改定1回目)
1949年(昭和24年)に酒税法が改定される。
一級、三級は変わらないが、二級は以下の変更がされた。
- 原酒混和率 :30%未満 → 5%以上
- アルコール度数:43%以上 → 40%以上
当初は原酒が1%でも含まれていれば二級に分類されていたが、
この改正により5%以上含まなければならなくなった。
混和率は厳しくなったが、アルコール度数はゆるくなった。
雑酒 | 原酒混和率 | アルコール度数 |
---|---|---|
一級 | 30%以上 | 43%以上 |
二級 | 5%以上 | 40%以上 |
三級 | それ以外 | 40%以上 |
・1953年(改定2回目)
1953年(昭和28年)の改定で名称が変更される。
- 一級 → 特級
- 二級 → 一級
- 三級 → 二級
この改定の狙いが何を意味するのかよくわからない。
品質が悪そうに聞こえる三級を改めたかったのだろうか。
雑酒 | 原酒混和率 | アルコール度数 |
---|---|---|
特級 | 30%以上 | 43%以上 |
一級 | 5%以上 | 40%以上 |
二級 | それ以外 | それ以外 |
・1962年(改定3回目)
1962年(昭和37年)の改定で、ウイスキーが雑酒から独立される。
また、特級の原酒混和率が30%以上から20%以上、
一級は5%以上から10%以上に変更。
- 特級:30%以上 → 20%以上
- 一級: 5%以上 → 10%以上
ウイスキー | 原酒混和率 | アルコール度数 |
---|---|---|
特級 | 20%以上 | 43%以上 |
一級 | 10%以上 | 40%以上 |
二級 | それ以外 | それ以外 |
・1968年(改定4回目)
1968年(昭和43年)の改定で、原酒混和率が変更される。
一律に厳しくなったのだが、特に二級は7%以上というしっかりとした基準ができた。
- 特級:20%以上 → 23%以上
- 一級:10%以上 → 13%以上
- 二級:それ以外 → 7%以上
ウイスキー | 原酒混和率 | アルコール度数 |
---|---|---|
特級 | 23%以上 | 43%以上 |
一級 | 13%以上 | 40%以上 |
二級 | 7%以上 | それ以外 |
・1978年(改定5回目)
1978年(昭和53年)の改定で、原酒混和率がさらに厳しくなる。
特級の原酒混和率が27%に変更され、制定当初の30%に近づく。
- 特級:23%以上 → 27%以上
- 一級:13%以上 → 17%以上
- 二級: 7%以上 → 10%以上
ウイスキー | 原酒混和率 | アルコール度数 |
---|---|---|
特級 | 27%以上(30%以上) | 43%以上 |
一級 | 17%以上(20%以上) | 40%以上 |
二級 | 10%以上 | それ以外 |
・1989年(級別制度廃止)
1989年(平成元年)の酒税法改定で、級別制度が廃止される。
特級表示されているボトルは30年以上前のものということになる。
出荷が30年以上前ということは製造はさらに前になる。
●あとがき
国産や輸入品で、ラベルの級別表示や酒税証紙が貼られているものは、
バーなどでたま見かけることがある。
見かけたら財布と相談だが、できれば当時の味を試していただきたい。